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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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ポーションは現実世界で使えるか――聞いてみた!

「魔法の回復薬だね? ダンジョンの中で手に入ると聞いている。希少な品だね」

「ちなみに御庭は使ったことあるか?」


 御庭は悲し気に首を振る。


「僕は使ったことはない。なにしろ、手に入らないからね」

「え、そうなのか?」


「普通のダンジョンでは戦利品が手に入ると聞いている。でも僕は入れないし……」

「ああ、異能者だもんな」


 それで悲しそうにしてたのか。

 普通のダンジョンはダンジョン保持者しか入れないからな。

 御庭は忍者の職業も取れないし、ポーションも使えない。


 ……同情するわ。


「僕たちは悪性ダンジョンしか入れないし、そこで手に入るのは魔石だけなんだ」

「素材とかのドロップアイテムはないってことだな」


 異能者にとっては使い道のない魔石しか手に入らないってことだ!


 働いても報酬がないだと!? 許せん!

 悪性ダンジョン、マジで悪だな!


「その魔石も消えちゃうんスよねー」

「悪性ダンジョンって、なんだか残念ですねー」



 ポーションの話をしてたはずが、魔石の話に脱線してしまったな。


 まてよ?

 素材が落ちないのはさておき、悪性ダンジョンだと魔石しかドロップしない、か……。


 ふーむ。

 てことは――


「なあ、御庭。ボスを倒しても魔石しか手に入らないんだよな?」

「うん、そうだよ。クロウ君が気にしているのは収穫の件だね?」


 さすが御庭。話が早い!


「ああ。ウラドと暴食はボスを倒そうとしていた。つまり、収穫するのは魔石だったんじゃないかと思ってな」


 奴らの目的はボスの魔石だったんじゃないか?


「ドロップアイテムがないなら、それしかないっスね!」

「でも、魔石は消えちゃいますよね? 持ち出せませんよー」


 魔石を持ち出す方法はあると、俺は見当をつけている。

 普通には持ち出せないとしても、形を変えればどうだ?


 俺たちの言葉に御庭は頷いている。

 なにか知ってそうな顔だな。


「いくつか方法はある。クロウ君はもう思いついているようだね?」

「ああ。すでに俺は形を変えて持ち出しているからな。トウコもだ」


 トウコが驚きの声をあげる。


「うぇっ!? あたしっスか? 持ってないっスよ!?」

「ちなみに、俺が持ち出したのはこれだ!」


 俺は収納からペグを取り出す。

 アウトドア用品店にあった品物だ。


 リンがそれを見て言う。


「これは忍具作成で加工したものですよね……? あっ!?」

「お、リンは気づいたかな?」


 さすが助手! さんざん検証したアレだよ!


「ぜんぜんわかんないっス!」


 さすが無自覚系! ぜんぜんわかってないね!


「まず、クラフトスキルだ。【忍具作成】だよ。魔石と品物から忍具を作る。加工すれば持ち出せるってわけだ!」


 リンがポンと手を叩く。


「形は変わっちゃいましたけど、魔石だったものを外に出してますよねー!」


「あたしは収納もクラフトスキルもないっスよ! どういうことなんスかー? 早く教えてほしいっス!」


 トウコが俺にすがりついてゆさぶる。


「ゆするな! 【捕食】だよ! ショッピングセンターでも魔石を食っただろ?」

「あー! たしかに食べたっス! おなかに入ってるってことっスね!」


「ま、そうだ。腹に入ったというより、魔力になって吸収された感じだろうけどな」



 御庭が頷く。


「うん。その方法なら持ち出したと言えるね。他にも方法はあるよ。収納系のスキルや異能もそうだ。ナギ君の異能でも持ち出せるはずだ」


「え? ナギさんって収納系の能力もあるのか?」

「異能って一人一能力(いちのうりょく)なんじゃないんスか?」


 俺とトウコは同じ発想だ。

 漫画やゲームでは、異能は一人一種類。


「え? そうなんですかー?」


 リンは漫画的なお約束には疎い。

 俺はリンに説明する。


「漫画だと異能は一つの能力しかないのがお約束なんだ」

「そうなんですねー!」



 御庭が言う。


「現実には、異能は一つという決まりはないよ。だけど、そういう傾向はある」

「へえ、そうなのか」


 ナギさんが口を開く。

 ずっといるのに、微動だにせず立ってるナギさんである。


「私の異能は停止させること。それだけです」

「うぇ!? じゃあ、どうやるんスか?」


 ナギさんは淡々と言う。


「魔石を停止させます」


 御庭が笑顔で解説する。


「ナギ君が停止させた品物は変化を止める。だから魔石の塵化も防げる。そのまま外に出れば持ち出せるんだ」


「おお、そんな使い方もできるのか!」

「すごいですねー!」


「いえ……」


 ナギさんはすまし顔だ。

 なぜか御庭が喜んでいる。


「そうだろう? ナギ君の能力はすごいよ!」


「でもでも! 魔石を止めたら動かせなくなっちゃうんじゃないっスか?」


「止め方にもいろいろあります」

「ナギ君の力は、時間を止めるだけじゃないからね。運動エネルギーや状態変化、温度……なんでも止められるんだ」


「つまり……塵化だけ止めたり、変化することを止めるんだな?」


「そう。動きはとめません」

「衝撃の伝わりを止めたりすれば、攻撃を防ぐこともできるんだよ!」


 ナギさんがジト目で御庭を見る。


「御庭さん……しゃべりすぎです」

「ナギ君の能力はバレても対応しにくいからね! つい自慢したくなっちゃったよ!」


 御庭がにこやかに笑う。

 ナギさんの口元も少し緩くなる。


「……そのくらいにしてください」


 トウコがそれを見てはやし立てる。


「おおー! ナギさんが笑ったっス! これは(とうと)いっ!」



 脱線してポーションについては話せなかったな。

 とはいえ、これはこれで気になる話だ!

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[気になる点] ナギさんの口元が少しを緩くなる。 少し・・・を?
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