今回のMVPは……!?
「一番ダメージを稼いでいたのはトウコかな? 釣りだすときの狙撃からずっと戦ってるし」
リンは前半戦には参加していない。
敏捷のステータスがないので小山で待機していたのだ。
一方トウコは最初から最後まで大活躍だった。
「いや、店長じゃないスか?」
「そうですよねー。ゼンジさんですよ! 分身さんの分もありますから!」
「え? 俺か?」
「だって、分身さんの槍でばーんってするの、すごかったですよ!」
「袋叩きっスね!」
「あ、落とし穴もですね!」
穴に落として叩きまくる。
上段から振り落とした槍の威力は、まさに叩き斬るという感じ。
たしかに、ダメージは稼げていたかもな!
「あと、火炎瓶の分もっス!」
「火炎瓶はみんなの合わせ技だろ」
俺が投げて、トウコが撃ち抜いて、リンが着火する。
降り注いだオイルは、ただ投げつけるよりもよく燃える。
普通ならあれで勝てるよなぁ?
「あと柵! 柵も大事ですよ!」
「とんがってるトコにぶつかるのもダメージあったと思うっス!」
馬防柵の杭の先端は尖っている。
馬や鹿なら、ぶつかればタダじゃすまないだろう。
ワニはバカげた耐久力でぶち当たってぶち壊してくれたけど……。
規格外すぎる!
「言われてみれば、かなりダメージを与えたことになるな」
「ですよね! やっぱり、ゼンジさんが一番です!」
「でも、なんか店長に火力で負けるとくやしいっス!」
悔しがることなかろう。
まあ俺は火力担当じゃない。
「結局、今回は準備が力になったってことじゃないか?」
「店長、準備力担当っスね!」
「なんだそりゃ。ヘンな担当にするな!」
リンが身を乗り出して力説する。
「私は凄いと思いますー! ゼンジさんが準備してくれたから倒せたんです!」
「なら、やった甲斐があったよ。でもさ、貢献度で言えばリンが一番だと思うぞ」
「えっ? 私は途中からなので、ぜんぜん……」
「そういう作戦なんだし、途中参加だからって気にすることないぞ」
「リン姉の魔法はすごかったっス!」
「それに、戦いだけじゃないんだ。総合的な貢献度だよ。尻尾の解体もそうだし、ステーキも美味かった」
「そうそう尻尾っス! あたしもお肉のおかげで強くなれたし、ウマウマっス!」
「あとスキルオーブも貰っちゃったしな。これがデカいだろ」
「もらいすぎちゃったっスね!」
俺たちの絶賛に、リンは胸をなでおろす。
「ああ、よかったー。足手まといになってないか心配だったんですー!」
「ぜんぜんそんなことないっスよ!」
足手まといなど、とんでもない。
「気にしすぎだ! 頼りにしてるよ!」
「ありがとうございますー!」
リンはほっとしたような笑顔になる。
「あたしはどうっスか?」
「エサ力には期待しているぞ!」
「うえぇー!? それはもういいっス!」
そんなやり取りをしていると、偵察に出していた自律分身が戻ってくる。
前回はワニがいて調査できなかった。
あのときは途中で食われたし。
今回はボスの居ぬ間にじっくりと調べることができたはず!
「あ、店長二号、おかえりっス!」
自律分身が手をあげる。
「ただいま。第五エリアを見て来たぞ!」と自律分身。
「どうだった?」と俺。
リンが料理を用意しながら言う。
「おかえりなさい分身さん! すぐにごはんを用意しますねー」
「おっ!? 俺の分もあるのか!」
自律分身は嬉しそうに表情を崩す。
術を解除すれば俺と一体に戻る。
本来なら料理を食う必要はない。
俺の経験と統合されるからだ。
でもやっぱり、リンの心遣いはたまらないね!
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