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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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前門のニンジャ、後門のレンジャー!?

 護衛ゲーム第二試合!


 攻撃役は俺。

 時間内に護衛対象に触れれば勝ち。


 護衛役はエドガワ君。

 ゴール地点である部屋の外へ護衛対象を届ければ勝ち。

 護衛役も攻撃役に触られただけで負け。


 護衛対象はスナバさん。

 攻撃も助言もしない。

 護衛役の指示に従い、ゴール地点を目指す。



 殴るなどの攻撃は禁止。優しく触るだけ。


 時間は三分。時間切れは引き分けになる。


 武器や道具は使用禁止。

 だが、能力の使用はアリ。



 護衛役は今回もエドガワ君だ。

 俺は攻撃役だから、彼の守りを突破しなければならない。


 今回のルールでは、かなりの強敵と言える!



 エドガワ君の能力は敵味方問わず、接近を許さない。

 生物のみならず無機物も対象だ。

 銃弾や炎も通さない。


 しかし、光や音は通す。

 外からエドガワ君が見えるし、会話もできるからだ。

 光を通さなければ真っ黒に見えるだろう。



 どんな能力にも穴がある。

 無敵の能力などない。


 つまり、手の打ちようはあるのだ。

 分身ならどうか。他の術ならどうか。



 というか、もう作戦は考えた。

 数パターン考えたが、どれでも勝てそうだ。


 スキルが異能で無効化される可能性もあるが……。

 まあ、試してみよう!



 訓練室の中からスナバさんの声が聞こえる。


「準備できたぞ。状況開始(スタート)!」

「おう!」


 ドアを開け、部屋の中を確認する。



 二人は走り出した。

 速攻作戦か!?


 確認するため、攻撃側は一手遅れる。

 すぐに飛び込んでもいいが、それじゃ訓練にならない。

 実戦でやることは訓練でもやっておく。


 かなりの先行を許してしまった。

 だが俺はあせらずに部屋に突入していく。



 エドガワ君が速度を緩める。

 そしてくるりと体を回してスナバさんと向かい合う。

 体を半身にして向かい合う感じだ。


「お、考えたなエドガワ君! 縦に並ぶと歩きにくいもんな」

「はい! クロウさんのアドバイスのおかげですね!」


 先ほどの訓練が活きている。

 いいね!


 スナバさんが言う。


「ぴったりとついていくのがこれほど難しいとは……」


 そう言いながらもスナバさんはエドガワ君にぴったりと身を寄せている。

 できてるし!


 少し滑稽な絵面(えづら)だが、動きは前より速い。

 二人はまるでダンスを踊るように(なな)めに移動していく。


 進行方向を基準に考えると斜め方向への移動だ。

 向かい合う二人からみれば、平行移動していることになる。


 こうすれば距離が縮まらない。

 足がつっかえずに動けるってことだ!

 考えたな!



 俺は両手を広げて進路をふさぐ。

 そして、じわじわと壁際に追いつめていく。


 これは前の試合と同じ展開。

 同じじゃつまらないし、こっちから動くか?


 でも、もうちょい様子を見たいんだよなぁ。



 エドガワ君が叫ぶ。


「下がってください!」

「ああ!」


 おっ!? なにかする気だ!


 スナバさんが後ろに下がる。

 同時に、エドガワ君は前――俺に向かって距離を詰める。


「おお!? これは……!」


 スナバさんはさらに下がる。

 これではエドガワ君の能力の範囲からはみ出すが――


 いや、はみ出したっていいんだ!


 俺は前に出たエドガワ君が邪魔で動けない!

 遠ざかる方向――後ろにしか動けない。


「スナバさん! ゴールへ移動を!」

「おう!」


「別行動する作戦か!」


 スナバさんはフリーだ。

 出口を目指して走りだしている!



 俺が動くとエドガワ君も前に進む。

 スナバさんと俺の間に挟まる位置取りだ。


 スナバさんはもうすぐ出口へたどり着いてしまう。


 うまい!

 こういうのが見たかったんだよね!



 というわけで、俺も事前に用意しておいた作戦を使う!

 もちろん、今からでも間に合う!


「分身の術!」


 まず分身を出す。

 出口の前。走るスナバさんの前だ。


 分身は両手を広げて立ちふさがっている。



「むっ!? これは分身――おらあっ!」


 スナバさんは勢いのまま――殴りかかる。


 おっ!? これは想定外!


 動きを止めるか避けると思ってたぜ!

 分身はスキルだから触ってもオーケーと判断したのか!


 分身が倒されると作戦が崩れる。

 急いで用意しておいた次の術をかける。


 おなじみ――


「――入れ替えの術!」


 術の対象は分身。


 分身と俺の位置が変わる。

 つまり、俺のすぐ目の前にスナバさんの拳が迫っている!


「おおっ!?」


 スナバさんが驚いて、手を引こうとする。

 だが攻撃動作はすぐにやめられない。


 拳が俺の顔面を打つ寸前――俺はその手を防ぐ。


 さいわいスナバさんも手加減してくれたので痛くはない。

 もちろん、事前に防御しやすい姿勢を取りながら入れ替えの術をかけたのだ。



 スナバさんが言う。


「む。触れてしまったから俺の負けか……」

「というか、スナバさんは護衛対象だから攻撃ナシでしたね」


 スナバさんは渋い表情を作る。


「そうだな。分身はスキルだから問題ないと判断していたが……忍術か。便利だな。さて、状況終了だ、エドガワ!」


 エドガワ君が驚いた声を出す。


「えっ? あれっ!? 終わり? いつの間に終わっちゃってます……?」


 いつの間に?

 エドガワ君が分身とにらみ合っている間です!

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