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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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収納研究会の成果と、違和感……こんなはずじゃなかった!?

二話投稿予定です!

 【食品収納】にクーラーボックスに入った鹿肉は収納できなかった。

 一つ一つの肉をビニール袋で包んでいたからだ。


 箱の中に袋を入れることはできない。

 入れ物に入れ物を入れることになるからだ。


「なら、入れ物に入れなければいい! リン。肉だけ収納してみてくれ」

「うぇぇ? まだ続けるんスか?」


 トウコはうんざりした声を上げる。


「これは大事なお話なのよ、トウコちゃん!」

「とっさの状況で収納に入らなかったら困るだろ? 状況次第では生死を分ける問題になる!」


 持ち運べるアイテムの数によって攻略の難易度は変わってくる。

 ちゃんと把握しておきたい!


 俺とリンの熱意に、トウコは頷くしかない。


「そ、そうっスか……? あ、スライム発見! しねっ!」


 そう言うとトウコは戦闘に戻る。

 スライムを銃撃し、塵へと変える。


 帰り道の戦闘はまかせたぜ!

 もうすぐ森も抜けるだろう。



 リンは歩きながら、クーラーボックスの中にある肉を次々と収納していく。

 中身はどんどん減っていく。


 そして、最後の肉を収納に収めた。

 これでクーラーボックスの中身は保冷剤だけになった。


「クーラーボックスごとはムリでも、一つずつ順番になら入れられますね!」


 ん……?

 なにか違和感がある。


 なんだっけ?

 なにか引っかかるんだが……。


 ちょっと思い出せない。


 【忍具収納】のことだと思うんだけど……。



 今は思い出せそうにない。

 それは置いといて、話を戻そう。


「枠は一つにおさまってるよな?」


 リンは首を振る。


「いえ、それが二枠なんです!」

「え? そうなのか? 数は三十個以下だったよな?」


 手元を見ていた感じ、肉は二十個くらいだったはず。


「お肉は二十一個でした。もしかして【食品収納】は【忍具収納】さんよりも小さいんでしょうか?」


 どうでもいいけど、忍具収納だけサンづけ!

 ああ、俺がそう呼んでたからか。

 呼び方ってうつるよね。


「んー? スキルによる違いか。あり得るが……もう一度数えてみようか」

「え? もう一度数えたら変わるんでしょうか……?」


 リンは不思議そうな顔をする。

 たしかに、同じものを数えて結果が違ったらおかしい。


 だが、試したいことがあるのだ。


「ほら、鹿肉はビニール袋に入れてるだろ? 袋から取り出して収納していくんだ」

「あ、なるほど! 『袋入り鹿肉』と『鹿肉』の違いですね!」


「そうだ。ポーチと手裏剣の場合、手裏剣は二十九個入っただろ? つまり、入れ物も一個と数えるんだ」


 『袋入り鹿肉』も収納に入れることはできる。

 でも、数え方は一つとカウントしない。二つとカウントする。



 たとえば、『刀と鞘』とか『手裏剣とポーチ』は、ひとまとまりのセットだ。

 一種類として扱われる。一枠に収まる。


 ただし、パーツ数としては二つだ。

 二つとカウントされる。



 リンが頷く。


「なるほどー。『袋』と『鹿肉』で二つと数えるから、一枠に収まらなかったんですね!」


 二十一セット。つまり四十二個とカウントする。

 一枠に入れられるのは三十個まで。だから二枠必要だ。


「うむ。さすが助手! 剣と鞘と同じだな!」

「ふふ。ありがとうございます、先生!」


 刀と鞘は一枠に収納できることは確認済。

 これはセットだからだ。

 (さや)は入れ物のようでいて、剣とセットの品物だ。


 『袋入り鹿肉』も同じくセットである。



 仮に小さい刀……そうだな、鞘に入った小刀があるとする。

 大きい刀だと容量の制限に引っかかるから小刀だ。


 これは十五セットしか収納できない。


 刀が十五、鞘が十五と数えるはず。

 合計三十個だ。



「では、やってみますね」


 そう言うとリンは収納から二十一個の『袋入り鹿肉』を取り出して、クーラーボックスに入れる。

 そして次に一つずつ、袋から取り出した『鹿肉』を収納した。


 一個入れるごとに三秒かかっている。

 収納は時間がかかる。これは【忍具収納】と同じだな。


 その地味な作業を終えると、リンが笑顔で言う。


「あ、ひと枠に二十一個入りました! やっぱり袋のせいでしたね!」

「よし! すっきりしたな!」


「これなら袋に入れる手間もないし、クーラーボックスも持ち歩かなくてすみますね!」

「そうだな! 直接『鹿肉』を収納にいれていけばいい」


 これで、気になったことは解消した。

 だが、なにか忘れているような気がする。


「そうですね! 触らなければ汚れませんし!」

「お、できるのか?」


 俺は胸がもやもやする感覚を覚える。

 なにか、思い出せそうだが。


「はい。かなり近づければ、触らずに収納できます!」

「ほう? 触らずに?」


「はい。生のお肉に触るのはいやですしー」

「……なら、衛生的には問題ないな。……ううむ?」


 俺は違和感の正体に思い至って、黙り込む。

 ああ、俺は大切なことを忘れていたんだ。


「ゼンジさん、どうしましたか?」


 あんなに検証したのに!

 いや、検証したからこそとも言えるか!?



 リンが当然のように行ったことは、俺にはできない。

 【忍具収納】ではできないんだ!

誤字報告ありがとうございます。助かります!

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