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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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開けダンジョン! わが意思に従い闇と光の狭間より来たれ!

 引き続き、管理者権限でできることをチェックしていこう!


「あとはダンジョンの命名と、メッセージ機能と、転送門の移動だな」

「メッセージ機能とか、どうでもいいっス!」


 どうでもよくはないだろうよ!


「最後までチェックしたいと言っていたくせに、眠くなってきているだろ!?」

「面白そうなところだけ知りたいっス!」


 お前……。ワガママ言いよる!


「転移門の移動はどうかな? 面白そうですよー。暴食さんが使っていたかもしれません!」

「あっ、それは気になるっス!」


 なんとか盛り上げようとしてくれるリン。

 別にトウコを接待しなくてもいい気がしてくるけどな!


「んじゃ、それ先にするか」


 俺は画面を操作してメニューの転移門の移動をタップする。



 頭の中に音声が流れ、画面に文字が表示される。


『転送門の移動はダンジョン外で行います』

『一日一回、任意の場所へ転送門を移動することができます』

『ダンジョン内に攻略者がいる場合には実行できません』


「おっ? これは説明があるぞ」

「これは説明なしじゃムリっスね!」


 さすがに説明の少ないダンジョンシステムも、これくらいは説明してくれるんだな。

 三行だけど!



「攻略者って、俺たちのことか?」

「ダンジョンの中に人がいてはダメなんですねー」


「じゃあやってみてほしいっス!」

「今か? ま、やってみようか」



 ダンジョンを出て俺の部屋へ。

 クローゼットの前に立つ。


 で――どうすりゃいい?


「あー。外だとステータスウィンドウは呼び出せないけど……どうやるんだ?」


 トウコがポーズを決めながら言う。


「そりゃもちろん――ダンジョンオープンと唱えるんスよ!」

「そうなんだー」


 リンは素直にうなずいているが――そんなものあるか?


 ステータスオープンはわかる。

 ……お約束だ。


 でもダンジョンオープンは聞いたことないぞ。


「そんなお約束はないよな?」

「まあ、とりあえず叫んでみるっス!」


 ここはダンジョンの外、アパートの部屋だぞ!?

 パージされるか正気を疑われるわ!


「叫ばねーよ!」

「でも、やってみないとわからないっス!」


 トウコはニヤニヤしている。

 面白がりおって。


 とはいえ、試してみないとわからないのは確かだ。

 俺は小声で言ってみる。


「……ダンジョンオープン」


 ……ふむ?

 転送門はクローゼットの中にあって変化はない。


 リンが気まずそうに言う。


「なにも起きませんねー」

「う、うむ……」


 なにも起きていないわけじゃない。

 俺の正気度(SAN値)が減少したよ!



 トウコが楽しげに言う。

 しゅばばっとポーズを決めながら言う。


「呪文が間違っているかもっス! 開けダンジョンの門! わが声にこたえよ! が正解かもしれないっス!」

「そうな……の?」


 さすがにリンもうなずかない!


「テキトー言うな!」

「そういえば、暴食さんはなにも言ってませんでしたねー」


 トウコがおののく。


「無詠唱で門を開いただとうっ!?」


 もういいわ!

 俺はトウコをスルーする。


「暴食はあのタイミングで門を設置したんじゃないと思うぞ?」

「あ、そうですよねー。好きなときに出せるなら、もっと簡単に逃げられちゃいますよね!」


 転送門は暴食の退路だ。

 事件前に消火器ボックスに転送門を設置していたと考えられる。


 一人残ってモンスターを狩っていたのは無事に帰れる自信があったんだろう。



「なら、もっと近くにしたらいいっス!」

「近くって、三階のどこかか?」


 暴食のダンジョンの入口は駐車場への連絡通路にあった。

 売り場(フロア)からは少し遠い。


「売り場には設置できなかったんでしょうかー?」


 理由か。

 うーむ……。


「人目があるからか?」

「ちょうどいい箱がなかったのかもっス!」


 消火器ボックスのような、普段誰も明けない密閉空間。

 たしかに、条件に見合う()はそんなに多くない。



 脱線したおかげで、ひらめいたぞ!


「あ、箱か! 転送門の()()()を指定しなきゃいけないんだ!」

「そうかもしれませんね!」



 トウコはきょろきょろと部屋の中を探す。

 なにか見つけて、キッチンを指さしている。


「じゃあ、そこの冷蔵庫でどうっスか?」

「トウコちゃんのダンジョンとおそろいですねー」


 ダンジョンの場所をおそろいにしてもうれしくはないが……まあ、箱だ。

 ダンジョン化した実績もある。


「お、トウコにしてはまっとうな意見だったな!」

「で、呪文はこうっス! 世界に禁じられれし異界(いかい)の門よ! 契約の名のもとに封印を結びなおす――」


 トウコは一小節ごとにポーズを変えている。

 なんか長そうだ。


 これ以上、俺の正気度は危険にさらせない。

 俺は冷蔵庫を指差して言う。


「そこの冷蔵庫へ、ダンジョンオープン。……ふむ。無理だな」

「ああっ!? まだ途中っス!」


 トウコがヘンなポーズのまま固まる。


「今度にしようね、トウコちゃん!」

「次はないけど! ……ふむ。なにか見落としてるか?」


 管理コンソールが示した条件は三つ。


 ――転送門の移動はダンジョン外で行います

 ――一日一回、任意の場所へ転送門を移動することができます

 ――ダンジョン内に攻略者がいる場合には実行できません


 ん……これって――



 リンがおずおずと言う。


「えーと……分身さんが中にいるから……?」


 あ、リンはわかってたパターンだ!

 なら、やる前に言ってくれる!?


「……そうだな。自律分身が中にいるからだ」

「あたしはぜんぜん気づかなかったっス!」


 ちょっと考えればわかる話だったわ!

 トウコの中二病詠唱に気を取られてしまったぜ!


 このやり取りはなんだったのか……。


 俺の正気度に深刻なダメージ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 攻略者(人間ではない 特殊なパターンすぎる… というか冷蔵庫に移動したら食料が!?
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