裏技はアットマークで!?
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ダンジョン所有者情報
現在の名称:クロウ ゼンジ
変更しますか?
はい いいえ
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「お、やっぱりフルネームになってるな」
そういえば、ステータスの名前欄も同じ表記だな。
苗字と名前の間にスペースが入る。
「このままでもカッコイイですよ!」
いや、そう思うのはリンだけだろ……。
俺は「はい」を選択する。
画面が切り替わる。
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現在の名称:クロウゼンジ
新しい名称:ブラッククロウ
変更してよろしいですか?
はい いいえ
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はい、を選ぼうとする俺をトウコが止める。
「どーせなら、後ろになんか付けたらいいんじゃないっスか?」
「だからコードネームはつけないって!」
しつこいぞ!
トウコはじれったそうに言う。
「じゃなくて! ツイスタのやつっス! @友達募集中とか!」
「別に友達募集してねーし!」
友達いないみたいに言うな!
大河さんがいるわ!
あとは……あとはほら……【忍具作成】君とか!
リンは首をかしげている。
「あっとまーく?」
リンはゲームだけじゃなくネットやSNSにも疎いのだ。
「トウコが言いたいのはメンション機能のことか?」
メンション機能とは、名前の前にアットマークをつけることだ。
@クロウゼンジのように書く。
こうすると、指定された相手に通知が届く。
「そっちじゃないっス! 後ろにつけるやつ! あれ、なんて言うんスかね!?」
「なんだろうな。ハッシュタグじゃないし……俺も詳しくない」
呼び名が分からん。正式名称はないのかな?
「私はさっぱりわかりませーん」
「リン姉@SNS初心者っス!」
「ん!? これって使えるな……と言うか、名案じゃねーか、トウコ!」
「うぇっ? そうっスか? 名案っスか!?」
トウコはわかってないようだ。
だが、これは大発見かもしれん!
俺は管理コンソールに入力する。
入力できる文字数は五十文字が上限のようだ。
やりたいことには充分である!
「ここにこうして……っと!」
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現在の名称:クロウゼンジ
新しい名称:ブラッククロウ@リヒトさんへ。メッセージ受領しました! お元気ですか? こちらは元気です!
変更してよろしいですか?
はい いいえ
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リンが手を叩く。
「あっ! これでお返事できるんですね! すごいねトウコちゃん!」
「うぇっ? そ、そうっスか!?」
トウコはきょとんとしている。
「トウコのアイデアのおかげでリヒトさんに返事ができるってことだよ!」
「おー! そおっスね!? これは名案っス!」
こいつ、やはりわかってなかったな!
これは裏技だ!
この方法なら送信権限がなくてもコミュニケーションが取れる!
「じゃ、変更するぞ!」
画面が切り替わる。
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ダンジョン所有者情報を変更しました
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「伝わるといいですねー!」
「へへ! うまくいくといいっスねー!」
「そうだな!」
伝われ!




