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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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動物を食べる変異者……それを探す異能者!

 運転席からウスイさんが言う。


「もう車を出していいでしょうか?」

「いや、俺はまだやることがあるから残る。先に出してくれ」


 そう答えて、俺は車を降りる。


 リンはにこにこ笑っている。

 ラブラブ彼女発言のおかげで機嫌が直ったようだな!


「あれ、ゼンジさん? ここに、まだなにかあるんですか?」

「ああ、ちょっとな」


「じゃあ、私も一緒にいきますー!」


 そういうと、飛びつくように腕を組んでくる。

 あ、急に積極的!


 トウコも車を降りる。


「なら当然あたしも残るっス!」



 車からサタケさんが言う。


「じゃあ、またな。クロウさん。ハルコさんを送ったら俺たちは病院へ行く……げほっ」

「……ああ、お大事に。サタケさん」


 収納からポーションを取り出そうとすると、いやな感じを覚える。


 ダンジョン領域のときより激しい警告の感覚。

 ……やはりこれは、外では使えない。



 俺たち三人を残して車は走り去る。


「で、やることってなんスか? ショッピングでもするんスか?」

「なわけあるか! 連絡しておいたから、そろそろ来るはずだ」


「来る? だれか来るんですかー?」

「お、来たぞ。――犬塚(いぬづか)さんだよ!」


 外へ出てすぐ電話しておいたのだ。


「え? なんで犬塚さんっスか? ナンパっスか?」

「ちげーわ! ダンジョンの中に入って、情報収集したって言っただろ? そこにいた奴が犬塚さんの(カタキ)かと思ってな」



 犬塚さんの仇は、動物を殺して食べる変異者だ。

 隠密使いだとも言っていたが……それは確認できていない。


 あの暴食はいつでも腹を空かせている様子だった。

 そうなると、外でも動物を食っている可能性が高い。


 それに、吸血鬼のウラドのほうも。

 ウラドは動物の血を吸いそうなキャラではなかったが、匂いが残っているうちに覚えておいてもらいたい。


 いずれ居場所を知るべき時が来るはずた。

 奴らはまた、こうした事件を起こすだろう。



「そのカタキがまだ中にいるんスか?」

「かもな。もし居なくても、犬塚さんなら判別できるはずだ」


 ショッピングセンターに戻るのは危険かもしれないが、時間も経っている。

 ウラドたちはもういないはずだ。


「匂いをかぐんですねー?」

「リン正解。ダンジョン領域内にどれくらい匂いが残るかはわからないけどな」


「どうなんでしょうね? 血や汚れは消えちゃいますよねー」

「犬塚さんは異能の匂いとかも嗅げるらしい。俺にも仇の匂いがついているかもしれない」


 リンが俺に顔を寄せる。


「そういえば、ゼンジさんの匂い……なにかヘンです」

「あ、匂いを隠すスキルを取ったんだ」


 よく気づいたね!?

 スキルレベル二なので、外では効果を発揮しないはずだが……。

 外でも少しは変化があるのか?


 トウコも驚いたように言う。


「うえぇ? なんでまた、そんな微妙なスキルを取ったんスか!?」

「獣から隠れるには必要だったんだよ! 微妙とか言うな!」


 俺もちょっと微妙だと思ってるんだ。

 でも、必要だった。取るしかなかった。


 取りたいスキルはほかにもたくさんある。

 上級忍術も気になるし、中級忍術だってまだ少ししか取れていない。


 もっとレベル上げなきゃな!



 リンは頬を膨らませて言う。


「匂いを隠すなんて……だめです!」

「ダメって言われても……」


 リンの反対理由は違う気がする。



 そんな話をしていると、犬塚さんがやってきた。

 早い。連絡してから三十分も経ってないぞ。


 犬塚さんはバイクを歩道に無理やり止めると、走り寄ってくる。


「どうも。犬塚さん」

「ああ! よく連絡してくれたねェ! それで、どこだ!? どこにいるっ!?」


 犬塚さんは俺につかみかからんばかりの勢いだ。

 必死に探している仇の手がかりかもしれないんだ。無理もない。


「まずは俺の体についている匂いを嗅いでみてください。複数の異能者と接触しています。二名は味方で、ヤバそうな敵が二名」


 犬塚さんが俺に近づく。


「ちょっと嗅がせてもらうよォ」

「どうですか?」


 犬塚さんは目を見開く。


「――これは! この匂いはッ!」


 犬塚さんは俺の服をつかんで凶悪な笑みを浮かべる。

 ちょっと怖いぞ。


「――見つけた! ついにどぶ臭いこの匂いにたどり着いたねェ!」

「あたり、ですか?」


「ああ! アタリだ! どこでコイツに会ったんだい!?」


 そう聞くってことは、周囲にこの匂いは感じていないということだ。

 俺は建物を指さす。


「このショッピングセンターの三階で――」

「――よし! あとはアタシがやる! あんたたちは帰りな!」


 最後まで聞くのももどかしいのか、犬塚さんは走っていく。


 トウコがその背を見ながら言う。


「うわー、すごい勢いっスね!」

「どうするんですか、ゼンジさん?」


 帰れと言われても、それはムリだ。

 暴食は強い。

 ひとりでは、むざむざやられに行くようなもの。


「俺たちも追うぞ! もしヤツに出くわしたら戦闘になるかもしれないからな!」


「はいっ!」

「りょ!」


 俺たちは犬塚さんを追って再びショッピングセンターへと走る。

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