四階層の逆ルートにもやっぱりあった! それを使って忍者武器を作ろう! 【装備】
書いていたら長くなったので分割。
今日は久しぶりに二話更新の予定です!
検証を繰り返しながら、四階層の逆ルートを進む。
こちらのルートは行きのルートよりも足場が広くて動きやすい。
逆に、隠れる場所は少ないので【隠密】には適さない。
まあ、今は正面からゴリゴリと戦っていく気分なので問題ない。
【瞑想】によって回復できるおかげで、魔力酔いが起こりにくい。
【分身の術】を多めに使っても大丈夫だ。
検証でアクションスキルを連発したが、クールダウンのおかげもあって負担は小さい。
もしかしたら、クールダウン時間は安全装置なのかもしれない。
【分身の術】を連発したときは、クールダウン時間が切れたら次々と出すようにしていた。
【分身の術】は【フルスイング】などと比べてクールダウン時間が短い。
だから連発できる。
……連発できてしまう。
それによって魔力酔いが起こったんだ。
【分身の術】は連発を想定したスキルなんだろうか。
あるいは武器系のスキルとの違いか。
忍者たるもの自己管理をせよ! ということかもしれない。
自分を知って、うまく使えということだな。
スキルレベルが上がるとスキルは強くなる。
そして魔力のコストが高くなる。
クールダウン時間も短縮される。
いいことずくめのように思える。
しかし、魔力酔いのリスクは高まっているのだ。
気を付けないとね。
考えながらも、足は先へ進めている。
コウモリとゴブリンを同時に相手取る状態は面倒なので、それだけ気を付けていく。
まあ、見つけた敵を全部倒していけば背後は安全になる。
とはいえ、コウモリは地底湖の上だろうと渡ってくるし、移動速度が速いのでまったく背後を無視できるというわけにはいかない。
つくづく、邪魔な奴である。我がライバルにふさわしい。
「ん、あれはなんだ? 横穴か?」
前方の壁に、少しくぼんだ場所がある。
岩が削れて洞窟状の横穴になっている。
近づいてみれば、人間が立って歩ける程度の細い横穴だ。
だが、別の部屋につながっているというワケではない。
すぐそばに行き止まりが見えているのだ。
そしてその奥には――
「やった! 宝箱だ!」
逆ルートにあった宝箱と見た目もサイズも同じくらい。
木製で、シンプルな箱。
プラスチック収納ケースと同じぐらいのサイズ。
もちろん、俺が中に入るには小さい。
警戒しながら、宝箱を開ける。
今回も、罠はない。
「中身も同じか……鉄鉱石だ」
宝箱の中には、こぶし大の鉄鉱石が入っている。
宝箱のサイズに見合わず、鉄鉱石がぽつんと入っている感じ。
箱は大きいんだから、もうちょっと大きい石を入れといてくれたらいいのに。
まあ、文句は言うまい。
タダで手に入るありがたいアイテムだ。
石じゃん……といえばそれまでなんだけど。
まさに今欲しかったんだ。
せっかく【片手剣】を取ったからな。
作りたいじゃない。忍者武器を。
【忍具作成】のレベルを3に上げれば、複雑な道具が作れる。
となれば、念願の忍者刀を作れるはずだ!
だが、スキルポイントが足りない!
残ポイント1……。
スキルレベル3に上げるには4必要だ。
「片手剣系列に3ポイント振ったから足りない! でも片手剣のために【忍具作成】のレベルを上げたい! ……くう、うまくできてやがる!」
……せっかく、材料はあるのに。
【忍具作成】レベル2は普通の道具を作成できる。
レベル3で、やっと難しい道具を作成できるようになる。
忍者刀は難しいと確信している。
日本刀なのだ。
匠の技術が、伝統の技が求められる。
複雑な材料、複雑な工程、繊細な技術が必要だ。
俺がこじつけたり思い込んだりしても、無理だ。
というか、思い込むことすらできない。
そのくらい、刀は尊いものだ。
何百年、何千年と積み上げた技術の集大成だ。
戦のたびに進化して、今の刀になったんだ。
これを一朝一夕で作れてたまるものか!
専門の職人が代々受け継いだ技術で、複雑な工程で作り上げる逸品なのだ。
うんうん。うん?
ということは【刀鍛冶】とか【刀匠】みたいなスキルが必要なんじゃ……?
いやいやいや!
俺は頭に浮かんだまっとうな疑問を打ち消すように首を振った。フルスイングした!
忍者刀は忍具だ。
まちがいない。間違いないんだ!
【忍具作成】さんはできる奴だ。やればできる。信じよう!
今はまだ発展途上なんだ。レベル2は普通まで。
でもレベル3になればできるはずだ。
できるよね? できるとも!
レベル2で作れなんて無茶は言わない。
俺は無茶な値引きや値下げ交渉などしないのだ。
言い値で払おう。素材も魔石も好きなだけ用意しよう!
忍者刀を作るのは絶対なんだ。使命なんだ!
頼むよ? あとでたっぷりポイント弾むからさ。
そのときがきたら、君の全力を見せてくれ。思う存分ふるってくれ。
忍者たるもの、絶対に外せない装備なんだ!
クラフトは拠点に帰ってからと言ったな……あれは嘘だ!
嘘と言うか、状況次第ですね。




