表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

595/1473

管理コンソールの機能とは! ――階層移動!

 メニューの表示は以下の通り。


 --------------------

 ・ショップ機能


 ・階層移動


 ・ダンジョン情報閲覧(えつらん)


 ・ダンジョンの命名


 ・メッセージ機能


 ・転送門の移動

 --------------------



 ショップ機能はすでに見た。


「階層移動か。これはそのままの意味だろうな」


「さっきのトコに戻るんスかね?」


 帰還用モノリスがあった場所。

 つまり十階層のボス部屋の次、階段のある場所だ。


「試してみますかー?」


 リンが手を差し出してくる。

 俺はその手を取る。


 トウコが俺の逆の手を取る。

 っておい!


「手がふさがって操作できないんだよ!」

「あたしが操作するから平気(へーき)っス!」


 トウコがモノリスをタップする。

 一瞬間を置いて、トウコが間の抜けた声を出す。


「――あれ?」


 階層移動は起こらない。

 モノリスの画面も切り替わっていない。

 反応なしだ。


「もしかして、管理者権限がないと操作できないのか」

「ぬー!? なぜ反応しないんスか! あたしを拒絶すると言うのかっ!」


 なんかのアニメのセリフか?

 ちょっとわからんぞ!


 トウコはモノリスを連打している。

 モノリスはまったく反応しない。

 拒絶である。


 自動販売機にコインを飲まれた人みたいでちょっと面白い。


 笑いをこぼした俺にトウコが指を突きつける。


「あー! なに笑ってんスか店長ー!」

「いやすまん。トウコが滑稽(こっけい)でウケてただけだ。ははは!」


 トウコが目をむいて言う。


「なんかヒドいっスね!?」

「だから謝っただろ?」


 トウコは大げさに肩を落とす。


「なんスかー!? 素直に笑ってるところがニクいっス!」


 笑わせようとしてないポイントで笑われてるからか?

 ヨゴレ芸人としてのプライドみたいなもんだろうか。


「じゃ、リン姉はどうっスか?」


 もうトウコはけろっとしている。

 切り替え早いな!


「ためしてみますねー」


 リンがモノリスにそっと触れる。


「反応なしか。やっぱり権限がないとダメなんだろうな」

「そうみたいですねー」


 そう言いながらリンは、つつ、と長い指でモノリスの表面を撫でている。

 反応なし。


 トウコがばっと両手を広げてリンに言う。


「つつくならあたしを突いてほしいっス! さあどうぞ!」

「ええっ? ど、どうしたのトウコちゃん!?」


 トウコは緩んだ顔でリンににじり寄る。

 俺はその首元を捕まえて引き戻す。


「ぐえっ!」

「お前がヘンな反応してどうする!」


 俺も妙な反応してしまいそうだよ!

 ……じゃない!


 忍べ俺! 紳士を保て!



「ともかく、階層移動を押してみるぞ! トウコはリンにくっつけ!」

「うぇーい!」


 俺はモノリスを操作する。


 次の瞬間、胃の浮くような感覚。

 そして視界が暗転する。



「おおっ! 転移したな!」

「やっぱりゼンジさんじゃないとダメなんですねー」

「もう十階層っスか! こりゃ楽ちんっ!」


 やはり管理者権限を持つ俺にしか使えない機能だったようだな。


「なんかこの転移、ダンジョンの入口とは違うな」

「ふわふわしますねー」

「酔いそうっス! でもそれがクセになりそうっス!」


 ダンジョンの入口に入るときに比べて意識のラグが少ない。

 すっと飛ぶ感じ。

 意識がとぎれている時間が短い分、浮遊感が強い。



 ま、機能することが分かっただけで良しとしよう。

 今日はもう攻略しない。

 休息が必要だ。


 リンが心配そうに言う。


「分身さんはまだ帰ってきてないみたいですねー」

「やられてないっスよね?」


「ああ。やられたら俺にフィードバックがある。まだ元気だ」


 元気かどうかは知らないけど、そう言っておく。


 離れている自律分身の行動は俺にはわからない。

 【意識共有】は【自律分身の術】が解除されたときだけ発動する。


 こっちの様子も自律分身には伝わらない。



 俺はメモ帳を取り出す。


「店長、なにしてるんスか?」

「ん? 自律分身が戻ってきたときのために情報を残してるんだ」


 引継ぎである。報連相(ほうれんそう)は大事だぜ!


 俺は盾を一枚、目につく場所に移動する。

 そして、そこにメモを残す。


 ――十階層のモノリスに転移機能があること。

 ――俺たちは一階層へ戻っていること。

 ――管理コンソールは一階層にあったこと。



 リンが言う。


「分身さんはモノリスが使えないんでしたよね?」

「そうそう。前に二階層で試したけど、反応しなかったんだよな」


 自律分身はおそらく、ここにあるモノリスを使えない。

 拠点の管理コンソールも使えないはずだ。



「じゃあ、二号は歩いて帰ってくるんスか。うぇー。めんどー!」

「効果時間が切れたら歩いてくる必要はないけどな。面倒なら階段かこの部屋で待機してりゃいいし」


 もう一時間は過ぎただろう。

 まだ戻ってこないことから、時間が延長されているとわかる。


 十一階層の偵察が済んで、まだ無事ならここへ戻ってくるはずだ。

 スキルのない自律分身一人が進める範囲は限られる。


 というか、自律分身が一人で戦うのは無謀(むぼう)だ。

 敵に出くわしたら、無事に生き延びられるのだろうか?



 ステータスはあるとはいえ……【隠密】も【分身】もなしだ。


 盾と分銅、クナイ。ポーション。

 せいぜいが六階層のゴブリン四匹組と戦えるかどうかというところ。


「せっかくここまで来ましたし、分身さんを手伝いに行きましょうか?」

「いや、任せておこう。俺たちは一階層へ戻るぞ!」


「え? いいんスか?」

「ああ。無理なら戻ってくるだろ。偵察が目的だから無理に戦ったりしないはずだ」


 俺だったらそうする。

 あいつもそうする。



「んじゃ、またモノリスジャンプっスね!」

「せっかく来たし、置いてった荷物を拠点に持ちかえろうか」


 さっきは持たずに一階へ飛んだので、傷んだ盾がここに残ったままだ。

 これまでなら運んできた物資は残していた。


 ダンジョンの奥では物資は限られるからだ。

 毎回装備や物資を運ぶのは大変なので、なるべく深い場所に残すようにしていた。


 各階層の荷物置き場。補給ポイントである。

 これがあると次回の攻略が楽になるんだよな。



 今後は帰還モノリスのおかげで楽に行き来できる。

 この十階層が攻略の橋頭保(足掛かり)になるだろう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 移動は1Fと10Fのモノリス相互移動だけかぁ…階層指定できたらリポップ直後の5Fボスとか周回できそうですが。 …少し戻れば10Fボスも?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ