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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ニガテなことに挑む勇気!

 エドガワ君はもっと引っ込み思案だと思っていた。

 戦いを避けたり、人と関わらない人なんだと。

 今回は妙に積極的だな?



「はい。その……ボクがスナバさんに頼み込んだんです。サタケさんは入院しちゃいましたし……」

「そうだったのか。やっぱり、この間の事件があったからか?」


 俺の問いにエドガワ君はうなずく。


「あの事件まで、ボクは公儀隠密のことを……その、割のいいアルバイトみたいに考えていました。訓練もたまに参加するくらいで。任務も簡単だし、危険なことも少なくて……」


 スナバさんが補足する。


「調査班でも危険な任務はある。サタケは、部下を育てるまでは危険の少ない任務を選ぶと言っていた」


 スナバさんとサタケさんは話をする間柄だったようだ。

 雰囲気も似ているし、気が合うのかな?


「あ……そうだったんですか。ボクが足を引っ張っちゃってたのかな、やっぱり」


 エドガワ君が話しているのは、俺が入るより前の話だ。

 俺からかける言葉はあまりない。


 ダンジョン攻略だって、いきなりボスと戦ったら勝てない。

 むざむざ死ぬような難易度に挑むのは無謀だ。


「そんなことないだろ? 選べるなら危険の少ない任務から慣らしていくべきだ。それは足手まといとは違う」


 エドガワ君は泣きそうな顔でとつとつと話す。


「そうでしょうか……だけどダンジョン領域に閉じ込められて、ミムラさんも死んじゃって……。思ったんです。ボクがもっと強かったら。ボクがもっと動けていたら……。変えられたんじゃないかって。助けられなかった人たちを、もっと……」


「エドガワ君はちゃんとやれていたよ。俺はそれを知ってる」

「でも、あそこにいたのがボクじゃなくて、もっと強い人だったなら……ミムラさんも無事で、誰も死ななくて……」


「それは違う。あのときエドガワ君がいたから、みんな助かったんだ。誰一人かけても無理だった!」


 サタケさんも、ミムラさんも、エドガワ君も自分の任務をこなした。

 俺たちもハルコさんも最善を尽くした。

 全員を救える状況じゃない。そういうことはある。


 さっと現れて全員を救う都合のいいヒーローなんていない!



 現実はダンジョンとは違う。

 都合よく弱い敵から出てくるわけじゃない。



 スナバさんが言う。


「エドガワ。過去を悔いてもしかたがない。反省して次に活かせ!」

「そうだ。エドガワ君はあのとき学んだ。苦い思いもした。だから今こうして、前に踏み出しているんだ!」


「そう……ですね。ボクはあの事件を無駄にしたくないと思ったんです。忘れたくないって。ミムラさんは普通の人なのに……異能もスキルもないのに、みんなのために戦いました。だけど、助けた人たちはみんな忘れちゃうんです」

「ああ、そうだな。だけど俺たちは(おぼ)えている!」


「そうです! ボクたちが生きてここにいるのは、戦ってくれた誰かがいるからだって。ミムラさんや皆さんのおかげだって。ボクはそれを憶えていたい! だからミムラさんの分も戦わなきゃって思ったんです。ちょっとした力を持ったくらいで傲慢(ごうまん)かもしれません。だけど、それしかできなくて……」


 エドガワ君は言葉を詰まらせる。

 頬を涙が流れる。


 俺はエドガワ君の肩に手を置いて言う。


「異能より、大事なのは心だ。立ち向かおうとする意志だ。それしかできないって言うけど、それはすごいことなんだ!」

「ああ。サタケはいい部下を持ったな……」



 いつの間に近くに来ていたハルコさんが言う。


「うう……トオル(エドガワ)君もいろいろ考えてたんですねぇ……! 私も、ミムラさんやサタケさんのことは忘れまぜん……」


 ハルコさんは涙で顔をくしゃくしゃにしている。

 号泣だ。


 ハルコさんもサタケチームに助けられたんだよな。

 通じるところがあるのだろう。


 でもサタケさんは生きてるからね!

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― 新着の感想 ―
[一言] 異能持ちの人がバイト感覚で仕事してたというのは意外だったなぁ… 他の人にない能力あるとかなったら舞い上がって色んな任務受けちゃいそうですが自分w
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