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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ボス討伐報酬はどこにある? ちゃんとあるよね!?

 トウコが拳銃弾を撃ち込むと、クモはあっけなく絶命した。

 俺の刀やトウコの手に残ったクモの糸も塵となって消えた。


 生成された魔石を引き寄せて回収する。

 この魔石は素材に換えたい。


 糸は強靭だし、粘着力もすごい。

 これは素材として期待できるな!



 リンがうれしそうな顔で言う。


「あっ! レベルあがりましたー!」

「俺はまだだ。もう引き離されちまったか」と俺。


「あたしも上がったっス! 追いつくっスよー!」

「さすが、成長が早いなトウコ!」と自律分身。


「スキルは戻ってから考えようか」と俺。

「ボスを倒したんだから報酬があるはずだぞ」と自律分身。


 トウコがボスを倒したあたりを見てきょろきょろする。


「あれ? 宝箱がないっスね?」

「俺のダンジョンでは敵を倒しても宝箱は出ない。ボスでも同じだ」と俺。


 ボスを倒しても宝箱はその場にドロップしない。

 五階層のボスでもそうだった。


「じゃあ、どこにあるんスか? ボス報酬もらえるんスよね?」

「次の階層へ行く前の部屋に、設置式の宝箱があるはずだ」と自律分身。


 リンがうなずく。


「分身さんが開けたら、自律分身さんがもらえたんですよね?」

「そうそう。お、あっちに扉があるぞ!」と俺。


 デカい扉は見つけやすくていいね。

 入り口と同じ、見上げるような大きな扉だ。


「開けるぞ。この扉の先に宝箱があるはずだ!」と俺。

「五階層と同じなら敵はいないけど、いちおう警戒な」と自律分身。


 俺は扉に手をかける。

 軽く押すだけで、自然と扉が開いていく。


 その先に――あった!

 宝箱だ。少し豪華な装飾。


「ちゃんとあったっスね!」

「いつもの宝箱よりちょっときれいですねー」


 自律分身が俺を見る。


「なあ、これ俺が開けてみるか? それか、普通の分身に開けさせるか?」

「俺も悩んでたとこだ。またヘンなエラーが起きるかもしれないし」


 前回は罠を警戒して分身に開けさせた。

 宝箱を開けた分身に報酬を与えようとして、エラーが起きた。


 俺たちに報酬を与えている()()()()の判定が狂ってしまった。

 そうして手に入れた【エラー】スキル。

 【自律分身の術】だ。


 これは役に立ってくれた。


 【エラー】の正体は【上級忍術】だ。

 当時は取得できないはずの上級スキル。


 エラーのおかげで得をしたとも言える。


 でも、デメリットもあった。

 【エラー】スキルは成長できない。


 強力なスキルとはいえ、育てられないのは不便だった。



「面白そうだから二号(自律)が開けたらいいんじゃないっスか?」

「面白がるな!」と俺と自律分身。


 ハモったわ!


「ははっ! 二人で突っ込んでくるっス! おもしろー!」

「ふふっ」


 あ、リンまで面白がってるし!



 自律分身が宝箱を開けたらどうなるんだろう?

 また【自律分身の術】を覚えたりして。


 自律分身が術を使えたら戦術の幅が広がる。

 夢が広がるな!



「いっそ、俺たちが開けないのはどうだ?」と俺。

「リンかトウコが開けるってことか?」と自律分身。


 リンが首を振る。


「もしもゼンジさんがもらえなかったら困りますー! 私のときは、ダンジョンの持ち主しか受け取れないかもってことでしたよね?」


 リンが報酬受け取れないとかわいそうだと思ったんだよな。

 だけど、今回は俺にとって二度目である。


「うーん。リンかトウコが報酬を受け取れるなら、それでもいいんだけどな?」と俺。

「ああ、みんなで攻略しているわけだし」と自律分身。


 誰が報酬をもらっても、俺たちは損しない。

 困るのは空振りして誰ももらえないパターンだ。


 トウコが手を上げる。


「じゃあじゃあ! あたしが開けてみてもいいっスか?」


 俺はうなずく。


「ああ、いいぞ。俺のダンジョンだし、試してみようぜ」と俺。

「え、ゼンジさんはそれでいいんですか?」


「ダメならそれでいい。どうなるか気になるし!」と自律分身。

「受け取れたら、今度あたしのダンジョンのをあげるっス!」


 お互いに報酬を交換できるなら、()()()()()()()問題ない。


 深く考えるといろいろ問題はあるのだ。

 だから調べたいと思っている。


 つまり――他人のダンジョンの報酬を奪えるのか、ということだ。


 俺たち以外にもダンジョン保持者はいる。

 ダンジョンに侵入されて、宝箱を横取りされる可能性もある。


 ストーカーはリンのダンジョンに入ることができた。

 持ち主の同意は必要ない。

 ダンジョン保持者であれば、誰だって入れる。



 だから、ちゃんと試しておかないと今後も悩むことになる。


 ちょっとした賭けにはなるけど、悪い結果にはならないだろう。

 ダンジョンは報酬面でケチったりしない。そういう信頼感がある。



 トウコは躊躇(ちゅうちょ)なく宝箱に手をかける。

 こいつは悩みなんかなさそうでいいよな。


「んじゃ、せーのっ! ――あれっ!?」


 いくら引っ張っても、宝箱のフタは開かない。

 びくともしない。


「お? 開けられないパターンか!」と俺。

「納得の結果だな!」と自律分身。


 トウコは納得してなさそうだ。


「ちぇー! ケチっス!」


 リンはほっと胸をなでおろす。


「ふう。なんだか、安心しましたー」


 俺も内心ではほっとしている。

 ボス報酬の宝箱は奪えない!



 トウコがニヤニヤしながら言う。


「じゃ、店長二号が開けてみて欲しいっス!」


「面白がりやがって……たぶん開けられると思うけどな」と俺。

「じゃ、開けてみるぞ。いいな?」と自律分身。


 自律分身は律義にも俺に確認する。

 お前も俺なんだから遠慮はいらない。


「いいぞ。開けてくれ」と俺。

「よしオープン! お、開いたぞ!」と自律分身。


 宝箱のフタは抵抗なく開いた。

 五階層では普通の分身でも開けられたんだ。当然開けられると思っていた。



 天の声が頭に響く――


 来た!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 昨日の時点で倒してたけど、もしかしたらもうひと踏ん張りあるかと思ったボス蜘蛛さん…何事もなく討伐完了!! 思ってたよりもずっと楽に倒せましたね。 そして次回はお楽しみ報酬タイム!!
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