買い物はダンジョン外で! 装備と忍者薬の材料も、何でもそろってしまう!?
テコ入れとしてタイトル末尾を長くしてみた。何事もやってみないとわからない。
シンプル派なので、長いとどうもしっくりこないですね。
「ではさっそく、忍具作成を3に上げるとしよう」
これを上げるためにレベル上げしたようなものだ。
ポイントを使用して、スキルレベルを3に上げる。
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スキル:
【忍具作成】3(2より増加)
(残ポイント:6→2)
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※必要箇所以外は省略
スキルの説明を表示してみよう。
【忍具作成】をタップする。
ウィンドウが切り替わり、説明が表示された。
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【忍具作成】
レベル1:簡易な道具を作成
レベル2:普通の道具を作成
レベル3:複雑な道具を作成
レベル4:コスト低減、作成可能な道具の条件緩和
レベル4への必要ポイント:8
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よし!
これで「複雑な道具」である忍者刀を作れるはずだ!
「イメージはできている。ネットで調べたし、動画もいろいろ見た。漫画やゲームのカッコイイ感じも付け加える」
だが今は無理!
素材が無いのだ。
刀を作るには鉄が必要だ。
鉄を作るには鉄鉱石が必要だ。
本来は高度な鍛冶や色んな段階があるのだが、そこはスキルがなんとかしてくれる。
少しでもスキルの足しになればと、鍛冶や日本刀の製法について調べもした。
しかし、素材が無くては作れない。
鉄鉱石がゼロである。無理である。
……圧倒的素材不足!
鉄鉱石がたくさん必要だな。
ホームセンターで金属を買ってくる手もあるが……。
だが、俺は鉄鉱石で行く!
ファンタジー素材の鉄鉱石を使ったほうがいいものが作れる……はずだ!
鉢金のときは現実素材で失敗したからな。
同じ失敗は繰り返さない。
「もう、ダンジョンに潜ってかなり経つな……もう夜のはずだ。今日はここまでにしよう」
寝て起きれば通販で頼んでおいた素材も届くはずだ。
宝箱が時間経過で再配置されてくれることに期待しよう。
中身も変わらず、鉄鉱石が入っていてくれ!
俺はダンジョンを出て、さっさと寝てしまう。
体の疲れは【瞑想】で癒せても、心までは癒せないんだな。
翌朝。
オトナシさんとの食事会を終えて元気充填!
お互いの料理に舌鼓を打って、会話も弾む。
しかし、例の相談は切り出してこなかった。
彼女のタイミングを待つしかないだろう。
相談というのはたいてい、聞くだけである程度解決するもんだ。
それで無理な問題は、他人には解決できない場合が多い。
たとえ最適と思える答えを助言しても、相手に受け入れられるとは限らない。
難しいものだ。
ともかく、こちらから押し付ける類のことじゃない。
「ごちそうさまでした! では、また!」
そう言うとオトナシさんは帰っていく。
昼からは大学のオンライン授業があるらしい。
注文していたクラフト素材はまだ届いていない。
午前中指定なので、もうすぐ来るはずだ。
だが出かけてしまおう。
置き配指定なので、家に居なくても問題ない。
忍者刀以外の装備の改善は、届いてからだ。
今日は【薬術】も試したいと思っている。
モノリスで薬草は引き換えてきた。
これは当然【薬術】の素材にできるはずだ。
あとは外で調達しようという計画だ。
ダンジョン内には素材があまりないからね。しょうがないね。
「とはいえ、薬の原料……? スーパーで売っているか?」
現実世界の薬草……ハーブ類だろうか。
今日のところはスーパーで売っているものでいいだろう。
スーパーに到着した俺は、カゴに薬に関係しそうなものを入れていく。
「昔の忍者は材料をそろえるの大変だったろうな……」
野草を取ったり、栽培していたんだろうか。
薬売りに化けたりしていたそうだし、入手ルートがあったんだろう。
俺は野草の知識はないし、近所に野草取りができる場所があるかはわからない。
手っ取り早くスーパーで揃えてしまう。
ドクダミ、シナモン、ハトムギ……。
お茶コーナーにそれらしいものが豊富にある。
モチゴメ、ゲンマイ……各種雑穀。
ブレンドされた雑穀が小分けの袋に入っている商品をカゴに入れる。
缶詰コーナーでは、ギンナンをゲットした。
野菜コーナーの片隅でスペアミント、ローズマリーなどのハーブも見つけた。
大葉も外せない。ダンジョンの薬草に似ているしな。
ニンニクやショウガもよさそうだな。
ついでに、昼飯と晩飯の買い出しもしておく。
ネットの食料品は品ぞろえが悪いので、足りないものを中心に買う。
……ふと、仕事もしていないのに散財しているような気がして、心細さを感じる。
いやいや。まだ辞めて一週間くらいしか経っていない。
何を弱気になってるんだ俺。
何年も働いてばかりで使う暇もない毎日だった。
趣味が仕事だったとも言える。
まあ、そのおかげで当面生活できるだけの貯金があるわけだ。
生活の心配をするのは、まだまだ先の話だぞ。
「せっかく外出したし、百円ショップにも寄っていくか」
百円ショップはネット通販もあるが、イマイチなのだ。
高い送料がかかったり、まとめ買いしないといけなかったりする。
だから店に足を運ぶしかない。
ホームセンターで似たものが売っているが、大抵は高いんだ。
百円ショップは駅前にある。
「……しかし、駅前か」
あまり気乗りがしない。
このところ、駅前に来るのは避けていた。
駅前には俺が働いていた飲食店がある。
……なんとなく、仕事を辞めてからは避けてきたんだ。
と言っても、辞めた当日に行ったわけだが。
あれは営業終了後だからちょっと違う。
「――とはいえ。ずっと避け続けるわけにもいかないしな」
百円ショップと同じ通りにそのファミレスはある。
回り道をすれば避けて通ることもできる。
でも、それもどうだろう。
ずっとそうして避けていくのもおかしな話だ。
変に気負わず、通り過ぎればいいだけだ。
店の前を通り過ぎる。
しかし、気になってちらりと中をのぞいてしまう。
皆、いそがしく働いている。
よく電話をしてくるバイトのトウコがぱたぱたと走り回っている。
あいつはすばしっこいからな。
すこし危なっかしい動きだけど、いつも通り頑張っている。
パートのヤマダさんも辞めずに残ってくれているみたいだ。
辞める辞めると言っていたのに、残ってくれている。
ベテランが今抜けてしまえば、店は決壊だからな。
キッチンの様子はわからない。
きっとキシダあたりがいるはずだ。
文句言いながらうまい料理を作ってるだろう。
オーナーは見当たらない。
裏にいるかもしれないが、店に出ているかも怪しい。
いずれにしろ、店はまわっているようだ。
俺が居なくても。
……見つかる前にそっと、その場を離れる。
呼び止める声が聞こえた気がするが……幻聴だろう。
ここはもう、俺の居場所じゃない。
そう。俺の居場所は、ダンジョンなんだ!
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