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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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水難の相! 川のトラブルには気を付けよう!

「トウコ! どこだ!?」

「トウコちゃーん!」


 俺たちの呼びかけに応えるように銃声が響く。


 音の方向へ注意を向ける。


 ばしゃばしゃとした水音。

 突きあげられた銃から硝煙が立ち上っている。


 駆け寄ってみると――

 ――いた!


「あー! 大変! トウコちゃん!!」


 トウコは水たまりから顔だけを出してあがいている。

 顔と左手だけが水面から出ている状態だ。


 思いのほか水たまりは深いらしい。


「がぼっ! て、店長!」

「トウコ! つかまれ!」


 俺はトウコへ手を伸ばす。


 近づくと水たまりの中が見えた。

 少し濁った水。

 その中に色が違って見える部分がある。


 なにかがゆらゆらと蠢いている――!


「スライムに引っ張られてるっス! ううっ!」

「おいおい一匹や二匹じゃない! うようよしてるぞ!」


 俺は差し出されたトウコの手をつかんだ。

 と同時に、水たまりからなにかが伸びてくる。


 スライムが触手のように体を伸ばしてきたのだ!


「うおっ!」


 腕に絡みつかれた!

 手袋と服の間の皮膚にスライムが触れている!


 焼けるような激しい痛み。

 酸性の消化液が俺の腕をむしばんでいる!

 まるで焼けるようだ!


 それだけじゃない!

 スライムは俺の腕をぐいぐいと引っ張っている!


 だがトウコを掴んでいる手を放すわけにはいかない!

 腕におもいきり力を込めて引っ張り上げる!



「でえいっ!」


 なんとかトウコを水たまりから引きずり出した。


「あ、あざっス!」


 いや、まだだ! まだ安全じゃない。

 トウコの足と腕にスライムはまとわりついたままだ。


「ひえーっ! しつこいっス!」

「早く水から離れろ!」


 スライムはトウコを水たまりへ引き戻そうとしている。


 俺の腕に巻き付いたスライムも同じだ。

 体を登るのではなく、水場へと引っ張ろうとしている。


 一匹ならたいした力はない。


 だが――

 何匹ものスライムが水たまりから体を伸ばして、うぞうぞと蠢く。

 まとわりつかれたらヤバい!


 ここは危険だ!



「水の中に引き込む気か? ……させるか!」


 俺は腕に術をかける。


 【反発(はんぱつ)の術】!


 体表に反発力が生み出される。

 スライムは弾けるように飛び散る。


 びちゃりと地に落ちたスライムは一つにまとまろうと、うねうね動いている。

 引きはがしただけ。倒したわけじゃない。


 核はどこだ――!?


「て、店長! こっちも早く! くそーっ!」


 トウコの右腕は銃ごとスライムに取り込まれている。


 左手の銃を撃とうとしている。

 だが自分を傷つけずに撃つのは無理だ!

 トウコは狙いを定められずにいる!


「って言ってもな、どうするかーー」


 【反発の術】は自分の体や服にしか効果がない。

 トウコの体にはかけられないのだ。


 しかたない!

 俺はトウコの体にまとわりついたスライムに手を突き込む。


「はじけないなら――【吸着(きゅうちゃく)の術】だ!」


 逆にくっつければいい!

 スライムを手でこそげ取るように吸着していく。


「おお、あざっス!」


 トウコの腕からスライムを引きはがす。

 続いて、俺の腕に移ったスライムを【反発の術】で弾き飛ばす。


 スライムがはじける。


 意識を集中し、目を凝らす――


 飛び散った粘液のなか、(弱点)が見えた!


「あった! ――引き寄せの術!」


 空中の核を引き寄せて掴み取る。

 すぐにそれを握りつぶす。

 核が壊れると同時に、飛び散った粘液が塵となって消える。



 リンが駆け寄ってくる。


「ゼンジさん! トウコちゃん! 大丈夫ですか!」

「リン、トウコの体に残ったスライムを焼いてくれ!」


 腕のスライムは取り除いた。

 残りは足に絡みついているやつだ。


「はい! ちょっと我慢してね、トウコちゃん!」


 俺の術より、焼いたほうが早い!


 リンがスライムに炎を吹き付ける。

 焙られたスライムはのたうちながら縮んでいく。



「あじゃじゃ! あっつう!」


 リンは【防火】でトウコが熱くならないようにしているようだ。

 だが完全に熱を消せるわけじゃない。限界はある。


 さらに、このスライムは燃えにくいらしい。

 いつものスライムより水分が多いのかもしれない。


「あ、核がありましたー。えいっ!」


 リンは核を狙って火を集中させる。

 核が破壊され、スライムが塵になって崩れる。


「よし、倒したな!」



 リンは眉を寄せて言う。


「ごめんねトウコちゃん! もっと早くできたらよかったんだけど……」

「ぜんぜん大丈夫っ! おかげで助かったっス!」


 トウコは歯を見せて笑う。


 そうは言っても、肌には火傷のようなあとが残っている。

 消化液によるものだ。


 トウコはあまり気にしていないようだが痛々しい。


「ポーション使うか?」

「もったいないんで、応急処置で充分っス!」


 深い傷ではない。

 トウコは帯をちぎって傷口に巻いていく。


 【応急処置】スキルは、布を巻くだけで簡易な治療ができる。

 だが、間に合わせにすぎない。


「ケチらず薬草丸も飲んどけ。ほら」

「あざっス!」


 丸薬をトウコに渡し、自分も飲み込む。

 これで俺の手の痛みも和らぐ。


「店長も応急処置いるっスか?」

「いや、いらん。帯がなくなるぞ」


 薬草の効果で、ゆるやかに傷は癒える。

 俺の傷はほっといても治る。


「店長もエンリョせずに! 帯がなくなったら着物を裂いてでも巻いてあげるっス!」

「その服を直すのは俺だぞ! 遠慮しろ!」


 ケガが増えると服が減るシステム!

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― 新着の感想 ―
[一言] 包帯用の布も常備しとかないと… トウコの衣装がどんどん露出過多に!
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