布面積は五パーセントで!?
テストは充分!
「さて、じゃあ本番だ。実際に使ってる装備を強化するぞ!」
「リン姉の布を減らすんスね! 五パーセントに!」
五パーセント減じゃなくて五パーセントだと!?
ほぼゼロっ!?
だが、そういうのは本人の前で言ってはいかんぞ……!
リンは遠慮がちに首を振る。
「トウコちゃん、それはちょっと……」
ほらみろ!
断られるに決まってる!
「とりあえず、今ある装備をアップグレードするぞ」
「はーい」
対象となるのは俺の忍者装束、リンのくノ一装束、トウコのミニスカ着物だ。
どれも忍者の衣装なので問題なく忍者道具である!
これを【中級忍具作成】で強化していく!
――成功!
「俺の装備は軽量化。二人の分は強度強化にしたぞ」
俺は素早さ重視。
二人はケガしないように。
「ありがとうございますー!」
「あざっス! じゃあ着てみるっス!」
トウコが服を脱ぎ始める。
「おいおい……トウコ! いきなり脱ぐな!」
「店長になら見られてもいいっスよね、リン姉!」
急に話を振られたリンは、あわててうなずく。
「う、うん」
いいのかよ!?
リンはもう、服の裾に手をかけている!
「って、よくねーわ! リンも雰囲気に流されるんじゃない!」
俺まで流されてしまうぞ。
欲望の波に!
「えっ? あ、そうですよねー」
俺は二人に背を向けて歩き出す。
「あ、店長どこ行くんスか!?」
「着替えだ着替え!」
俺は脱衣場へ移動して手早く着替える。
ふむ。着心地は変わらないな。
軽くなっているはずだが、体感ではわからない。
少しでも実戦で役立つといいな。
着替えて戻ると、二人も衣装を身につけている。
見た目に変化はないが、似合ってるね。
「店長の布は減ってないっスね! リン姉のも増えてないっス!」
分からん奴め!
「軽量化と布面積は関係ないんだよ!」
「うすうすスケスケもいいっスよ!」
うむ。厚みへのアプローチか。
それもいいよなあ。
……じゃなくて!
「で、着心地はどうだ?」
「いいですねー!」
「変わんないっス」
リンは満面の笑み。
トウコは普通。
これはリンの評価があやしいな。
なんでも喜んじゃうのも困りものだ。
もうちょい聞いてみよう。
「ごわごわしたりしてないか?」
「はい!」
「大丈夫っス! なんなら触って確かめたらいいっス!」
「確かめねーよ!」
「お洋服の強度はチェックしないんですかー?」
ん?
確かめるって!?
触ってほしいのか!?
リンまでそういうことを言いだすようになったか!?
いや! 真面目な話かもしれん!
わからん!
落ち着け俺。忍べ!
「……防具の強度は試さない。強化をあてにしないでくれ」
「うえぇ? どういうことっスか?」
「油断しないように、でしょうかー?」
「そうそう! 頑丈になったといっても五パーセント程度だからな。多少の防御力はあるだろうけど、結局は布だ。敵の攻撃は食らわないのが一番だ!」
「防御力なんて誤差ってことっスね!」
「まあ、そうだ。強化して増えた分はオマケ程度に考えろ」
金属鎧じゃあるまいし、防御力が多少増えても変わらない。
防具で受けるような戦いはできないし、する気もない。
全弾回避、被弾無しが俺の目指すスタイルだ。
二人もそうであってほしい。
「たったの五パーじゃ、そんなもんスね!」
「でも、ちょっと安心ですね!」
「五パーセントと侮るなよ。スキルレベルが上がったら、重ねがけできるかもしれないぞ」
「五段階で二十五パーっスか? それなら強そうっス!」
中級スキルなので二段階にするには四ポイントかかる。
その次は……八、十六、三十二。
「あと六十ポイントですねー」
「あと十二レベルっスか? そんなに待てないっス!」
「遠いな……!」
他のスキルも取りたいし、ポイントが足らなすぎる!
防具はこれでよし!
ボスグモの素材を使った新装備も作りたい。
それはおいおいやっていこう。
次は武器を強化するぞ!
 




