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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ウサギの穴とくっつき作戦!

「あれ、なんかのスキルっスか!? 土がぼこーんってなったっス!」

「フルスイングに似たスキルかもしれないな」

「吹き飛ばす効果ですね!」


 尻尾の一撃は落とし穴の側面を吹き飛ばした。

 ノックバック効果だろうか。


 あるいは単に威力が高いのかもしれない。

 どちらにせよ危険だ。



「感心してる場合じゃない。来るぞ!」


 ワニはもう落とし穴を抜け出している。

 俺たちのいる小山の反対側、低いほうから抜け出したのだ。


 ワニは小山の周りをぐるぐると(まわ)っている。

 警戒しているようだ。



「もっと深く穴を掘ればよかったっス!」

「無茶いうな! 人力で掘ってんだぞ!」


 深い穴を掘れば、もっと簡単に倒せるだろう。

 だが、そんなことはできない。


「分身さん、頑張りましたねー!」


 【分身の術】を使って人海戦術で掘ったのだ。

 体力や魔力には限界がある。


 重機でも使えれば別だが、車など持ち込めないし、動かない。

 準備にかけられる時間も無限じゃない。


 過剰なほど準備したつもりだったが、ワニは予想を超えてきた。


「タフすぎるんだよな、コイツ……」


 燃料を使っての火攻めで倒せると思っていたんだけど……。

 まさか耐えるとは。


「ヒットポイントお化けっス!」

「倒せるんでしょうか……?」


 このまま倒せなかったら……。

 そんな不安が頭をもたげてくる。


 ワニは俺たちより速い。

 つまり、逃げることはできないのだ。



 俺は迷いを振り払う。


「倒すしかない! 次の作戦だ!」


 まだ策が尽きたわけではない。


 次の作戦はシンプル。

 投げモノをぶつけて動きを止める。


 クモの粘着粘液から作った粘着玉を投げまくるのだ!


「くっつき作戦っスね!」

「やりましょう!」




 俺は粘着玉を手に指示を出す。


「二人は攻撃を続けてくれ!」


「りょ!」

「はーい!」



 粘着玉を振りかぶり、投げる!


「ていっ!」


 【投擲】のおかげもあり、ワニの背中に命中!


 玉が割れて、べとべとした粘液が飛び出す。


 だがワニは気にせずに動き回っている。

 背中じゃあ効果は薄い。


 狙うのは腕や足。可動部だ。



 よく狙って――もう一投!


「よし!」

「いいところに当たりましたねー!」

「ナイスー!」


 ワニの前足に命中した粘着粘液(べとべと)が、動きを鈍らせる。

 腕と体がくっついてくれれば最高だ。


 だが――土が粘着粘液にくっついて、接着力を弱めてしまう。


「一発で足りないなら、ありったけ食らわしてやる!」


 用意した粘着玉を投げまくる!


 頭、腕、尻尾。

 全弾命中!


 ひっついた粘着物質がワニの動きを鈍らせる。

 目や口も狙ってみたが、さすがに当たらない。



「フグォー!」


 ワニが不満げな吐息を吐いて、斜面を駆け上がってくる。

 俺は煙幕玉を投げつけ、視界を奪う。

 だが、ワニはかまわずに突っ込んでくる!


「来たっス!」

「避けろ!」

「はい!」


 俺は走るようにワニの進路から外れる。

 トウコは身体を投げ出すようにして飛び退く。


 リンは――

 煙幕と砂埃に隠れて姿が見えない。


 リンが立っていたあたりをワニが走り抜けていく。


「リン姉ーっ!」

「無事か!?」


 リンの速度では回避は難しい。

 だから、対策も打ってある。


 ……だからといって落ち着いてはいられない。


 砂埃が晴れる。


「はいっ! 大丈夫ですー!」


 リンの元気な声が返ってくる。

 掘っておいた穴から、リンがひょこりと顔を出している。


 ふう。無事だった!

 わかっていてもドキドキするわ!


 トウコがぐっと親指を立てる。


「ウサギの穴作戦、成功っスね!」

「ああ!」


 リンが隠れていたのは人一人が入れる程度の穴である。

 盾状のフタもついている。


 入口は狭く、中は少し広い。

 ウサギの巣穴を参考にしたものだ。


 リンが穴から出て走ってくる。


「怖かったですー! でもうまくいきましたね!」

「もっと続けるのはどうっスか?」


「いや、何度も通用するかはあやしい。穴ごとぶっ壊されたら逃げられないからな」


 これは一回だけ使う緊急避難なのだ。


 もっと穴を掘って横穴で繋げる案もあった。

 モグラ叩き作戦である。

 だが、時間と労力がかかりすぎるので断念したのだ。



「よし、次はあっちの柵まで走るぞ!」


 俺は柵を目指して走っていく。


「は、はーい!」

「リョーカイっス!」

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