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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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十階層到着! 巨大な扉……行くべきか、行かざるべきか!?

 階段を降りると、そこには広い空間が広がっていた。


 リンが言う。


「敵の反応ありません!」


 トウコが耳をすませる。


「音もオーケーっス!」


 広いフロアで、松明が燃えていて明るい。

 敵もいないようだ。


「ああ。ここはボス階層みたいだな。デカい扉がある」


 五階層のものと似た、巨大な扉。

 扉は閉まっている。


 五階層と同じなら、扉を開けなければ敵は湧かないはず。

 つまり安全地帯というわけだ。


 トウコがドアを見上げて言う。


「これ開けたらボスっスよね?」

「ゼンジさん、どうしますか?」


 ボスと戦うか?

 引き返すか?



 俺は二人に問いかける。


「それを決めるためにも、まずは状態を確認させてくれ。魔力と弾丸はどうだ?」


「魔力は少し減っていますね」

「弾はいっぱいあるっス!」


「んじゃ、魔力を回復するまでもう少し休憩しようか!」


「そうですねー。じゃあ、せっかくだからごはんにしましょう! 準備しますねー」

「やたっ! ごはん! ごはん!」


 リンは収納から鹿肉を取り出す。


 草原ダンジョンで狩りまくったので、売るほどある。

 収納に入れとけば痛まない。便利だ。



 トウコはすっかり食事に気がいっているな。

 状況確認がまだだぞ!


「で、トウコ。弾丸の種類はどうだ? 数は足りるか?」

「拳銃弾はたくさんあるっス!」


 ざっくりしているが、充分な数があるということだろう。

 拳銃弾には弾切れの心配はない。


「ショットガンは?」


 トウコは両手にショットシェルを乗せて、俺に見せている。


バードショット(鳥撃ち弾)ばっかりっス!」

「コウモリが多かったからたくさん手に入ったか。スラッグ弾はあるか?」


スラッグ(単発)弾はこれだけっス!」


 トウコはショットガンを掲げる。

 予備の弾はない、と。


「装填済みの二発しかないってことだな」


 今トウコはショットガンを二丁出している。

 片方はスラッグ弾。

 もう一方はバードショットが装填されている。


 さらに拳銃一丁、マグナム一丁。

 銃まみれだな!


「マグナム弾はあるか?」

「バッチリ! 予備が十発もあるっス!」


 弾倉に六発あるので、予備を含めて十六発。


「よし! 弾丸は充分だな!」


 俺のダンジョンでなら、トウコは弾丸不足になりにくい。



 トウコが逆に聞いてくる。


「店長の魔力はどうっスか?」

「減ってるけど、休めば問題ないぞ」


「あんなに分身出してるのに、よく平気っスねー?」

「スキル調整のおかげだな。コストを下げてるし」


「にしても、使いすぎじゃないっスか? 出しすぎじゃないっスか?」

「合間に瞑想して回復してるんだよ。今だってそうだ」


 【瞑想】(めいそう)は休憩していれば効果を発揮する。

 リラックスできる姿勢で休めばいいのだ。

 しゃべっていてもいい。


 今もじわじわと魔力と体力が回復している。

 体力とは疲労だ。疲れが取れる。


 さすがに歩いたり、体を動かしていると発動しない。

 また、負傷を癒す効果はない。


「あたしも【瞑想】欲しいっス!」

「スキルリストに出ないんだろ?」


「ないんスよねー」

「ま、資質だろうな。トウコはじっと休んでられないだろうし」


 【迷走】なら出るかもな。


「でも、あたしは【捕食】があるんで大丈夫っス!」

「俺も【捕食】欲しいけど、リストに出ないな。せっかく魔石食べてみたのに」


 口の中に広がる塵の感覚……なんとも言えない。


「もっと食べてみたらいいっス! 続ければ身につくかもしれないっスよ」

「いや、遠慮するわ。毒ならちょっと試したけどな」


 鹿肉に串を打っていたリンが、手を止める。

 驚いた顔を俺に向ける。


「えっ!? だ、大丈夫なんですか!?」

「ああ、驚かせちゃったか。安全な状況で少量ずつ試したんだ。状態異常回復薬(リカバリーポーション)も用意していたから大丈夫だぞ」


 リンは心配そうだ。


「そうですか……。でも、無理はしないでくださいね!」

「ああ、無理はしない」


 リンの手前そう言っておく。

 実際は、無理したけどね!


 一階層で試したのだ。

 自律分身を出して安全も確保している。


 視覚阻害毒(目つぶし)なので、死ぬおそれはない。


 ゴブリンで実験して効果時間も確認した。

 ちゃんと元に戻る。一時的に視覚を奪うだけだ。


 しかし、目が見えなくなるというのはかなり恐怖がある。

 効果時間は長くないので、少し待てば治る。

 だが目の見えない時間は長く感じて、冷や汗が出た。


 握りしめたリカバリーポーションを飲もうかと悩んだものだ。


「毒耐性を取ろうと思って試したんスよね? どうだったんスか?」

「耐性は身につかなかったな。スキルのリストにもない」


 まあ、一回試しただけだしな。

 毒を何度も試すのは勇気がいる。


 だが、試しておかないと毒使いとして大成できない。

 自分の毒でやられる間抜けにはなりたくない。


「もっと続けたら耐性が身につくかもしれないっス!」

「ああ、お約束だからな」


 漫画や小説では毒や魔法を食らうと耐性スキルが手に入る。

 そして危機を逃れて逆転するのだ。


 俺は土壇場で運を頼ることはしない。

 そうそう都合のいいことなんて起こらないからな。


 自分の運なんて、たかがしれている。

 だから事前に身につけておきたい!


「……」


 リンがなにか言いたげに俺を見ている。


「いや、無理はやめておくよ」


 一応、そう言っておく。

 リンがため息をつく。


「……ゼンジさんはすぐに無理するから、心配ですー」


 ……バレてるかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力を使用して銃弾精製みたいなスキルがあれば、もう少し攻略しやすくなるのに、なかなか都合よくはいかないか。
[一言] 毒修行は危険としても瞑想は練習したら生えたりするんですかね? 魔法使いのりんちゃんさんには有効そうですが…
感想一覧
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