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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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炎のピロートーク!?

 部屋の中に残った敵を倒す。


「ぜんぶ倒したっスね!」

「ああ。でもまだ入るなよ」


「毒ですね?」

「そうだ」


 部屋のなかにはきらきらと粉が舞っている。

 布で顔を覆ってはいるが、完全ではない。

 過信して毒の濃い場所へ入りたくはない。


「でも、魔石が消えちゃうっス!」

「分身で回収する!」


 自分では中に入らず、分身に回収させる。

 ついでに投げたクギも拾っておく。


 これはもう、しみついた習慣である。

 使った道具はなるべく回収。再利用するのだ。

 痛んだものはクラフト素材に回す。無駄がない。



 アイテムを回収しながら罠を確認する。

 ローラーは使っていない簡易なチェックだが、罠はなさそうだ。



 俺は部屋を眺める。

 空中に舞う毒粉も減ってきた。


「もう大丈夫だろう。進もう!」

「はーい」

「残弾もバッチリっス!」



 俺たちは部屋の中を探索する。

 岩陰に隠れていた通路を発見した。


「ここから先に進めるな」

「他に道はないみたいですね」

「んじゃ、どんどん行くっス!」


 松明を持たせた分身を先頭にして進む。

 この階層は暗い。

 炎は目立つが、隠れて進む必要はないだろう。


「ここの敵、楽勝っスね!」

「コウモリさんはあまり私たちに興味がないみたいですねー」


「まったく襲ってこないわけじゃないけどな。俺たちより蛾が気になるんだろ」


 コウモリは俺たちを優先して狙うわけじゃないらしい。

 蛾がいる分、攻撃が分散する。


 さらに蛾は、俺たちに対してもコウモリに対しても攻撃しない。

 ひらひらと逃げるだけ。

 と言っても無害じゃない。まき散らす毒は厄介だ。



 この通路にはコウモリたちはいないようだ。

 曲がり角の向こうから叫び声が聞こえる。


「アギィ!」

「ギャギャ!」


 聞きなれたこの声は――


「ゴブリンだ! この階層にもいたな!」

「四匹います。もうすぐ来ますよ!」


 リンが索敵して、トウコが銃を構える。


「んじゃあたしが!」


 角を曲がってゴブリンの一団が現れる。

 まず姿を現したのは盾持ちが二体。


 銃口が魔力の光を放つ。


「チャージショットぉー!」


 銃声が響く。

 派手な光を放って、強化された散弾が敵に突き刺さる。


 一匹が塵に変わり、もう一体の盾持ちは後ろへ転がる。

 半壊した盾を構えて起き上がろうとしている。


 後続は――呪術師ゴブリンだ!

 運よく盾の陰に入っていたらしく無傷!


「手前を頼む!」


 呪術師ゴブリンは呪文を唱えようと口を開いている。


 せまい通路で魔法を撃たれては危険だ。


 俺は素早く踏み込み、刀を突きこむ。

 刃は開いた口から後頭部まで貫通し、血しぶきを上げる。


 ひねり上げながら刀を抜く。

 呪術師が倒れて、塵に変わる。


 さらに踏み込む。

 狙いはもう一体の呪術師!



 残った呪術師が俺に杖を向け、短く叫ぶ。


「ゴブアッ!」


 俺はとっさに、杖の射線(しゃせん)から飛びのく。

 だが、わずかな違和感。


 杖の先端から炎は噴き出さない。

 不発――?


 いや!

 【危険察知】が知らせる感覚は背後からだ!


 なにかヤバイ!


 俺はさらに足を速める。

 跳ぶようにして、呪術師の胸を刺し貫く。


「うおっ!?」


 呪術師ゴブリンが塵となる。

 と同時に、背後で炎がはじける。


 通路が明るく照らされる。

 熱が俺の背中をあぶる。



 ムリな体勢で跳んだ勢いを殺すため、前に転がって膝立ちになる。


「あつっ!」


 背中が熱い!


「店長! 燃えてるっス!」


 燃えているのはマフラーだ!

 俺はマフラーの端を切り取って捨てる。



 慌てた様子でリンが両手を突き出して叫ぶ。


「しょ、消火! 消火! 大丈夫ですか、ゼンジさん!」

「ああ……大丈夫だ。助かったよ!」


 俺はマフラーを【忍具作成】で修復しながら言う。


「ふう……。いまのゴブリン……なんか強かったな」

「戦い慣れてるっス! 銃弾も盾で防がれたっス!」


 前衛二体が盾持ち。後衛二体が呪術師。

 しっかり盾を構えながら通路を移動していたようだ。


 とっさの攻撃に反応して攻撃を防いだ。

 そして呪術師の反応もこれまでより速い。



 リンが言う。


「さっきの魔法は……いつもと違いましたね?」

火炎放射(ファイアブラスト)じゃなかったな。俺の位置からは見えなかったけど、なにか飛ばしたのか?」


 リンが涙目で言う。


「ファイアウォールでしょうか? ゼンジさんの立っていたところが燃え出して……姿も見えなくなって、心配しちゃいました!」

「ファイアウォールか……」


 火球や、火炎放射は避けられる。

 足元から燃え上がる攻撃は対処が難しそうだな……。


 トウコが言う。


「柱みたいにズゴーって燃えてたっス! ファイアピローっスね!」

「ピローは(まくら)だろ! (はしら)ならピラーだ!」


 炎の(まくら)ってなんだよ……。

 似てるけど全然違うわ!


「それそれ! 炎の柱っス!」

「新魔法か……厄介だな!」

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[一言] パイロキネシスかな?呪術じゃなくて超能力だけど…
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