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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ハイスラッシュ? そんなスキルはありません!?

「でもちょっとさみしいっスねー」

「え、トウコちゃん、どうしたの?」


「クーラーボックスはもういらないって言ってたことっス」

「食品収納の中だと時間経過がないから、冷やす必要ないだろ?」


「なにがさみしいの?」


 トウコの目線はリンの胸元へ向かう。


「だって、もうリン姉のパイスラッシュが見れな――」


 俺はトウコのわき腹をつついて小声で警告する。


「しっ……やめないかトウコ!」


 本人に言ったらバレ……失礼に当たるだろう!

 トウコは俺の合図に気づいて、雑にごまかした。


「あっ……なんでもないっス!」


 さすがに、リンが聞き返す。


()()スラッシュ? そういうスキルがあるんですか?」


 本当にありそうな技だ!

 俺に効く!


「そ、そうっス! 上段(ハイ)からナナメに斬る技っス! 破壊力バツグンっス!」


 トウコは目を泳がせながら、しどろもどろに答える。


 余計なことを言うな!

 リンの胸に目線を送るな!



 それを見てリンはいたずらっぽく俺に聞く。


「へえ、そうなんですか? ゼンジさん?」


 おっと、さすがに(にぶ)いリンでもこれは気づいたな……!

 俺は目をそらして言う。


「うんまあ、必殺技の一種だろうな。ん……?」


 そらした視線の先に、気になるものが映った。


「――あれはなんだ?」


 俺は木の根元(ねもと)を指さす。


 そこにあるのは――


 なにも話題をそらそうと適当なことを言ったわけじゃない。

 俺が指さした先には、これまで見かけなかったものがある。


 リンはそれを見て言う。


「あれは……キノコですね!? シイタケみたい……でも大きいですねー?」

「おーっ!? これ、食べられるやつっスか?」


 トウコは走りよると、さっとキノコに手を伸ばす。

 俺は静止の声をあげる。


「おい、不用意に触るな! 毒があるかもしれん!」

「あ、もう取っちゃったっス! 別になんともないっスよ!」


 トウコが悪びれもせず、手の中のキノコを示す。

 もう、むしり取ってしまっている。


 それはシイタケに似ているがもっと大きくて肉厚(にくあつ)だ。


 (かさ)の部分は俺の手のひらほどもある。

 店で売っているものに比べると、よく育っている。


 触って大丈夫かわからないってのに……。

 勇気があるというか……怖いもの知らずめ!


「じゃあ鑑定してみますねー」

「どうっスか? 食べるとエッチな気分になるやつっスか?」


 お約束のファンタジーキノコじゃねーか!

 そんなキノコは現実にはあり得ないぞ!


「その可能性があると思うなら、最初から触るな!」

「その可能性にワンチャンかけてみたっス! 二人がかりで(なぐさ)めてくれることを期待したっス!」


 トウコはにやにやしている。


「悪質だよお前! やめろ、そういうの!」


 リンはスルーして鑑定結果を告げる。

 言葉は楽し気にはずんでいる。


「茶色キノコ、だそうです! 毒はありません。食べられますよ! さあ、もっと集めましょう!」


 そういうとリンは目を輝かせて、木の根元に座り込んだ。

 木の根元にはキノコが群生している。


 うーん。みんな欲望に忠実だな!

 夢中でキノコを集める二人の後姿を眺めながら、そう思った。



「あ、こっちに赤いキノコもあるっス! 食べたらレベル上がるかもしれないっス!」


 ヒゲの配管工おじさんの残機が増える(1UP)のは緑色だろ?


「まて! 触るな! いかにも怪しいぞ!」


 赤いのはスーパーなキノコだ。

 これは体が大きくなる……じゃなくて!


 アレだ! 有名な毒キノコに似ている!

 たしか……ベニテングタケだ。


 毒々しいほどに赤い(かさ)

 キノコの(かさ)は卵のように丸い。


 その傘には白いイボのようなツブツブが散りばめられている。

 ()は白くて、しっかりしている。



「気を付けてねトウコちゃん!」

「う、分かったっス!」


 俺たちの剣幕(けんまく)に、トウコはおとなしく引き下がった。

 危険な冗談はダメだ。


「触れるだけで毒に(おか)されることもあるからな」

「鑑定してみていいですか?」


「触らずにできるか?」

「やってみますね!」


 リンはこわごわと赤いキノコに手を伸ばす。

 なにか背徳的(はいとくてき)な絵面だが……というか、ちょっと待て。


 危険を冒して鑑定しなくてもいいじゃないか!?


「待てリン! システムさんに【物品鑑定】を頼んだほうがいい」

「ああ、そうですね! そうします!」


 システムさんがキノコに近づいてくるくると回る。


<名称:赤色キノコ。カテゴリ:素材>


「色しかわからないか。しかし、食材じゃなくて()()だな?」

「茶色キノコは【食材鑑定】だと食べられるものでした。どうですか、システムさん?」


 リンは茶色キノコを差し出す。


<名称:茶色キノコ。カテゴリ:食材>


「む……なら茶色キノコは主に食用ってことになる。赤いのは食用以外の使い道があるってことだぞ?」

「あやしくなってきたっスね!」


 トウコはなぜかわくわくした表情を浮かべている。

 期待してもダメだ! エッチな展開にはならないからな!?

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― 新着の感想 ―
[一言] システムさんの無慈悲な物品鑑定が赤色キノコを襲う!
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