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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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七つの美徳は勤勉で!?

 天の声が【勤勉】(きんべん)スキルについて教えてくれた。

 経験値とスキル熟練度への補正が増加するらしい。


 強力な効果だ!


「おっ!? 天の声が珍しく親切だぞ!」


 トウコが半眼で俺を見る。


「このくらいの説明、当たり前じゃないっスかねー」

「まあ、そうか。いつも説明が少ないからありがたく感じちまったよ」と俺。


 ヤンキーが捨て猫にエサあげてるみたいな感じ。

 ギャップ萌えだ。


「情報が少ないのが当たり前になってるんだよな」と自律分身。

「それを調べるのも楽しいですよねー」


 リンは楽しげに笑っている。

 さすが助手! わかってるね!


「勤勉って、七つの美徳ってやつかな?」と俺。

「七つの大罪の逆だな」と自律分身。


 怠惰に対応する美徳である。



 トウコが大げさな身振りで言う。


「漫画ではお約束のやつっス! いいなー!」

「お前はもう【憤怒】を持ってるだろ!」と俺。


 そっちは大罪だけども!

 七つコンプするとすごいことが起こりそう!


「欲張ると【強欲】も生えてくるかもしれないぞ!」と自律分身。

「どれも強そうだから、いっそ集めるっス! まずは色欲(しきよく)からっス!」


 トウコが両手をわきわきさせながら、にじり寄ってくる。


「やめい!」


 俺はその頭を押さえて止める。

 トウコなら全てを兼ね備えた大罪人になれるかもしれない。



 リンが言う。


「えーと、七つの大罪って宗教の話ですよね?」

「だいたいそうだな。諸説あるってやつ」と俺。


「七つの美徳はあまり有名じゃないよな――」と自律分身。



 などとたわいない会話をしていると、天の声が再び響く。


<【検証者】スキルは取得可能なスキルを一つ選択してスキルポイントを使わずに使用できます。選択はいつでも解除できます>


「む……なにやらマニアックな効果だな?」と俺。

「取得可能なスキルってのは、スキルのリストにあるものか?」と自律分身。


「取れるけどまだ取ってないスキルのことだろうな。たとえば【中級忍具収納】とか【空中歩行】だな」


 【上級忍術】はまだよく見ていないが【自律分身の術】のほかにも使える術が多そうだ。

 ポイントを振る前に試せるなら、ハズレスキルを引かなくて済むぞ!



 トウコが親指をぐっと立てる。


「タダでスキルひとつ使えるんスか? おトクっス!」

「試しに使えるってことでしょうかー? 試着みたいですね!」


「買う前にお試しできるってことだな。たぶん、そういう使い方をするんだろう」と俺。

「このスキルって、試してから解除したらどうなるんだ?」と自律分身。


「そりゃ、次のスキルを選べるんじゃないっスか?」

「そうですよねー。お洋服だって、気にいるまで試着させてくれますよねー」


 未取得のスキルを選んで、スキルポイントの消費なしで使える。

 解除もできるから、一度きりじゃなく何度も使えるはずだ。


 リンの例がわかりやすい。

 試着しても買わずに帰れるってことだ。


 スキルをいつでもひとつ先取りできる効果だとすると……かなり強いんじゃないか!?



 うーむ。

 一つ目の【勤勉】も捨てがたい!


 こっちはレベル上げ効率、熟練度効率が上がるわけだ。

 どんどんレベルを上げて新しいスキルを取れるのは単純に強い!


 成長系のスキルは早めに取っておくと育成効率がいいんだよなあ……!



「どっちも良さそうだな。くう、悩むぜ……!」と俺。

「選ばなかったほうは、あとで手に入るのか?」と自律分身。


「むむ。手に入らないパターンもあるよな!」と俺。


 ぐぬぬ。両方欲しい!

 悩ましい!



<選択してください! 自動的に取得されるまで十秒……九……>


 天の声がカウントダウンを始めた……だと!?


「おいおい! 親切かと思ったら(あお)ってきやがる!」と俺。

「どうする(本体)!? いっそ、二人で別のを選んでみるか?」と自律分身。


 うーむ。

 せーので逆の選択肢を叫ぶとか?


 俺と自律分身の判別ができず、エラーが出て両方貰えたりして……?


<八……>


「それ、面白そうっスね!」

「おもしろがるな!」と俺。


<七……>


「ツッコミに無駄な時間をかけるな!」と自律分身。


 お前もツッコんでるけどな!?

 リンは俺たちのやり取りをはらはらと眺めている。


<六……五……>


 どっちも魅力的過ぎて選べないわ!

 しかし、選ばねばならない!


「俺が決めるぞ! いいな!?」と俺。

「まかせる、(本体)!」と自律分身。


 心は決まった。

 それに試してみたいこともある。


「俺が選ぶのは――!」


 俺は天の声へ望みを告げた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 検証者の方が楽しそうだけど、たくさんのスキルを使うスタイルのクロウさんなら勤勉の方が有用な気もする?
[一言] 普通のゲームなら勤勉一択だけど、ビルドを組むに当たって情報が不足してるから、結果的に検証者のほうが最適ってことはあるかも。 低レベルでも役立つ特技をリストアップして、戦闘時/平常時で切り替え…
[一言] 時間制限ひでえw
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