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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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流しスライムとマグナム弾ファーム! バリスティックゲル作戦!?

「木枠ぅー? そんなのでどうラクになるんスか?」

「まあ、見てろ」


 俺は長い板を平行に並べ、その真ん中に底になる板を置く。

 そして、この三枚の板をクギで打ち付けた。


 さらに補強のために上部に横棒を打ち付けて固定。

 これで、カタカナのコの字型のようになる。


 それを見て、二人は顔を見合わせる。


「なんスかコレ? たしかにワクっスけど……」

「入れもの……でしょうか? 水槽……いえ、水路?」


 道路の端で雨水を排水する側溝(そっこう)に似ている。

 そう。水路の仲間である。


 これは適当にクギを打ち付けただけなので、ちゃんとした水密性はない。

 水を入れても漏れ出すだろう。


 だが液体を入れるわけじゃないから問題ない。


「リン、おしい。入れるのはスライムだ!」


 トウコが首をかしげる。


「うえぇ? スライム入れっスか……?」

「そうだぞ。スライムは柔らかいけど、核を中心にして形を保つだろ?」


 スライムの弱点は中心の核だ。

 核から離れた粘液の体は弱って死んでしまう。

 だから核は中心付近にあって、それを守るように体はまとまっている。


「そうっスね」

「ここにスライムを何匹か入れるとどうなる?」


 俺は木枠を指し示す。

 リンがポンと手を打つ。


「あ、スライムさんが一列に並ぶんですね!」

「あー。そこを銃で撃ち抜くってことっスか!?」


「そう! 前にマグナムの威力を試したとき、スライムが弾道ゼラチン(バリスティックゲル)に似てると思ったんだ。スライムを並べれば、弾丸の威力が測れるってね」


 弾道ゼラチンの硬さは、人体の強度に近い。


「一発で何匹貫通するかって感じスね!?」

「そう。これなら、一発でたくさん倒せるだろ?」


 しかしスライムは弾道ゼラチンより柔らかい。

 威力を測ることはできないが、並べて一気にぶち抜くことはできる。


「おー! スライムまとめ抜きっスね!? これならマグナム弾が増やせるっス!」

「名案ですね! よかったねトウコちゃん!」


 【弾薬調達】の効果でドロップアイテムは弾丸に変わるが、弾の種類で数が違う。

 拳銃弾なら三発。

 だが、ショットガン弾やマグナム弾は一発しかドロップしないのだ。


 増やしたマグナム弾はこれからのレベル上げに使う。

 必殺技がなくても、マグナム弾を撃ちまくれば効率が高まる。

 時短である。



 だが、トウコは木枠をうさんくさげに見ている。


「でもうまくいくんスかねえ……?」

「フタがないとスライムさんが逃げちゃいそうです」


 これは初めて試す道具だ。

 いきなりうまくいくとは俺も思っていない。


「まあ、そこは手作りのいいところ。ダメなら改良するさ! まずは試してみようぜ!」

「はい!」

「リョーカイっス!」



 ここにあるのはただの木枠だ。

 これだけじゃ意味をなさない。


 スライムを集めて、そこに入れなきゃならない。

 でもそれは簡単だ。


「分身! スライムを集めろ!」


 いま俺たちは草原エリアにいる。

 ここにはスライムが生息している。


 四方に放った判断分身が、スライムを体にくっつけて戻ってくる。


「さて、スライムを木枠に入れて……」


 分身からスライムを引きはがして、木枠に入れる。


「あ、出てきちゃいますね!」


 スライムは分身に飛びかかろうとして、木枠からはみ出てしまう。

 このままじゃダメだ。


「んじゃ、改良しよう!」


 俺は側溝(木枠)を傾けるように斜面(しゃめん)に設置する。

 ちょっと傾けて、斜めに置いた感じ。


 草原ダンジョンの地形には傾斜があるので、それを利用したのだ。


 これでだめなら今度はフタをつける。

 試行錯誤して改良していくのだ。

 スローライフって感じがするね!



「流しそうめんみたいっス!」

「ちょっとおいしそうに見えてきました!」


「そうか……?」


 俺はいぶかしむ。

 生のスライムはさすがに食欲をそそらない。



 木枠にスライムを投げ込み、分身はすぐに隠れる。

 はがして、入れて、隠れる。


 そうするとスライムは分身を見失う。


 スライムって視覚あるのかな……?


 目玉がついてるわけじゃない。

 どうやってこちらを知覚しているんだろう。不思議である。


 ともかく、視線が通らない木枠の中からは、こちらに気づかないようだ。


 そうするとスライムはずりずりと木枠の傾斜に沿って転がるように動く。

 スライムの体はねばつくので、水のようには流れない。


「これならスライムさんは出られないみたいですね!」

「ははっ! 転がっていくっス!」


 スライムは木枠の中でうぞうぞと動く。

 だが、木枠の高さは越えられない。


 スライムに知能があれば乗り越えることは難しくないんだけどな。

 だが敵を襲うとき以外、スライムはおとなしい。

 なにも考えずにぷるぷるしているだけだ。


 だから傾斜があると低いほうへ流れていく。

 消化液も出していないから、木は溶かされない。


 もちろん、俺たちが近づけば飛び出してくるので、少し距離を取る。



 三匹のスライムを木枠に流し込むと、俺は言う。


「よし、トウコ。これを撃ってみろ! 木枠を壊さないように、水平にな!」

「この場合はマグナムがいいっスね! うらっ!」


 散弾だと木枠を壊してしまう。

 それに増やす弾丸はマグナム弾がいい。弾の価値が高い。


 轟音とともに発射されたマグナム弾が、次々にスライムを塵に変える。

 一射で三体抜きだ!


 スライムの体はやわらかいので、弾丸の向きは変わらない。

 弾丸はまっすぐに反対側へ突き抜けていく。


 ゾンビやゴブリンなどの人型モンスターでは、こうはいかない。

 本物の弾道ゼラチン(バリスティックゲル)と違ってスライムは柔らかいので簡単に貫通できる。

 これはスライムだからできることだな。


「よし! 木枠も無事! 弾丸も落ちたな!」

「さすがゼンジさん! やったね、トウコちゃん!」


 トウコが木枠の中から三発のマグナム弾を拾い上げる。


「これでマグナム弾が撃ち放題っス!」


 いろいろと下準備はいるが、強力な弾丸を量産できるぞ!

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