護衛ゲーム三回戦! 護衛役で勝ちに行く!
ハルコさんはシズカちゃんと一緒に見学している。
観客が増えてもやることは変わらない。
ハルコさんの乱入で中断していた訓練を再開しよう。
俺は言う。
「んじゃ、三回戦をはじめていいか?」
スナバさんが言う。
「その前に一つルール変更を提案したいが、いいか?」
「はい。どうぞ」
スナバさんがエドガワ君を見る。
「時間切れは護衛側の勝利にしたい。かまわないか、エドガワ?」
「えーと……引き分けじゃダメなんですか?」
このタイミングでのルール変更か。
なにか意味がある。
攻撃役がエドガワ君に変わったから――
ああ、そういうことか!
「ドアの前でエドガワ君が待ち構えた場合、突破が難しいからですね!」
「そういうことだ」
「あ、そうですね。ズルできちゃいますね……」
攻撃役が有利すぎるんだよな。
エドガワ君が攻撃役ならなおのことだ。
スナバさんが真顔で言う。
「攻撃アリのルールなら、倒して外に出るんだがな。いまのルールだとそれができん」
障害は倒せばいいじゃない!
という派手な考えのスナバさん。
当たり前にそう思っているのが怖いぜ!
エドガワ君がうなずく。
ちょっと腰が引けている。
「時間切れは負けでいいです……攻撃ナシでお願いします……」
「じゃ、ルールはこれでいいかな?」
「はい……」
「いいぞ」
ルールが決まった!
さあ、三回戦開始だ!
エドガワ君は外で待機中。
俺とスナバさんは作戦を練る。
「今回も速攻作戦がいいかな? 護衛対象が別行動してもいいんですよね?」
「ああ。護衛役が指示すれば、護衛対象が走ったり、決めておいた動きをしてもいいという解釈だ」
護衛対象は自発的に動かないルール。
しかし抜け穴があるわけだ。
「じゃあ左右に分かれてダッシュしましょう。エドガワ君が来たら分身の人垣でジャマします」
「ほう。分身は複数出せるのか。いよいよ便利だな」
「作戦はこんなものでいいですか? スナバさんからなにかあります?」
「あまり事前に決めると型にはまって動けないこともある。あとは自然な流れでいいだろう」
想定しすぎるのもよくないってことだな。
たしかに、さっきは予想外の動きに驚かされた。
分身が攻撃されるのも想定外だった。
想定を外されると、スキが生まれる。
きっちり決めすぎず、遊びを作っておけばいいだろう。
「エドガワ君、準備できたぞー」
「状況開始!」
さっきからスナバさんが言ってるのは、訓練はじめるよー、みたいな意味の掛け声だな。
訓練として想定した状況が始まるってことだ。
この掛け声のあと、ここは戦場になる。
俺たちは護衛と護衛対象であり、エドガワ君はそれを攻撃する敵だ。
ちなみに室内にはシズカちゃんもいるが、状況外である。
いないものとして扱う。
状況が始まる!
 




