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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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投擲で的あて! トンチで穴を突く!?

 エドガワ君が言う。


「あ、そうだクロウさん! 銃じゃなくて、なにか忍術みせてください!」

「ん。いいけど……(まと)を狙うのか? それなら手裏剣を投げるか。術ではないけど投擲のスキルを使う」


 銃とか魔法みたいな見栄えのいい派手な術はない。

 見せれるのは投擲、手裏剣術だな。


 スナバさんも乗り気みたいだ。


「俺も見てみたい。やってくれクロウさん」


 お。お許しが出た。

 シューティングレンジで手裏剣を投げても問題ないらしい。


 俺は隠し持っていた三寸釘を取り出す。

 ベルトなどに仕込んで、いつでも使えるようにしている。


「投げるのはこのクギだ。棒手裏剣に見立てている。相手によっては五寸釘やクナイを使うんだけど、持ち歩くには大きすぎる」


 持ち運べないわけじゃない。隠し持てないのだ。

 法的なアレである。


「こうして、手の指に添わせるようにして構える。親指で押さえてチョップに近い形にする。上から振りおろすようにして――投げる!」


 棒手裏剣(クギ)が一直線に的へと向かって飛ぶ。

 的の中心に穴を穿つ。


「おお、やるな!」

「すごいですね!」


 お、わりと高評価!



 スナバさんが言う。


「無回転投げなんだな」

「ナイフ投げだとそう呼ぶらしいですね。回転させず、すっと飛ばす感じです」


 俺は直打法(じきだほう)と呼んでいるが、呼び方はどっちでもいい。


「他の投げ方もできるんですか?」

「俺はこの投げ方しかやらないな。回転する投げ方は好みじゃなくてさ」


「そうなんですねー」


 スナバさんが補足する。


「回転させる場合は刃が標的に向かわないといけないからな」


 お、わかってるね。

 たぶんスナバさんも刃物を扱うんだろう。


「スナバさんの言う通りだ。距離によって投げる力加減を変えなきゃならない」


 直打法でも多少の回転はかかるし、力加減も変えている。

 そのへんは【投擲】さんがうまくやってくれる。

 やってるうちに体で覚えて、考えなくてもできるようになってくる。


 回転させる場合は、もっと加減が難しくなるってことだ。

 多数の動く相手と戦うには都合が悪い。


 練習とスキルの補正でどうとでもなるのだが、やはり最初に覚えたやり方がしっくりくる。

 そういうわけで、この投げ方を愛用しているのだ。



 俺は棒手裏剣を構える。


「さて、回転させない投げ方にもいろいろある。上から下じゃなくて、下から上でも投げられる。こうだ!」



 俺は一歩下がって、ブースから距離を取る。

 そして下からすくい上げるようにして釘を投擲した。


 命中。

 動かない的に当てるのは簡単だ。


「あ! ちゃんと中心に当たってますね!」

「ダンジョンではポーチを腰につけている。そこから抜いて投げる。動いたり走ったり、跳んだりしてな」


 俺は動きながら釘を投げていく。


 壁や天井に立って投げてみたり。

 【壁走りの術】はレベル三だ。外でも使える。



「すごっ! 壁に立ってるのがすごいですよ!」

「どんな体制からでも投げられる。相手が動いていても同じだ」


 飛び回るコウモリに比べれば、動かない的に当てるのは簡単だ。

 全弾が中心に命中しているわけではない。

 でも、当たれば敵は死ぬ。有効打にはなる。


 俺は的を戻す。

 紙の中心付近は穴だらけだ。


「うーん。ワンホールショットにはなっていないな」


「それはそうだろう。銃とは違うからな。俺がナイフを投げたとしても難しい」


 スナバさんがフォローしてくれる。

 ナイフ投げで似たことができるってことだな。


「ボクが投げてもあたるかわかりませんよ!」



「別のスキルで試してみたらどうだ?」

「んー。投擲以外のスキルか……。俺は飛び道具を出す能力はないんだけど」


「別に飛び道具でなくてもいい。クロウさんがレーン内に入らず、三メートル先の標的の中心に穴をあける。できるか?」


「ふーむ。そのルールならできるな」


 射撃場でやることじゃないけど。



 俺の言葉にエドガワ君が反応する。


「あるんですか!? そういうスキル!」

「たぶん、期待するのとは違うけどな」


「それでもいいです。やってみてください!」

「んじゃ、分身の術!」


 俺は分身をレンジ内に生み出す。

 的の目の前だ。


 俺は分身にクギを投げ渡す。

 手にしたクギで、分身は的の中心を突き刺した。


 ――的の中心に穴が開いた。


「ほら、できたぞ」

「トンチじゃないですか!」


「投擲以外のスキルだ。レーンにも入っていない。ルール通りだ。穴も開いた」

「そうですけど……」


「ほら、期待と違っただろ?」


 エドガワ君は肩透かしを食らったような顔をしている。

 スナバさんは真顔で言う。


「ルール通りだ。実戦だとすれば敵も倒せる。問題ない!」


「そういうものですか……?」


「ルールの穴をついたんだ。できることで、やれることをやる!」

「限られた条件下で任務を達成する。クロウさんの考え方は理にかなっているぞ、エドガワ」


「言われてみればそうですね!」


 実戦ではできないからって言い訳はできない。

 飛び道具がなければ、使えるものを使う。


 ダンジョンの中なら【引き寄せの術】で的を手元に寄せたりもできる。

 方法はいろいろだ。


 俺は忍者なんだし、正攻法で攻めなくてもいい。

 なかなか、わかってもらえないんだけどね!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 直打法は八分の一回転はするので 距離によって調整必要ですよ。 技術ではどうしても修正出来ない遠くの距離になると 直打法→半回転法→回転法というように回転数あげて調整する感じです。 イメ…
[一言] 汚いなさすが忍者きたない(褒め言葉
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