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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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木馬の使い道は当然アレ……?

 俺たちは第四エリアを後にして、拠点へ向かうことにする。

 俺は荷造りの途中だ。


 伐り出した丸太のうち、形のいいものを拠点へ持ち帰る。

 これは風呂の建材に使うつもりだ。

 大きいまま使うので、加工せず運ぶ。


 かなり重たいので運ぶには工夫が必要だ。


「ゼンジさん、なにしてるんですか?」

「丸太にヒモをかけて引きずっていこうと思ってな」


 俺は丸太の片側にロープを結ぶ。

 抱え上げるより、引きずっていくほうが少ない力で済む。


 試しに二体の分身に引っ張らせる。

 ずりずりと丸太は動くが……遅いな。


「重そうっスね?」

「うーむ。ちょっと拠点まで引っ張るには無理があるな。あ、そうだ。魔石あるか?」


 狩りのついでに魔石も手に入ったはず。

 リンが袋に入った魔石を差し出す。


「ありますよー。はい、どうぞ!」

「おー! けっこうあるな。助かった! これで木馬(きうま)を作れる!」


 リンが首をかしげる。


「きうま? どういうものですか?」


 まあ、聞いたことのない言葉だよな。

 俺も調べて初めて知った。


 キンマとかキンバとも呼ばれるらしい。


「漢字で書いたら木の馬。木馬(もくば)だ」

「木馬っスか……乗ってみたいっス!」


 トウコはうきうきした表情で言う。


「多分トウコが考えてるやつじゃないぞ。揺れるやつだろ?」

「私も子供が乗るおもちゃを想像しちゃいました……」


 リンもかよ!


 二人が想像しているのは、ロッキングホースと呼ばれる子供用おもちゃだろう。

 反った板の上に馬の形のイスが乗っている。


 ゆりかごの馬版だな。


 リンを乗せて揺らしてみたい気はする。

 ……って、なに考えてんだ俺!?


「あたしは大人が乗る三角(さんかく)のおもちゃを想像してみるっス!」

「してみるな! ここで三角木馬を作るわけないだろ!?」


 わざと変な方向へそらすな!


「ここじゃなければ作るんスか!?」

「作らねーよ!」



 リンはスルーして話を戻す。


「それで木馬(きうま)って、どういうものなんですか?」

「ソリの一種で、木材を運ぶのに使う運搬具なんだが……」


 知られてない道具を説明するのって、難しいんだよな。


「まあ、見てもらったほうが早い。さっそく作るぞ!」

「はーい」

「楽しみっス!」



 俺は木材と魔石を材料に、作りたいものを頭に浮かべる。


 ――二本の長い板。


 これは滑走板だ。

 スキー板のように先端は上に反る。


 ――荷台。


 左右の滑走板をつなぐ横棒みたいなものだ。

 丸太や木材を乗せるので頑丈だが簡易(シンプル)な枠組みである。


 以上! シンプル!


「では忍具作成――木馬(きうま)!」


 木馬は木材で作る道具。忍者が木材を運搬する道具である。

 つまり忍具である。


 疑いようもなく忍具!

 よしいけ! 忍具作成君!


 スキルが発動して、俺たちの前に木馬が完成する。

 サイズがデカいだけあって、受け取った魔石はほとんど使ってしまった。



「できたぞ。これに丸太を乗せて運ぶんだ」


 リンが感心したように言う。


「こういうものなんですねー」


 トウコが木馬を上からのぞき込む。


「あれ? 床がないっスよ? 棒しかないっス!」

「床は要らないんだ。丸太を乗せるソリだからな」


 子供が雪の日に遊ぶプラスチックの雪ソリとは違う。


「だって、これじゃ乗れないっスよ!?」

「いや、乗り物じゃないんだって。荷物を運ぶものだ」


 上に木材を横たえて乗せるから床は要らないのだ。


「うぇー? 帰りはラクしようと思ったのにー!」

「むしろ、これを引っ張って帰るんだ! ラクばっかりしようとするな!」


 左右に引っ張るための綱を取り付ける。

 真正面や真後ろは危険だから、横から引っ張る。


 お祭りのときに引っ張る山車(だし)みたいな感じでもあるな。


 もちろん、引っ張るのは分身である。

 分身の労働力、半端ないね!



 リンが言う。


「雪じゃなくてもソリって使えるんでしょうか?」

「使えるぞ。()ソリなら泥の上を通るし、これは()ソリだな」


 トウコが思いついた顔で言う。


「砂漠を通ったらサソリっスね!」

「うん。まあ、そうだな」


 俺はツッコまず、スルーした。

 トウコががっかりした表情を浮かべる。


「ザツっ! ちゃんとツッコんで欲しいっス!」

「話が進まないんだよ! ほら、こうやって引っ張るんだ!」


 話している間に、分身に丸太を積み込ませている。

 あまり満載すると危険なので、今回は少なめで様子を見る。


 分身に木馬の左右から(ロープ)を引かせる。

 丸太をそのまま引っ張るよりもスムーズに動いた。


「あ、ちゃんと動くっスね!」


 森エリアの端なので、下はほぼ草地だ。

 柔らかい土と草の上を、それなりの速度ですべるように動く。


「まあ、テストだから荷物を少なくしている。もっと乗せれそうだな」

「じゃあ、あたしが上に乗ってもいいっスか?」


 トウコが木馬の上に積み上げた丸太を指さす。

 俺は首を振る。


「ダメだ。丸太が崩れたら危ないだろ!?」

「へへ。心配いただきっス!」


 トウコは口元を緩める。

 俺は半眼でにらむ。


「お前、味を占めてわざと危険なことやろうとしてないか?」

「し、してないっス!? これは()のあたしっス!」


 素で危険な行動をとるな!


「フォローになってないよ、トウコちゃん……気を付けてね」

「はは……気を付けるっス!」


 トウコは白い歯を出して、悪びれずに笑った。

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