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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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生存者の探索! 隠密よりスピード!

「ここにも魔力の反応はありません……」

「しずかっスねー。血も死体も見当たらないっス」


 人はいない。

 かといって死体もない。


 血痕など、惨劇(さんげき)の形跡はみられない。



 正月の商業施設だ。

 人がいないわけはない。

 この二階も客でにぎわっていただろう。


 いま、ここに人々の姿はない。

 かわりにモンスターがうろついている。



 俺は言う。


「ダンジョンの中と似たルールなんだろうな。血や死体は(ちり)になって消えちまう」


「人間も、ですか?」

「あたしのダンジョンで死ぬと店長やリン姉も塵になるっス……。あんまり見たくない光景っスね!」


 俺もトウコがやられて、塵になるところを見た。

 あれは胸にこたえる。


「ああ。そんな姿は見たくないな」


 リンは顔を引きつらせて言葉を失ってしまっている。

 なにかを思い出してしまったんだな。


「……! だ、だめですよ! ぜったいに死なせません!」

「ああ、探索を急ぐぞ!」



 俺たちは店舗を一つずつのぞいて確認していく。

 ここまで、人の姿はない。


 人の気配……物音や声も聞こえない。

 獣の唸り声は遠く聞こえている。


「誰もいないんスかー! おーい! 助けに来たっスよぉー!」


 トウコの声ががらんとした店内に響く。

 返事を返す人はいない。


 帰ってくるのは獣の唸り声だ。


「……あんまり目立つなよ?」

「でも、早く見つけないと間に合わないっス!」


 トウコの言うことにも一理ある。


「そうだな。敵は倒せばいいか」

「そうっ! 銃で解決すればいいっス!」


「いいのかな……?」


 言い方はアレだが、実際そうだ。

 強引でも急がなければ。


 目立っている俺たちのもとへ、さっそく敵がやってくる。

 鼻息あらく走ってくる獣にトウコは銃を向けた。



 俺たちは今、長い通路の途中にいる。

 左右に店舗はあるが、通路の分岐からは遠い。


 だから囲まれる心配は小さい。

 敵を倒して進んできているので、背後は比較的安全だ。

 といっても、背後にも気を配っている。


 敵が新たに湧くかもしれない。

 別の通路から回り込んでくる可能性もある。

 気は抜けない。



 正面からやってきた敵を迎え撃つ。

 距離を詰められる前に銃撃と魔法で敵を減らす。

 近づかれたら分身で防いで、刀で斬りつける。


 もう慣れた。

 俺たちは集まってきた獣をあっさりと倒すことができた。



 周囲を見回してリンが言う。


「今ので最後です! 後続ありません!」

「ふぅー。リロードっス!」


 トウコはリロードし、散らばった銃弾を集める。

 リンは周囲を警戒している。


 俺は分身に魔石を集めさせる。

 すぐに拾わないとな。


 ダンジョン内と違って、魔石はすぐ塵になって消えてしまうのだ。



「リンはもう少し魔力を温存して、索敵に集中してくれ」

「はい。それにしても……もう、誰もいないのでしょうか?」


 リンは心配そうな顔だ。


 見える範囲の通路に敵はいない。

 左右の店舗をのぞいても、人影はない。


 さっきから俺たちは声をかけながら探索している。

 敵に見つかることは仕方がない。

 割りきろう。人命優先だ。



「さっきから犬ばっかりっス!」


 敵は獣ばかり。

 犬種……と言っていいのかはわからないが、多少の差はある。


 体格は大型犬ほど。

 茶色や灰色の体毛が多い。


 この敵は物陰(ものかげ)に潜んだりしない。

 こちらを見かけるとすぐに襲いかかってくる。


 五、六匹の群れで現れて多少の連携は取ってくる。

 だが、頭はよくないようだな。


 こういうシンプルな敵は戦いやすい。



「ここでの戦闘には慣れてきたが……生存者はいないのか?」


 トウコは大きく、リンは少し戸惑いながら声を出す。


「助けに来たっスよー!」

「誰か……いませんかー?」


 人気のない通路に、俺たちの声がむなしく響く。

 そのとき――声が聞こえた。


「……た、助けて! 助けてっ!」


 女性の声だ。近い。

 しかし、その姿は見えない。


「どこにいるんだ? 姿を見せてくれ!」


 隠れているのか……?


 俺は周囲を見まわす。

 だが、通路にも店舗内にも人影はない。



 リンが言う。


「……魔力の反応があります。でも……」

「うえっ!? そっちは壁しかないっスよ!?」


 リンが指さしているのは、店舗内の壁だ。

 たしかに声はその方向から聞こえたが……どういうことだ?

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