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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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時間をかけずに偵察する方法! 俺ならではのやり方とは……?

本日二話目!

「では、帰りましょうか?」

「ああ。だがその前に――自律分身の術!」


 目の前に自律(じりつ)分身が現れる。

 俺はクナイと(ワイヤー)分銅を手渡す。


「よう(本体)! んじゃ俺は第五エリアを偵察してくるわ!」

「よう(自律)! まかせる!」


 自律分身は第五エリアの霧の中へと消えていく。

 俺は背を向けて帰る方向へ歩き出す。


「よし、帰ろう!」

「あれ? 分身さんを待たなくていいんですか?」


 首をかしげているリンへ言う。


「ああ、効果時間いっぱいまで偵察させる。帰りは待たなくてもいい」


 【自律分身の術】は一時間ほど持続する。

 それだけあれば、第五エリアをある程度は偵察できる。


「店長二号は消えても、ちゃんと戻ってくるんスよね?」

「そうだ。離れていても自律分身の記憶と経験は俺にフィードバックされる」


 効果時間が切れるか、倒されれば【意識共有】が発動する。


 ダンジョンの外にいると無理だが、ダンジョン内なら問題ない。

 俺のダンジョンでは階層が違っていても回収できている。



 リンが心配そうに言う。


「でも分身さん一人だと、危ないんじゃないですか?」

「もしやられたなら、それだけ危険だってことがわかる。あいつだってちゃんと考えて動くから大丈夫だよ」


「そうですか……」

「店長二号はスキル使えないっスよね? 大丈夫なんスか?」


「【隠密】はできないな。だから普通にこそこそ隠れたりするんだよ。正面から戦ったりしない」

「ハードモードっスね!」


 【自律分身の術】はもう一人の、自分で考える俺自身を生み出す。

 考える頭が二つになるのは、便利だし強い。


 そして、自律分身の経験を俺に共有(フィードバック)する【意識共有】。

 この二つが揃うことで真価を発揮(はっき)するのだ!


「たしかにハードモード、縛りプレイみたいだな。俺の経験と記憶は持っているし、ステータスはある」


「あぁ……聞けば聞くほど心配になっちゃいますー!」

「ま、武器も持たせた。そこそこやれるさ。それに難しい攻略をした経験は俺にかえってくるんだ」


 トウコがうえっと舌を出す。


「店長、マゾいっス!」

「さすがゼンジさんはまじめですね……!」



 俺はスキルを使ってダンジョンを攻略している。

 自律分身ではスキルを使えない。

 つまり【隠密】や【壁走りの術】を使えない。


 そうなれば、動き方は変わってくる。

 じっくりと足元を見定め、敵に気づかれないように立ち回る。

 そして、その苦労、その経験は俺の糧になる。


 もし死んだとしても、その命がけの経験が手に入るのだ。

 このダンジョンでは死んだら終わりかもしれない。

 復活がある保証がない。


 だから、自律分身はある意味では死ぬ可能性のある冒険ができる。


 こんなことを言うとリンが余計に心配するから言わないが。



 残念ながら、【自律分身の術】と【意識共有】は成長させられない。

 スキルポイントを振って育てることができないのだ。


 これはたぶん【エラー】にぶら下がっているスキルだからだ。

 【エラー】の正体は、まだ取得できない()()()()()()なんだと思う。


 ――つまり【上級忍術】だ。



 条件さえ満たせば、スキルを成長させられると期待している。

 その条件とは、三つ目の職業だ。上級忍者である!


 俺のレベルももうすぐ二十になる。

 近づいてきたぜ!



 俺たちは森を歩きながら話を続ける。


 来た道と平行するように、違うルートを通っている。

 帰り道も地図を埋めているのだ。


 シカやスライムは襲ってくる。

 ボスを倒したからって敵が減るわけじゃないからな。

 とはいえ、行きに倒した分だけ周辺の敵は減っている。



 トウコがうらやましそうな顔で言う。


「店長のもリン姉のも使えるスキルでいいっスよねー」

「私はトウコちゃんの【捕食】も、すごく便利だと思うよー?」


「そっちはいいんスけど、【復活】と【狂化】は死にスキルっス!」

「それは使わないに越したことはないさ。保険と考えようぜ」


 試してみたい気持ちはあるけど、命がけになってしまう。

 賭けるのはトウコの命だから、試せるわけがない。


「ちぇー」


 トウコは口をとがらせた。



 隣の芝は青く見える。

 トウコの【復活】スキルが俺にあれば、死ぬリスクを考えずに戦えるんだけどな!

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[一言] なにげに復活できるなら死ぬのは怖くなさそうな主人公
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