大損注意!? これは巧妙な罠だ!
俺の拠点部屋に新しいモノリスが現れた。
当然これも調べる!
「んじゃ、このままこっちのモノリスも試してみるか!」
リンが手を放そうとしないので、俺たちはつながったままだ。
新しいモノリスに触れる。
俺たちは身構える。
――だが、転移は起きない。
少し拍子抜けだ。
すると、モノリスの表面に変化が起きる。
二階層のモノリスに近い反応だな。
『管理コンソールへようこそ』
頭の中に音声が響く。
それと同時にモノリスの表面に文字が浮かび上がる。
ちゃんと日本語だ。
「おお、こっちが管理コンソールだったようだぞ!」
「まぎらわしいっスね!」
まったく紛らわしい!
タイミング的に十階層のモノリスが管理コンソールだと思うよな?
リンが興味津々の顔で言う。
「なにができるんでしょうかー?」
俺はモノリス――管理コンソールに触れる。
さらに表示が切り替わる。
画面の切り替わりはなめらか。ヌルヌル動く!
そこにはいくつかの文字列が連なっている。
俺はそれに目を通して言う。
「これは――メニュー画面だな」
このモノリスの文字は二人にも見えているようだ。
管理者権限の有無は関係ないらしい。
「ゲームっぽいっス!」
「ステータスウィンドウにも似ていますねー」
テレビゲームでポーズボタンを押したら出てくるシステムメニューに似ている。
モノリスの表面全体に大きな字で映し出されている。
テレビやモニターのようなディスプレイとしてはかなり大型だ。
「店長、早くなんか選ぶっス! 十! 九! はーち!」
「カウントダウンすな!」
急かされたくないわ!
メニューの表示は以下の通りだ。
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・ショップ機能
・階層移動
・ダンジョン情報閲覧
・ダンジョンの命名
・メッセージ機能
・転送門の移動
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「あ、ショップ機能がありますね!」
「んじゃ、ちょっと見てみよう。ボスの魔石を引き換えたいし!」
画面をタップすると、見慣れた画面へと切り替わる。
二階層のモノリスと同じ表示だ。
俺は大クモの魔石を取り出して投入――
――おっと、その前に!
一応トウコに聞いておくか。
「なあ、トウコ。これ食いたいか?」
「いらないっス!」
即答!
おいしそうに感じないということは、相性が悪いってことだ。
もちろん、俺も食べたくない。
相性以前に【捕食】がないからな。
俺はボスの魔石をモノリスに投入する。
するすると飲み込まれていく様はいつ見ても楽しい。
『交換したいアイテムを選択してください』
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大アミグモの魔石:1
1:クモの肉、クモの毒腺:10
1:丈夫なクモの糸2
1:クモの強力粘着粘液2
1:汎用ポイント40
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「お、なんかいっぱいもらえそうっス!」
「糸は二束、強力粘着粘液は二玉……、か?」
粘液の数え方……わからん。
トウコが身を乗り出して指さす。
「毒がいいんじゃないっスか!? 十個もあるっス!」
「待てトウコ! これは巧妙な罠だ。よく見ろ!」
「んー? なんかおかしいっスか?」
リンがモノリスの二か所を指さす。
「トウコちゃん。糸は丈夫で、粘液は強力だよねー?」
「あ、この毒って普通の毒なんスか!? 罠っス!」
「たぶんそうだろ。普通のアミグモからも取れる素材だから、ボス素材を使うのはもったいない」
普通の素材というだけじゃなく交換比率も悪い!
ちゃんと考えて引き換えないと損するぜ!
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