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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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リアルダンジョン攻略記の調査結果! 浮上した名前とは……!?

 腕時計の端末から御庭を呼び出す。

 すぐに応答があった。


「やあクロウ君。どうしたのかな?」

「――という訳なんだが、時間あるか?」


 俺は事情を説明する。


「僕は外出している。ハカセとは話せるよ」

「そうか。刀や槍を持ってたら見せてもらおうと思ったんだけど――」


「そうかい! 今度見せてあげるよ! 古今東西、あらゆる流派のめずらしい忍具の数々をね!」

「あ、やっぱり集めてるんだそういうの……」


 少し会話して、通信を切る。


 武器は今度見せてもらうことになった。


 今日は御庭は不在。

 でもハカセは拠点にいるらしい。


 というかハカセは常に拠点にひきこもっている。




 そういう訳で、御庭の拠点へやってきた。

 寺の境内に入る。


「ん……?」


 何かいやな感じがする。

 ダンジョンの外では【危険察知】は働かないはずた。

 だが似ている。


「急にどうしたんですか、ゼンジさん?」


 立ち止まった俺にリンが声をかける。

 もういやな感じは消えている。


 周囲を見回してみても、異常はない。


「誰かに見られているような感覚というか……。言葉では説明しにくいんだけど」

「そうですか? 誰もいませんよー?」


 さびれた廃寺だ。参拝客などいないし、人影はない。


「ま、気にしてもしょうがないか!」


 ここは味方の拠点だ。

 あまり気を張ってもしょうがない。

 といって気を抜きすぎないように、警戒は残す。



 俺たちは本堂ではなく御庭の事務所がある建物へ向かう。

 この地下に公儀隠密の拠点がある。

 ハカセはここにいる。



「お、来たねー。クロウっち! オトナシっち!」

「どうも」

「こんにちはハカセさん」


 俺たちは軽くあいさつを交わすと本題に入る。


「で、今日聞きたいのは頼んでおいた件なんだけど……」

「もう調べ終わってるよー。聞きに来ないから興味ないのかと思ったんだけどさー?」


「あ、もう調べ終わってるんですね!」

「そりゃそうさ! 俺っちの腕で調べられないことなんて、あんまりないぜ!」


 あんまりない、か。

 さすがに何でもわかるわけじゃないんだな。


「調べ終わってたなら教えてくれよ!」

「まあ、そのあと色々あったし、こっちも忙しかったからねー」


「ああ、ショッピングセンターの事件か」

「他の事件の後片付けもそうだし、いろいろあんのよ」


「そりゃお疲れさん。聞かせてもらえるか?」

「いいよー。リアル・ダンジョン攻略記についてね。前も言ったけど、ネット上にそういうサイトは存在しない」


 最初に頼んだ時に見てもらった。現時点で、ネット上にサイトは存在しない。

 俺はうなずく。


「ああ、そうだったな」

「過去存在していた形跡もなかった。だけどそれを検索した人は何人かいる。クロウっちみたいにね」


 俺はたしかにリアダンを読んだし、その内容も覚えている。

 でもネット上には存在しない。


 俺のパソコンも調べた。

 だけどブラウザのお気に入り(ブックマーク)にすら登録されていなかったし、閲覧履歴にもなかった。


「それで、その人たちの端末にも侵入したのか?」

「咎めるような言い方はよしてくれよ? 該当者は三名いた。そして全員――行方不明なんだ!」


 リアダンを検索していたということは、俺と同じ立場ってことだ。

 あるいは、探ろうとしていた何者かって線もあるか?


 ハカセが探し出せなかったということは、本当に行方が知れないということ。

 つまり――


「――その人たちはパージされたってことか?」

「だろうねー。クロウっちは激しい頭痛を味わったんでしょ? それは認識阻害(ブロック)の働きだ。それでも危険な情報を知ろうとしたらいずれは追放(パージ)されちゃうよねー?」


 俺は危険性に気づいて途中で調べるのを後回しにした。

 パージの実例も見た。

 そうでなければ、他の人たちと同じ末路だったのかもしれない。


 リンが口を押えて言う。


「そんな……」

「その人たちを調べてみたけど、明確な共通点はなかった」


「いちおう俺も確認したい。見せてくれるか?」

「いいよー。ほい!」


 ハカセが軽快にキーボードを叩く。


 ディスプレイに情報が映し出される。

 顔写真、名前、住所。個人情報がこれでもかと書き出されている。


 その中に気になる名前を見つける。


「スゲタ リヒト……?」


 リヒト!?

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