お宝タイム! 働いたら報酬がないとね!
「なにが入ってるんでしょうかー」
「では、オープン!」
俺は分身に宝箱を開けさせる。
俺たちは盾を構えた分身の後ろで待つ。
――罠はない。
中身は青い水薬が入った小瓶だった。
「おーっ! 青ポーションっス!」
「魔力回復薬か。悪くないな!」
「うれしいですね!」
もちろん治癒薬でもうれしい。
だけど、俺たちには魔力回復薬のほうが需要がある。
安全第一の方針のおかげだな。
俺たちは負傷が少ない。
ポーションを常用するような攻略はしていない。
それに対して魔力は常に使う。
特にリンは魔法を使うからとくに消費が激しい。
探索を続けて、さらに宝箱を見つける。
こちらは治癒薬だった。
俺は地図を広げて宝箱の位置を書き入れておく。
「そろそろこの階層も制覇だな!」
「地図が埋まってきましたねー」
「そろそろ階段があってもいいはずだ」
「このへんがあやしいんじゃないっスか」
トウコが地図の埋まっていない箇所を指さす。
他にも未踏破の場所はあるが――
「ああ、そこを探してみるか。今いる場所から近いし」
一度通ったルートは罠チェックの手間がない。
すぐにたどり着く。
「大部屋だな。お、クモがいる。あっちの隅だ」
大きなクモが部屋の隅に巣を張っている。
その奥に階段が見える。
あたりだ!
天井にはコウモリの群れがぶら下がって休んでいる。
リンがそれを指さす。
「あのあたり、コウモリさんもいますねー」
暗がりにいるが【魔力知覚】でわかったんだろう。
俺の【暗視】でもとらえている。
「ちゃちゃっとやっつけるっス!」
「じゃあ分担だ。コウモリはリンが包み焼きに。クモはトウコがチャージショットで」
リンは素直に魔力を練り始める。
「はーい」
トウコは銃をチャージしながら、俺に目を向ける。
「で、店長はなにするんスか?」
なんだその目は。
別にサボってるわけじゃないぞ。
クモを相手に俺が前に出てもしょうがない。
遠距離から一撃で倒すのが一番。
適材適所。
俺は安全マージンだ。
「俺は後詰めだ。なにかあったときのサポートだよ」
「そっスかー。――チャージショットォ!」
トウコの銃口から光がほとばしり出る。
クモを撃ち抜いて、背後の壁に着弾する。
砂煙が舞い上がる。
「やりぃっ!」
「――おい、まだだ!」
クモが放った糸がトウコに向けて飛来する。
「入れ替えの術!」
「あっ!」
俺はトウコと場所を入れ替え、間髪入れずに回避。
糸は背後の床にはりつく。
俺はそのまま距離を詰め、刀をつき込む。
クモは塵となって消える。
生成された魔石を空中でキャッチ。
「こっちも終わりましたー」
炎に部屋が明るく照らされる。
ぽとぽととコウモリの魔石が落ちてくる。
光を反射して、ちょっときれいだ。
「おうお疲れリン!」
言いながら俺は周囲を確認――敵影なし!
戦闘終了だ!
トウコが駆け寄ってくる。
「店長、あざーっス! ゴヅメ大事っスね!」
「おう! 仕事してるだろ!?」
<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>
「お!? レベル二十一になったぞ!」
「わあ! よかったですねー!」
「おめでとっス!」
今回は九階層まで戦いまくったからな!
さて、なにを取ろうかな!




