表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

648/1472

水に潜む敵の倒し方……アレと同じやりかたで一網打尽に!?

「ファイアボール! あ……ダメみたいです」


 リンが水たまりに火球を撃ち込む。

 しかし、じゅうと音を立てて火は消えてしまう。


「あー。さすがにダメっスねー」


 あたりまえだが、水中で炎は燃えない。

 さすがに認識やイメージ力で物理法則を捻じ曲げるのは難しいようだ。


 雨程度なら問題ないとはいえ、濡れている相手には威力が弱まる。

 水中に逃げこまれれば炎は消える。



「水中のスライムを無理して倒す必要はない。離れよう!」


 俺たちは水たまり――スライム溜まりから離れる。


「これからは頭上だけでなく水たまりにも注意して進まなきゃいけませんねー」

「マジ危ないっス!」


「あんまり心配させんなよ、トウコ」

「へへ。次から気を付けるっス!」


 ここの水たまりは深さもわかりずらい。

 ましてや、スライム溜まりになっているなんて予想できなかった。

 となると……川の中もあやしいな。


「さっきのスライムは水にうまく隠れていたな」

「色がうすくて見えにくいっス!」


 核も目立たない。

 よほど注意しないと見つけられないだろう。


「【魔力知覚】でも見つけられませんでした……」


「【隠密】のようなスキルを持っていたんだろうな。リン、今は見えるか?」


 リンがスライム溜まりをじっと見て言う。


「はい。かなり集中すればわかります。でも……歩きながら探すとなると、時間がかかっちゃいますね」

「この先進むときは、システムさんを先行させて足元だけチェックしていこう。そのルートを外れずに進む」


 トウコは不満げに言う。


「うえー!? また地味地味(じみじみ)作戦っスか!?」

「安全第一作戦だよ!」


 行動を制限されるのは困るが、ダンジョンなんだから当たり前だ。

 ピクニックじゃないんだぞ。


「せっかく広いんだから自由に動きたいっス!」

「地雷原を歩くような気持ちで進むんだよ! ちゃんとクリアリングしろ!」


 回避する先の安全も確認しないといけない。

 なぜかリンはうれしそうだ。


「えへへ。ゼンジさんのダンジョンみたいですね!」


 あ、おそろい……!?

 嬉しいか!?



 そのあとはより慎重に進む。

 水たまりを避けて、樹上にも注意を払う。


「そこの水たまり、いますよー」


 リンの指さした水たまりを観察する。

 広く浅い水たまりである。


 足を入れるとしたら、ふくらはぎ程度の深さだ。

 雨粒が波紋を作っていて、水は少し濁っている。


「どれどれ――おお、よく見ればわかるな!」

「ちょっと色が違うっス!」


 水に潜むスライムは透明に近い。

 ちょっと見ただけではわからない。


 光の反射や水の揺らぎ。

 雨粒が作る波紋の消え方。

 よく見れば微妙な違和感がある。


「ちょっと動きを試してみるぞ――分身の術」


 分身を出し、手を水たまりに突っ込ませる。

 ざざ、と水が動く。


 スライムが伸びあがり、腕を絡めとる。

 そして分身を水の中に引き込んでしまう。


「分身さん!?」

「あたしもこんな感じだったっス!」


 分身はそのまま頭までスライムに呑まれてしまっている。

 リンが怖がるといけないので、すぐ消そう。


「ううむ。これはヤバいな!」



 トウコがショットガンを向ける。


「やっつけてみるっス! ピアスショット!」


 貫通効果を持った弾丸が水たまりを撃ち抜く。

 激しい水しぶきが上がる。


 水たまりの底には宝箱が二個残っている。


「お、水中でも貫通弾ならやれるのか!」

「すごいね、トウコちゃん!」


「へへ! ちな宝箱は――」


 トウコは水たまりから宝箱を回収しようと手を伸ばす。

 俺はトウコの襟首を捕まえて止める。


「ちょい待て! まだいるかもしれん!」

「まだいるよ、トウコちゃん!」


 トウコが顔を青ざめさせる。


「うえー! うようよしてるっス! ひゃー!」


 水たまりは広い。

 全部倒せたわけじゃない。

 うまく核を撃ち抜けた二体を倒せただけ。


 宝箱は水たまりの底に沈んでいる。


「でもこれじゃ拾えないっス!」

「別に無理して拾わなくてもいいが……」


 分身で拾うか?

 くっついたスライムを倒すのはたやすい。


 それでもいいが、どうせならまとめて倒したい。

 俺はリンを見る。


「リン。できるか?」

「うーん。ファイアボールは届かないし……」


 水中で火は燃えない。

 それはもう試した。


「風呂を沸かす感じでやってみてくれ。熱々にしてやるんだ!」

「あ、なるほどー! わかりました!」


 炎で水面をあぶる。

 普通、炎の熱は上に行くんだが、なぜかこれでお湯がわかせる。

 いつも風呂でやっていることだ。


 この水たまりは風呂に比べれば水量も少ない。

 しばらくそれを続けると、水たまりが温まっていく。

 間もなく、ぽこぽこと沸騰する。


「あ、宝箱が出てきたッス! やっつけてるっス!」

「おお、これならまとめて倒せるな!」


 茹だった水たまりの中に宝箱がいくつか現れる。

 倒したってことだ。

 さすがに熱湯には耐えられないようだ。



 リンが喜びの声を上げる。


「あ、やりました! レベルがあがりましたー! ゼンジさんと一緒です!」


 レベル二十二である。


「おお、おめでとうリン!」

「おめっス!」


 久しぶりのレベルアップだな。

 やはり環境が違うと経験値の入りがいいんだろう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あのGも秒殺な熱湯攻撃!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ