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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ポーションについて……話を戻してみた!

 悪性ダンジョンでは魔石しかドロップしない。

 これはボスでも同じだ。

 つまりウラドの目的はボスの魔石ってことになる。


 あるいは、魔石を変化させるスキルや異能を持っている可能性もあるな。

 トウコやリンのように、魔石を弾丸や食材に変えるわけだ。

 たとえば、ダンジョンのタネに変換するとか……。



「あー、脱線したな。話をポーションに戻してもいいか?」

「ああ、そうだったねクロウ君。話してくれ」


「ポーションは隠蔽を強く受けるらしいんだ。外で使おうと考えただけでもヤバい感じがする」

「使うのはやめておいたほうがいい。その感覚は世界からの警告だからね。異能を見られると感じるものと同じだよ」


「ポーションはその感じが強いから、相当ヤバいんだな」

「うん。クロウ君にはダンジョン保持者が生まれては消えるって話をしたよね」


 俺はうなずく。


「ああ。パージ、死ぬ、消える……だったよな?」

「さすがクロウ君。よく覚えていたね!」


 俺にとって切実な話だ。

 忘れるわけない。



 ダンジョン保持者が消える三つのパターン。


 一つ目。

 力を持て余したり、バレてパージされる。


 二つ目。

 ダンジョンで死ぬ。


 三つ目。

 ダンジョンから帰ってこない。



 トウコが言う。


「死ぬのはわかるんスけど、消えるってなんスか?」


「ダンジョンに入れ込んで、他がどうでもよくなる感じだよ。ダンジョンが現れてすぐは俺もそういう感じだった」

「私もですー。ゼンジさんとお話できなかったら……消えちゃってたかもしれません」


「俺は……リンとご飯を食べたり、ゴミ出しのときに話したりするために帰ってきたんだ」

「私もゼンジさんとお話ししたくて……会いたくて……それだけが全部で……」


 リンは俺をゆれる瞳でじっと見つめている。

 俺は吸い込まれるよにその瞳を……。



 トウコがにやにや笑いを浮かべて言う。


「店長ぉー! リン姉ー! イチャつくのは帰ってからあたしの目の前でやって欲しいっス!」


「おっと……!」

「め、目の前でなの?」


「クロウ君たちは微笑ましいね。ナギ君?」

「そうですね……なんですか、その目は?」


 ナギさんはじっと見つめる御庭から目をそらした。


「つれないね、ナギ君! じゃ、話を戻そうか?」

「ああ、脱線してすまん」


「あたしはもっとイチャラブ空間を楽しみたいっス! ナギさんももっと!」

「私は……いいです」


 話が進まんよ!


「脱線を誘導するな! ポーションの話だ!」



 御庭が俺たちに問いかける。


「クロウ君たちは、ポーションが持ち出せたらどうするかな?」


 俺の場合は薬草を使うことすら慎重に考えた。

 臆病すぎるというか、気にしすぎたと言うか。


「俺はダンジョンの中でも使うのをためらったけど……」


 ただケチっただけじゃない。


「店長は考え過ぎっス! あたしならすぐ使うっス!」

「トウコはもうちょい考えろよ!」


 俺はいろいろ考えた。調べる手段もあった。

 リヒトさんのブログ、リアル・ダンジョン攻略記がなかったらどうだ?


 リンや、パージされたストーカーがいなかったら……。

 俺はいつか、禁則事項を知らずに破ってパージされていたかもな。



 トウコは口をとがらせる。


「じゃあ、店長は使わないんスかー!?」

「俺は隠蔽のことを知ってたから慎重だったんだよ。知らなかったら……たぶん使うだろう」


「ほらほら! そうっスよねー!」

「そうですねー。大切な人がケガしちゃったら……使っちゃいますよねー!」



 リンは実際に、刺された俺にポーションを使ってくれた。

 ストーカーに刺されたとき、俺たちは互いにダンジョン持ちだと知らなかった。


 もし俺がダンジョン持ちじゃなかったら……。

 草原ダンジョンには入れなかったら……。


 その場合、リンはどうしただろう。

 なんとかしてポーションを持ち出そうとするはずだ。



 御庭がうなずく。


「そう。使っちゃうんだよ! そしてパージされる。だからダンジョン保持者は数が少ない。いなくなってしまうんだ」

「あぶないっスね!」


 ダンジョン保持者は生まれては消えていく。


 俺たちは持ち出す能力がなかったし、慎重に取り扱った。


 認識阻害や隠蔽のことを知らなかったら、もっと抵抗なく使っていたかもしれない。

 そういう意味ではストーカーに感謝だな。


 あいつのおかげで、俺たちは隠蔽の危険性を知ったんだ!

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