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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ボス撃破報酬!? ……期待に胸がおどる!?

<経験が一定値に達しました。レベルが上がりました!>


「お、レベル上がったぞ!」

「あたしもっス!」

「私もです!」


 ここまでにもシカを狩りまくっていたからな。

 ボスの経験値はやはりウマい!


「スキル振りは帰ったらじっくりやるぞ」

「はい!」

「まずは宝箱っスね!」



 ボスの大鹿を倒すと、あとには宝箱が残った。

 金色でちょっと豪華な装飾が(ほどこ)されている。


「これはみるからに、アレだな?」

豪華(ごーか)な宝箱だから、きっといいものが入ってるっス!」

「楽しみですね!」


 二人は普通に喜んでいる。


「いや。俺が言いたいのはボスの撃破報酬が入ってるってことだ。トウコ! まだ開けるなよ!?」

「え? 開けちゃいけないんスか?」


 こら、手を伸ばすな。フリじゃない!


「罠があると危ないからですね?」



「いや……おそらく、罠の心配はないと思う。開けた人に報酬が渡されるパターンかもしれないってことだ」

「あ、前に店長が言ってたやつっスね!」


 俺は【自律分身の術】と【意識共有】を得た。

 ほかの術に比べて強力なスキルだ。


「だったら、誰が開けても大丈夫ですよ?」


 あいかわらずリンは欲がない。


「いや、そうはいかない。リンのダンジョンだからボス報酬はリンしか受け取れない可能性が高いんだ」


 トウコのダンジョンで料理人ゾンビを倒しても俺は報酬をもらえなかった。

 想定しない相手が宝箱を開けると、自律分身のときのようなエラーが起きるかもしれない。


 いい方向に転べばいいが、へんなエラーが出ては困る。


「確かにそうっスね! リン姉どうぞっス!」


「わかりましたー。じゃあ、おいしいものが出たらみんなで食べましょうねー」


 そう言うとリンは宝箱のふたに手をかける。

 大丈夫だとは思うが、俺は念のため【入れ替えの術】を準備して片目片耳をふさぐ。


「えいっ!」


 妙にまじめな顔でリンが宝箱のふたを開ける。

 すると――宝箱から光があふれ出る。


「まぶっ!?」


 トウコがすっ頓狂(とんきょう)な声を上げる。


 光がリンの体を包む。

 すぐに光は収まった。


 そして、天の声が響き渡る。

 この声は俺たちにも聞こえている。


<おめでとうございます! ダンジョンボスの初討伐を確認しました! クリア報酬が与えられます!>


「よし、俺のときと同じだ!」

「てことは、スキルがもらえるんスね?」


<討伐者には……>


 リンが天の声のアナウンスに対して食い気味に言う。


「おいしいものをお願いします!」


<再検討中……。討伐者の嗜好(しこう)を再検討……成功!>


 俺は思わず驚きの声をあげる。


「えっ……!? 希望が通るのかよ!?」

「マジっスか!? た、食べ物になっちゃうんスかね!?」


<討伐者には、クリア報酬として【食品収納】が与えられます!>


「あ、宝箱の中にお肉もありますよっ! やったー!」


 リンは無邪気に喜んでいる。


「お……おう。これはアタリか?」

「ちゃんとスキルももらえたっスね!」


 リンは笑顔で言う。


「スキルもちゃんと貰えていますよ! うれしい! 私もゼンジさんみたいに、収納スキルほしかったんですー!」


「食品収納か。食べ物を入れられるんだろうな?」

「ちょっと試してみますね! あ、でもその前に……【食材鑑定】!」


 リンはいそいそと、宝箱の中に残った肉のカタマリを鑑定する。


大角鹿(おおつのしか)上質肉(じょうしつにく)だそうです! 毒もないし、食べられますよ! つやつや光っていておいしそうです!」


 興奮ぎみに話すリンを見て、トウコが言う。


「リン姉……食べ物への愛がすごいっス!」


 リンが手をかざして数秒。肉がふっと消える。

 収納スキルが発動したんだ。


「収納できました! ゼンジさんの忍具収納さんとおんなじです!」


 リンはうれしそうだ。


 【忍具収納】はリンと一緒に細かく検証したからな。

 使い方や制限も心得ている。


「収納と取り出しには時間がかかるんだな。なら容量も似た感じか? 数量は? 食材以外も入るのか? 食器はムリか?」


 矢つぎ(ばや)に疑問を口にした俺に、トウコが言う。


「店長……スキルへの興味(きょーみ)がすごいっス!」


「帰りながらいろいろ試しましょう! おうちに帰ってちゃんと料理したいです!」


「そうしよう! 今日は第五エリアの探索は見送りだ!」

「あ、でもせっかくだから一歩でも入っておくっス!」


 そういうとトウコはぴょんと境界線を越える。

 第五エリアへ侵入したわけだ。


「ん? なにか意味があるのか?」

「ないっス! 記念に! それにもしかしたら実績(じっせき)とかあるかもしれないっス!」


「ほう。そういう考えか。じゃあ一応俺も……」

「じっせき? 記念品でももらえるんですか?」


 俺とリンも第五エリアに足を踏み入れる。

 空気は少し湿っぽい。霧で視界は悪いので遠くは見通せない。


「なんもおきないっスね!」


 第五エリアに入った回数みたいな実績があるかもしれないが、数回じゃ満たさないか。


「ま、おまじないってことでいいだろう。で、リン。実績ってのはゲームでよくあるシステムだ。目標を達成したり、攻略が進むとご褒美がもらえるって感じ」


「トロフィーっス! ごほうびっス!」

「そういうことなんですねー。じゃあ、さっきのボス討伐報酬も実績なんでしょうか?」


「まあ、そうだろう。だからトウコの言うようにそれらしい行動をしてみるのは悪くない」

「でしょでしょ! やってみる価値はあるっス!」


 トウコは境界線で反復横跳(はんぷくよこと)びしている。


 ちょっと馬鹿っぽく見えるけど、まと外れではない。

 ダンジョンはゲームじゃない。

 だから、どこまでゲーム感覚を参考にしていいかはわからないけどな。


 リンもマネして反復横跳(はんぷくよこと)びをはじめる。


 おお……!?

 なにをとは言わないが、俺はそれをじっくり眺める。


「あれ、トウコちゃんやめちゃうの?」

「リン姉は続けて続けて! あたしはいま、ごほうびを堪能(たんのー)してるっス!」


 トウコの視線は縦に跳ねている。

 リンは必死に反復横跳びを続けているので視線には気づかない。


「何回もやったらなにかもらえたの? じゃあ、ゼンジさんもやりましょう!」

「……ああ、そうだな」


 俺は激しく横跳びした。

 なにこれ楽しい!


 最高のご褒美だった!

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― 新着の感想 ―
[一言] 胸が踊る(物理 幅広い収納より収納出来る物が限定されてる分いい効果の収納の可能性もありそう。
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