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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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守るべきもの――世間体、他人への配慮、あと一つは?

本日二話目!

 シャドウさんは少し息を乱している。

 能力の使用に伴う疲労だろう。


 移動させたり、回転させるのはコストがかかるのか?

 複雑で繊細な操作が必要になる。



 目を回していたトウコがふらふらと立ち上がる。


「あー。面白かったっス!」

「トウコちゃん、無理しないでね」


 俺は指を一本立てて、口に当てる。


「あと、ちょい静かにな。防音にも限界はあるぞ」


 今のところシモダさんは文句を言ってこない。

 だが経験的に、そろそろヤバい。



 トウコが不満げに言う。


「このアパートはまるごと社長(御庭)が買ったらしいっス! ちょっとくらい騒いでもいいんじゃないっスか!?」


 この物件は賃貸である。

 つまり俺もリンもシモダさんも借りているだけだ。


 貸主(オーナー)は別にいる。その権利を今、御庭が手に入れたのだ。



 で? シモダさんを追い出す?

 暴力やスキルで黙らせる?


 そんなことはできないし、したいとも思わない。

 トウコもそこまで言っているわけじゃないが……。


「だからって騒いでいいことにはならないぞ。隣人には配慮しないとな」

「そうですよー。ああ見えてもシモダさんはいい人ですからー」


 シモダさんは神経質で、正面から文句を言ってくるタイプ。

 ちょっと面倒だ。ちょっとだけ。


 それ以外は良き隣人だ。

 俺は嫌いじゃない。命の恩人だし。



 トウコは意外そうな顔をする。


「あれ? こわいとか言ってたのにきらいじゃないんスか?」

「それとこれとは別だ。嫌いじゃないぞ」


 世界の中心は自分だ。

 だが、それぞれの周りに世界がある。


 シモダさんの生活を俺たちがかき乱すことはできない。



 トウコは口をとがらせる。


「ちぇー! 店長マジメすぎっス!」

「そこがゼンジさんのいいところですよ!」


 リンは興奮気味にうなずく。


「それに騒ぎたけりゃここじゃなくて、ダンジョンに入ればいい」

「あー、それもそうっスね! なんかお腹すいたっス!」


 リンがトウコに微笑みかける。


「じゃあ、ごはん作るねー。トウコちゃん、なに食べたい?」


 トウコの晩飯がまだなら、一緒にいたシャドウさんもまだかな?


 シャドウさんは異能者だ。

 ダンジョンには入れない。


 それなら普通の料理を俺の部屋で食べればいい。

 俺は声をかけてみる。


「シャドウさんも良ければ食べてってください」

「いや、吾輩の用は済んだ。もうお(いとま)する!」


 御庭に頼まれてトウコの冷蔵庫を運んでくれた。

 普通の引っ越し業者に運ばせるわけにはいかない。


「あれ? もう帰っちゃうんスか?」

「遠慮なさらず、食べていってくれたらうれしいですー」


 シャドウさんが腕時計をちらりと見る。

 腕にたくさんバンドを巻いているけど、どれが時計なんだ?


「お心遣い感謝する。魔女殿。しかし家族を待たせているのである」


「あれ? シャドウさんて結婚してるんスか?」

「いや。待たせているのは母である。すっかり遅くなってしまったので心配しているだろう!」


「へー。そうなんスか! 冷蔵庫、あざっス!」

「どうも。トウコが世話になりました。お気をつけて!」


「ああ。ニンジャ殿! いずれまた!」


 そう言うとシャドウさんは足早に去っていった。


 公儀隠密の異能者にして影の王。境界の支配者。

 家族を愛し、門限を守りし者!


 かっこいいぜ!

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