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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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脱出に向けての説明……集団避難!

 俺は話を戻す。


「外の状況について少し話しておきます。そのあと脱出しましょう」

「ああ、ぜひ聞きたい。俺たちはずっとここにいたから外の状況がわからないんだ」


 俺はサタケさんに外の状況を説明した。


 二階までダンジョン領域が広がっていること。

 モンスターは、ハルコさんの壁に隠れてやり過ごせること。

 生存者はハルコさん以外見かけていないこと。


 サタケさんは考え込む。


「そうか。クロウさんの話を聞く限り、生存者はもう絶望的か……」

「かもしれません。まずは皆さんを外にお連れします。外に公儀隠密のメンバーが車で待機しています」


「ああ、乗せてもらえると助かる。俺たちの車は駐車場にあるんだが、鍵がないんだ」

「ミムラさんがカギを持ってたんでしたね……」


 エドガワ君は暗い表情でそう言って、うつむく。

 持ち物も、死体と一緒に消えてしまったのだ。



 俺は言う。


「では、脱出しましょう。ハルコさん。お願いします」


 一度にたくさんの人を連れては逃げられない。

 でも、ハルコさんの能力のおかげで安全に連れて歩くことができるから助かるな。


 生存者を逃がして余裕があったら、また探索に戻ろう。



 ハルコさんは自信なさげにこたえる。


「は、はい! きっと皆さんを外にお連れします……?」

「ま、まかせてくださいねー」

「敵がいたらあたしがぶっ飛ばすっス!」


 トウコだけ自信満々だ!



 そういうわけで、俺たちはトイレを後にした。



 皆で幻の壁に隠れて移動する。


 サタケさんはエドガワ君に支えられながら歩いている。

 エドガワくんは、この状態でも能力を発動できるらしい。


「すまんな、エドガワ……げほっげほっ」

「いえ、気にしないでください」


 といっても範囲は狭い。一人分をカバーする程度の範囲しかないのだ。

 サタケさんは少しはみ出してしまう。



「つ、次の壁をつくりますねぇ? ……どうぞ」


 人数が大きくなった分、作る幻の面積が大きくなる。

 ハルコさんはすこし息を乱している。


「ハルコさん、大丈夫か?」

「へ、平気です。これくらい……恩返しだと思えば?」


「恩返し? なんのことだ?」

「その……私はあのとき、三階にいたんです。バケモノに襲われて……きっとこの人たち……ミムラさんがいなかったら私は逃げれられなくて……?」


 サタケさんが意外そうな顔で言う。


「あのとき君は、あそこにいたのか。そうか」

「ごめんなさい。私……一人だけ逃げちゃって。そのまま……か、隠れてたんですぅ!」


 ハルコさんは顔をくしゃくしゃにして言う。


 サタケさんが腕を伸ばして、ハルコさんの肩に触れる。

 その声はこれまでになく優しい。


「いや、逃げてくれてよかった! 君が無事だったならミムラも浮かばれる」

「ミムラさんはいつも、一人でも多く助けたいって、言ってましたね」


「そ、そうですかぁ? 許してくれるでしょうかぁ!?」

「許すもなにも、君は何も悪くない。逃げるのが普通なんだ」


「そうだぞ。ハルコさんがいるおかげで、こうしてみんなで逃げられるんだ」

「そうですかぁ? じゃあ、がんばりますぅ?」



 もう二階へ続くエスカレーターまであとわずかだ。


 そのとき、妙な感覚を覚える――

 空気が重くなったような感覚だ。


 リンが俺に言う。


「あっ? いま、空気が変わりましたね?」

「ああ、俺も気づいた。だが、まだ階段を越えたわけじゃないのに……」


 サタケさんが顔をしかめながら言う。


「これは――領域の拡大だ、クロウさん!」

「ま、また()()()んでしょうか……ああ、もう帰りたい……!」


 エドガワ君は頭を抱えてしまった。



 ダンジョン領域が広がる――

 俺たちが階をまたいで移動したかどうかは関係ない。


 足元――いや、空間そのものが変化したんだ。


「広がるって、どういうことっスか?」

「たぶん、今いる場所が()()()()()んだ。ここは三階だが、ダンジョン領域としての深さが更新された感じじゃないか?」


 エドガワ君とサタケさんが深刻な顔で言う。


「そうだと思います! ボクらが領域に入ったときは三階の端っこだけが領域でした。今また広がったから……」

「もしかしたら一階も領域にのまれたかもしれないぞ」


「えぇ? それって、出口が遠ざかっちゃったんですかぁ?」

「そうかもしれませんねー。急がないと!」


「敵が強くなったりするんスかね? 二階より三階のほうが強いっスよね?」


 三階の獣は体格がよく見えた。

 と言ってもトイレ戦ではまとめて焼き払ったので強さはよくわからない。


「おい、フラグみたいなことを言うな。急いで二階へ――」


 俺の言葉を遮るように、獣の吠え声が耳を打つ。


「――グォォッ!」

「あ、来たっスね!」


「いま、湧いた(ポップした)のか……タイミング悪いな」


 迫力のある吠え声。

 それにふさわしい体格。


 熊のように大きな獣だ。

 大きな口は人間の頭など簡単にかみ砕けそうだ!


 俺たちに向けて吠えているわけではない。

 だが、場所が悪い。


「エスカレーターの前に居ます……避けて通れません!」

レン(リン)、トウコ……戦うぞ! サタケさんたちは隠れていていください!」


 俺はエスカレーター前の獣型のモンスターへと向かった。

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