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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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自律分身は見た!? 十一階層のめまいを誘うあやしい秘密……!?

没タイトルシリーズ

■偵察結果! 効果時間の増加で効率爆上げ!?

 自律分身の記憶――


 自律分身は洞窟を全力で走っている。


 ――くそ、もうすぐ術の効果時間が切れそうだ!

 ――せっかくここまで来たんだから間に合え!



 ――拠点へと走り込む。セーフ!

 ――間に合っ……!?


 ――俺とリンが仲(むつ)まじく抱き合っている!?



 俺は意識の再生(フィードバック)を中断してツッコむ。


「って、さっきのシーンからかよ!?」と俺。

「ど、どうしたんですかゼンジさん?」


 リンがびくっとする。

 突然虚空に向けてツッコみだすとか、驚くよな。


「ああ、ごめん。こっちの話だ。続き見てくる」

「そうですかー」



 【意識共有】は印象が強いところが残りやすい。


 偵察結果より、こっちの印象が強いか。

 そりゃそうだ。


 軽い寝取られ(NTR)感と喪失感、そして嫉妬。

 ついでに喜びを感じる。


 ついでかよ!



 再び記憶をたどる――



 自律分身は松明を手に、十一階層に足を踏み入れる。


 ――見た目は洞窟風か。暗いな。

 ――道幅は広い。

 ――松明の明かりは天井まで届かない。結構高いかな。


 広い通路が続いている。

 うねるように続く洞窟は先が見通せない。


 ――む。羽音(はおと)がするな。

 ――これは……コウモリか。まだ遠い。


 自律分身は洞窟の壁面に寄り、盾を持ち直す。

 そのまま前進して、開けた場所へ出る。


 ――ここは明るい。松明なしでもなんとかなるな。


 洞窟の壁面の一部が崩れて、光が差し込んでいる。

 崩れている位置は高く、ここからはよく見えない。


 ――あれは……?

 ――なにか、いる?


 自律分身の目が、光の中を横切るなにかを捉える。

 ひらひらと変則的に飛んでいる。


 ――コウモリとは違う。一匹じゃないな。たくさんいる……。


 羽音は小さく、ほとんど聞こえない。

 コウモリのようなばさばさと羽ばたく音はしない。


 ――壁面にもいるな。


 (はね)を広げて壁面に張り付いている。


 ――こいつは……()か!?


 大きな蛾だ。大きさはモンスターのコウモリよりやや小さい。

 俺の前腕(ぜんわん)――ひじより先くらいのサイズ感。


 胴体はぶよぶよとして毛深い芋虫みたいだな。

 羽は茶色、背中に鮮やかな赤い模様がある。

 模様はまるで目玉みたいだ。


 そして後翅(こうし)の一部は長く伸びている。

 まるで尻尾のように、ゆらゆらと揺れている。


 ――尾状突起(びじょうとっき)だ。これを参考にマフラーを作ったんだよな!

 ――ピロピロしてるな。へえ、実物はこんな感じなのか!


 自律分身はもっとよく見ようと、身を乗り出す。

 だが体がよろめき、壁に手をつく。


 ――む……? めまいがする……。


 ぐらぐらと揺れる視界。視点が定まらない。

 体が熱く、汗ばんでくる。


 ――これは……攻撃を受けている!?


 座り込み、盾に隠れて壁に身を預ける。

 だが、めまいは収まらない。


 ――くそ。このままここにいるのはマズい!


 コウモリは、羽音が聞こえるだけで距離は離れている。

 近くにいるのは頭上の蛾だけだ。


 いや!? だんだんとコウモリの羽音が近づいてくるぞ。


 ――や、やばい。めまいだけじゃない……体の動きが鈍くなってきた!

 ――このままじゃ、やられる!


 自律分身は小瓶を出す。

 そして黄色い液体を飲む。


 状態異常回復薬(リカバリーポーション)である。


 ――効け! 頼む……!


 揺れる視界の中、コウモリが姿を現す。

 九階層のものより大きい!


 ――来やがった! くそ、まだ見つかってないよな……!?


 自律分身は壁と床の隙間、盾の陰へと身を隠す。

 荒くなった呼吸をなんとか鎮める。


 ――大丈夫。バレないはず……。

 ――ここなら目立たないはずだ!


 コウモリがお得意のエコーロケーションを使ったとしても、こうしていれば壁や床と判別できないはず。

 数秒が長く感じる。


 やや間を置いて、めまいが収まってくる。


 ――よし、効果あったな!



 コウモリには見つかっていないようだ。

 羽音だけが激しく聞こえるが、こちらに寄ってこない。


 ――撤退する!


 再び体調を崩す前に、じりじりと後退する。

 階段までたどり着き、安堵の息を吐く。


 ――ふう。なんとか戻ってこれた。

 ――さっきのは蛾の攻撃だろうな。毒か……?


 どういう攻撃を受けたのかははっきりしていない。

 目に見えるような攻撃は受けていない。


 ――しかし深追いは禁物だ。

 ――十一階層の偵察はこれくらいにしておこう!

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分NTRという斬新な感覚… それにしてもなんだか自律分身色々イレギュラーすぎて そのうち自我生えたりしそうな…?
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