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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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転送門移動の条件と自律分身の特殊な扱い!?

 転送門は移動できなかった。

 攻略者が中にいると、転送門は移動できないからだ。



 リンはしょんぼりと肩を落とす。


「もっとはやく言えばよかったでしょうか……いろいろ試したいと思って……」

「いや、リンは悪くない! 考える方向の意見は歓迎だ!」


 考えたり、試したりするのは楽しい。

 その結果わかることもある。



「じゃあいろんな詠唱を試したいっス!」

「いや、それはいいや。トウコの管理者権限ができたときな!」


 トウコは口をとがらす。


「ちぇー! 考える方向の意見が却下されたっス!」

「まじめに考える方向で頼むぜ……」


 別にトウコの意見を否定する気はないけど……。

 中二病詠唱やポージングはちょっと……!



「んじゃ、マジメに。店長二号が出てきたら動かせるんスかね?」

「そうなるな。でも()()()()わかったこともある」


「え? なんスか?」


 トウコは首をかしげている。


 中に攻略者がいると移動できない。

 これとは別に分かったことがある。


「自律分身も攻略者とみなされるってことだ!」

「あー、二号が人間扱いされてるんスね?」


 自律分身は俺の意識と経験を持った、分身だ。


 分身はスキルで生み出した存在。

 人間じゃない。


「つまり攻略者は()()とは限らないんだよ」

「ということは……吸血鬼さんも攻略者になるってことですね?」


「吸血鬼か……ダンジョンを持っていてもおかしくはないよな」


 ウラド達はダンジョンに詳しいようだ。

 ダンジョンを持つ仲間がいると考えるのが自然だろう。


 人間だけがダンジョンを持てる、なんてルールはないと思う。



「それにしても分身さんの扱いって変わってますよねー」

「そうだなあ」


 分身はシステム的に微妙な扱いを受ける。

 俺と関連付けられることもあるし、別の存在とされることもある。


 モノリスは操作できないのに、攻略者とは扱われる。

 不思議な存在だ。


「二号が戻ってくるまで移動は試せないんスか?」

「ま、そうだ。移動はあとにして命名とメッセージ機能を確認しようか」


 ダンジョンに名前を付けるってことだろう。

 ネーミングセンスが問われる!


 メッセージ機能は――


 トウコは眠そう目をこすっている。


「うーん。あたし、そのへん興味ないっス」

「そうか? なら、急ぐ話じゃないし後日でいいか」


 リンが前のめりで言う。


「私は興味ありますよ!」

「んじゃ、いったん休憩して、続きはその後にするか」


 ずっと調べものとしていると疲れるし、息抜きも必要だ。

 帰還モノリスのおかげで楽ができたとはいえ、攻略の疲れはある。



 ――俺達は、草原ダンジョンに移動した。

 準備して風呂につかる。


 明るい陽射し。風はさわやか。

 リンが沸かしたお湯は温かい。


「ふぅー」


 湯の中に疲れが溶け出していくかのようだ。



 トウコは湯舟のへりに腰かけている。

 体が小さいからのぼせやすいのかな?


 タオルからはみ出した足を水滴が伝って落ちる。

 俺は湯舟につかっている。……危険な角度だ。


「店長って、いいカラダしてるっスね!」

「そ、そうですよねー」


 リンは俺の胸板あたりをじっと見ている。

 見すぎじゃね?



 俺はリンの胸元を見ないようにしているのに!

 タオルを巻いたって、隠しきれないその体……。


 隠されると暴きたくなってしまう。

 そう、これは本能!


 待て待て俺!

 忍べ……!


 俺は煩悩を振り払って言う。


「ああ、ダンジョンで体を動かしているからな」

「そ、そうですよねー」


 リンは顔を赤くしている。

 見すぎじゃね?



 ダンジョンが現れてからずっと、ダンジョン攻略に励んでいる。

 仕事で体を動かすのとは密度が違う。


 激しい運動は、俺のぜい肉をそぎ落としている。

 筋肉もついてきた。

 忍者らしい、引き締まった体ができあがったのだ。

 仕上がってきたぜ!



「リン姉、大丈夫っスか?」

「ええと、あれっ?」


 リンの顔はさっきより赤い。

 視線が定まっていない。


 頭をふらふらと揺らして、俺にもたれかかってくる。


「おっと。大丈夫か?」


 俺はリンをそっと支える。

 体温は熱いほどだ。柔らかく、吸い付くような肌。


 あ、いかん。

 俺も頭がくらくらしてきたわ!


「あ、ごめんなさい……のぼせてしまいましたー」

「あ、ああ。ちょっと休んだほうがいい。――分身の術!」


 俺が抱きかかえて運ぶわけにもいくまい。

 分身を使って、リンを湯舟に座らせる。



「リン姉! お水持ってきたっス!」

「あ、ありがと」


 リンが喉を動かして水を飲む。

 こぼれた水が喉を伝って、胸元へと流れていく。


 火照(ほて)った体はなまめかしい。

 リンはトウコに寄りかかるようにして休んでいる。


 その様は尊く、一枚の絵画のように思われ――


「うへへ! 役得(やくとく)っス! 生きててよかったーっ!」


 ――トウコのゆるんだ表情は尊くも絵画的でもない。

 おっさんのリアクションかよ!?



 俺は湯舟につかって忍んでいる。

 動くに動けないぜ!


 このままじゃ俺ものぼせてしまう!


 落ち着け……!

 脱衣所の分身へ【入れ替えの術】を使えばいいのだ……。


 なに!?

 ――発動できない、だと!?


 水中にいるからか!?

 サイズが大きくなっている扱いだと!?


 これはボス戦と同じ状況だ!

 クモの糸がくっついたトウコには入れ替えの術はかけられなかった。

 糸や床と、体が一体になっていたからだ。


 なにかが体に密着していると、サイズ制限にひっかかってしまう。


 水もダメなのかよ……!?

 制約が厳しいな!


 意外な発見である!

 そして已然(いぜん)としてピンチである!

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― 新着の感想 ―
[一言] サイズ違いで入れ替え出来ないって 勃っちゃうと入れ替え出来ないってこと⁈ ノクターン行き⁈ と思っちゃいました
[一言] ナイスお約束☆(いい笑顔
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