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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ぐるぐる追いかけっこ!?

 十一階層に入ってすぐの通路はなんなく通過した。


「体調は問題ないな?」

「へーきっス!」

「ゼンジさんの準備のおかげですね!」



 俺の体調も問題ない。


 蛾の毒は防げている!

 魔法やスキルのように、狙って攻撃してくる類ではないようだ。

 蛾の周りを舞う毒粉を吸いこんだり、皮膚に触れると効果が現れる。


 対策してきてよかった!



 蛾の毒粉は、空中や床に散っている。

 しかし、これは蛾を倒すと消える。


 ゴブリンの武器と同じ。

 持ち物も一緒に消えるルールだな。


 これは都合がいい。

 おかげで残った毒を吸い込まなくてすむ。


 素材として採取できないのは残念だが、いつものことだ。

 俺のダンジョンで手に入るのは魔石だけ。

 モンスターから素材や肉は落ちない。


 蛾は十数匹で群れている。

 数が多いので、魔石がジャラジャラと手に入る。


 この魔石をモノリスで引き換えれば蛾の素材は手に入る。



 もうトウコは【弾薬調達】を切って戦っている。

 すでに使いきれないほど弾丸は手に入った。


 リンの【食材調達】もオフである。

 昆虫食やコウモリ肉はお断りだ。


 もっと普通に美味い肉を食えばいい。

 ウサギ肉や鹿肉、ワニ肉……。

 うーむ。これはこれで普通じゃないか!?



 通路の先は広い空間になっている。

 そこから顔だけ出して中を確認する。


「キィキィ……」


 耳障りな声。バサバサと羽ばたく音。

 聞きなれた音だ。


「お。コウモリのお出ましだ!」

「さっきから羽音が聞こえてたっス!」

「天井にもたくさんいますよ!」


 この先は広い空間になっている。

 とはいえ三階層のドーム空間と比べると狭い。

 洞窟の部屋といった感じ。


 ごつごつと張り出した岩。

 松明の明かりが影を伸ばしてチラチラと揺らす。


 どこかに通路があるはずだ。

 暗い洞窟でも俺の目は見通す。

 だが、ここからは先へ進む道は見えない。



 高い天井からコウモリがぶら下がっている。

 これまでの階層より大柄だ。


 かなりの数のコウモリが旋回するように飛んでいる。


「なんでこんなに飛び回ってるんスかね?」

「あれは……狩りだ。蛾を追っている!」


 コウモリは無意味に飛び回っているんじゃない。

 その先には蛾がいる。

 ふらふらと飛ぶ蛾をめがけて、コウモリが襲っているんだ。


 しかし蛾を捉えられないでいる。

 スピードはコウモリが上。

 それなのに、蛾はぎりぎりのところで攻撃を逃れているのだ。



 トウコがじれったそうに言う。


「あー! ぜんぜん当たんないっスね! コウモリへたくそっス!」


 俺は首に巻いたマフラーをつまみながら言う。


「あれは尾で幻惑してるんだ。蛾はコウモリ対策の参考にした先輩だからな。さすがだぜ」


 コウモリはときおり、誤って天井や地面に激突している。

 普段のコウモリはこんな動きはしない。


「あれは……毒にやられちゃったんでしょうか?」

「だろうな。鱗粉で動きを乱しているんだ」


 蛾の周囲には毒の粉が舞っている。

 あとを追うコウモリは毒に侵されてしまう。


「あ、食ったっス!」


 もちろんコウモリの攻撃が成功することもある。

 蛾はいとも簡単に引き裂かれて食われてしまう。


「キィィ……」


 しかしコウモリも無事ではすまない。

 床に落ちて痙攣している。

 毒だ。


「蛾を食うのはやめておいたほうがよさそうだな」

「言われなくても食べないっス!」


 トウコは心外そうに言うが……。

 うっかり食べちゃいそうな気がするんだよな。


「コウモリさんは毒のことを知らないんでしょうかー?」

「同じフロアのモンスターなのにな?」


「まー、アイツらに学習能力なんてないんスよ!」


 食べられない蛾を追って、ずっと飛び回っているコウモリ。


 モンスターが同士討ちするってことは――【捕食】持ち。

 毒のおかげで蛾を食べて成長しないのは助かるが。



「まあ、見ていてもしょうがない。先に進むぞ!」

「おっ! もう撃っていいんスね!」

「じゃあ、準備しますねー」


 リンは魔力を練っている。

 ほどよいところで俺は声をかける。


「んじゃ、撃ちまくれ!」

「リョーカイっス! うらうらっ!」

「ファイアァラーンスっ! ファイアボールっ!


 散弾が、魔法攻撃が、クギが部屋の中に撃ち込まれる。


 追いかけっこに夢中なコウモリたちはこちらに気付いていない。

 コウモリも蛾も分け隔てなく魔石へと変えていく。


 楽勝だ!

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― 新着の感想 ―
[一言] どこのダンジョンでもモンスター同士の捕食や争いあるんだな…生態系とかあるんだろうか?
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