スナイパーでレンジャーでニンジャー!? その2
シズカちゃんはダンジョン持ちだ。
だが手元にダンジョンはない。
こういうケースもあるんだな。
「そういえば、スナバさんはどうしてシズカちゃんがダンジョン持ちだってわかったんですか?」
ダンジョンは持ち去られたあとだった。
言葉を話さない幼女が自分で伝えられるわけもない。
その場でダンジョン持ちかを判別する方法なんてあるのか?
「シズカがスキルを使っていたからだ。そのおかげで無事でいられたんだろうな」
「例の認識阻害のような能力で隠れていたってことですか?」
「そうだ。俺はスキルのおかげで気づけたが、そうでなければ見落としていたかもしれん」
「スキル? スナバさんってダンジョン持ちなんですか?」
「ん? そうだが。聞かされていないのか?」
俺たちがコードネームを知っていたから、御庭から聞いていると思っていたパターンか!
「御庭からはコードネームを聞いたことがあるだけで、詳しくは聞かされてないんですよ」
御庭は他のメンバーの情報をあまり話さない。
能力を知られるのはリスクだからな。
ま、コードネームから推測できちゃうけど!
スナバさんはザ・スナイパーだから、狙撃系能力だと予測!
「では、改めて自己紹介しよう。俺はダンジョン保持者だ。職業はレンジャー。銃を扱えると思ったが、弓使いだった。まあ、似たようなものだ」
思ってたのと違う!?
レンジャー違いだ!
「そっちのレンジャー!? 弓を使う斥候職ですね?」
ゲームでよくある職業だ。
弓使いと斥候を兼ねるやつ。
「そうだな。【弓術】【短剣】が選べたが、俺は【狙撃】を選んだ」
おお、さすがスナイパー!
武器スキルを無視して【狙撃】を選んだのか!
スナバさんは実銃を持っている。
当然、爆薬も持っているだろう。
公儀隠密は武器弾薬を提供してくれる。
「ダンジョンの中で銃は使えませんよね?」
普通なら使えない。
レンジャーの職業なら使えるんだろうか?
「ああ。銃は作動しないし、爆薬も同じだ」
残念。レンジャーでも銃はダメか。
スナバさんは爆薬も試したらしい。
俺も試した。
少量の火薬は使える。着火玉とか煙玉だ。
破壊力の強い爆弾は作れない。
「着火はできるのに爆発はしないんですよね」
「ああ。不思議なものだな、ダンジョンは」
「スナバさんは弓で戦うんですか?」
「ボウガンを使う。これは問題なく動作する。【狙撃】もできる。【軌道計算】というスキルが便利でな。目測で狙撃ができる」
「発射前に弾道がわかるんですか?」
「そうだ。本来の長距離射撃は風向きや距離、高低差などを考慮して計算しなければならないんだが……」
重力や地球の自転なども影響するらしい。
エンタメ映画の狙撃手は一人で行動するが……。
「【軌道計算】があれば観測手要らずですね」
「お? わかるか、クロウさん!」
トウコが銃を使うので調べていたミリタリー知識が役に立った。
「かじった程度の知識ですけどね」
「一人でも撃てないことはないが、精度は劣る。おっと、脱線したな」
「戻しましょう。シズカちゃんをスキルで見つけたんですよね?」
「ああ。シズカを発見できたのは【探知】や【追跡】のおかげだろう。これがなければ素通りしていたかもしれん……」
「シズカちゃんはスキルで隠れていた。それをスナバさんがスキルで発見したんですね」
隠れるスキルを発見スキルで相殺した感じだろうか。
対策スキルがあれば見破れるのだ。
俺は【隠密】状態のストーカーと戦ったことがある。
強力な効果に、姿を捉えることすら難しかった。
俺もそういうスキルが欲しくなってきた!
 




