途中まで武器なのに、最後は武器じゃない。なーんだ?
「次は武器を強化する。まずは忍者刀だ」
「これって絶対成功するんスか? 武器をロストしたりしてー」
フラグじみたことを言うな!
「え? 失敗すると、なくなっちゃうんですかー!?」
「ないない! あってたまるか!」
ゲームじゃあるまいし、そんなことはない。
ないよな【中級忍具作成】君!?
運がないとか失敗したなんて言葉は聞きたくない!
運の要素はない!
そう俺は信じている。
ここまでの検証で失敗はなかった。
何度も試したのは失敗の可能性も考えたからだ。
忍具じゃない場合や、スキルレベルが足りないとスキルが発動しないことはある。
だが、失敗作ができたり、武器が壊れたことはない。
フライパン鉢金?
忘れよう、黒歴史。
あれはイメージが不完全だったからだ。
具体的なイメージさえあれば【忍具作成】君は失敗しませんから!
満を持してのメイン武器強化である。
刀は軽いほうが扱いやすい。
だが、俺は打撃武器としても使う。
重さが威力に直結する。軽くしてはダメなのだ。
というわけで、威力強化でいく!
――【中級忍具作成】発動!
――威力強化!
よし、問題なく強化されたな!
完成品の武器を素材にすると通常は魔石の消費が少ない。
特殊効果を付与すると、かなりの魔石を消費する。
クナイに比べると刀はもともとコストが高いからな。
「魔石が減ってきたっスね! ちょっと集めてくるっス!」
「あっ! トウコちゃん!?」
そう言うとトウコは拠点を飛び出していく。
近場なら問題ないだろうが――
「【自律分身の術】 ――任せたぞ、俺!」
「おう、俺!」
トウコを追いかけて自律分身が走っていく。
お目付け役である。
「あと一品はいける。リンの希望はあるか?」
クローゼット・ダンジョンにもある程度の魔石はある。
俺の装備はあとで作ればいい。
リンはなにかを思い至ったようだ。
「私は――いえ、大丈夫です!」
ふむ……?
まだ遠慮しているらしい。
たぶん、欲しいのはアレだよな?
放置していた素材を使って、アレを作るか。
前から作ろうと思ってたんだけど、いい考えが浮かばなくて手を付けられなかった。
今ならいける!
【中級忍具作成】君ならできるはずだ!
「せっかくだから使ってない素材を使うぞ」
俺は戦利品箱をあさる。
取り出したのは――
「シカさんの角ですねー。武器を作るんですか?」
「試作段階では武器を作る。完成品は武器じゃなくなるはずだ。まあ、作れるかは試してみないとわからん」
なぞなぞみたいな言い方になっちゃうな。
リンは首をかしげている。
「途中まで武器なのに、最後は武器じゃない……なんでしょうか?」
攻略の役には立たないアレだ!
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