自分らしく流されず……突き進め! 理想の忍者像!
「忍者っぽい術で固めてくか。となると、やっぱ分身だよな!」
俺のメインスキルは【分身の術】である!
「でも、ポイント足らないんスよね?」
「そうなんだよな。ポイントを貯めてくか……?」
【自律分身の術】を上げる場合は八ポイント必要だ。
遠い。今すぐは手が出せない。
【上級忍術】は強力だがコストも高い。
育てるのは難しい。
「じゃあよく使うやつで! 【入れ替えの術】はどうっスか?」
「かっこいいよねー!」
トウコの言葉にリンがうんうんとうなずいている。
「入れ替えは【中級忍術】だけど、こっちも取れてないな」
「中級は他になにがあるんスか?」
【上級忍術】を見ていたが【中級忍術】だって捨てがたい。
まだ取れていない有力スキルは多い。
「これまで見送ったのは【吹き飛ばしの術】【金縛りの術】だ。取ったのは【判断分身の術】【入れ替えの術】【引き寄せの術】だな」
「吹き飛ばすのは強そうっス!」
「いいですねー。他にはなにがあるんですか?」
「【忍具作成】、【壁走りの術】、【忍具収納】の中級版があるぞ! これも捨てがたいぜ……」
ううむ。選択肢が多すぎて迷うわ。
選べる幸せよ!
【忍術】の上位版に当たるスキルにハズレはないだろう。
安心と実績のスキルたち!
どれを取っても、今後の戦いを有利に進められるだろう。
「上級の忍具作成はないんでしょうか?」
「んー。選べないみたいだ。【薬術】と【毒術】もない。条件があるようだな」
「前提のスキルじゃないっスか?」
「それっぽいな。ふーむ……」
俺は自分のスキルを見比べる。
【判断分身の術】は【分身の術】の上位版だ。
【分身の術】は最大レベルの五まで上げている。
【忍具作成】や【壁走りの術】のスキルレベルは三だ。
これらも上位スキルが出ている。
【薬術】【毒術】はスキルレベル二。
上位スキルは出ていない。
「あー、スキルレベルが三になると上位スキルが出るんだな!」
飛び級はできない。
基礎はおろそかにできない!
「あれ? そうすると、【自律分身の術】がヘンですね?」
中級の分身系統は【判断分身の術】である。
あれ?
おかしい。
俺も首をかしげる。
「【判断分身の術】のスキルレベルは二だな」
「そうですよね? 【判断分身の術】がスキルレベル三になっていないのに【自律分身の術】が取れてます!」
ルール上取れないスキルが取れていることになる。
飛び級してたわ!
「てことは、ボス報酬だからおトクだったんスね!」
やっぱり、ボス報酬のスキルはありがたい!
さて、そろそろ決めていこう。
「【中級忍具作成】が最有力候補かな。あとは――」
中級でほかの候補は【中級忍具収納】【空中歩行】あたり。
【入れ替えの術】はよく使うから、ポイント使って育ててもいい。
普通の【忍術】は今は忘れよう。
せっかくなら強い術が欲しい!
「――こんなもんか!」
俺は候補を二人に告げる。
しぼれてないけど!
「店長、よくばりすぎっス!」
「ゼンジさんは器用ですよね。いろんなスキルが使えてうらやましいです」
「まあ、スキルを選ぶのもダンジョン攻略の醍醐味だ。使いこなせないんじゃ、たくさん取っても意味ないけどな」
「あたしも結局、チャージばっかり使ってるっス!」
選ぶのはひとつだけ。
あとは貯金しておく。
スキルポイントを残しておけば安全マージンになる。
ピンチの時に必要な打開策を打てるからな。
そして【勤勉】で育てることも考える。
中級忍術から選ぶとしよう。
「よし決めた――【中級忍具作成】にするぞ!」
「うわっ! 地味っス! 忍法は? 忍法はっ!?」
「いいですねー!」
二人の反応はぜんぜん違う。
選ぶなら、心の友でしょ!
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