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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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ボス戦は突然に!? VSボス戦! 森林エリアは大鹿で!

本日は二話投稿予定!

「キュォォォォォ!」


 巨体のツノシカが甲高い声を上げる。

 周囲の空気がびりびりと震える。


 口の端からよだれを垂らした大きなシカが、俺たちをにらんでいる。

 凶悪なその表情は捕食者(ほしょくしゃ)のそれだ。



 ――くそ、いきなりかよ!?


 こいつはおそらく、ボス個体だ!

 ここはまだ第四エリアだってのに!


 第五エリアにはボスがいると予想していた。

 なら、エリアの境界線近くにいたって不思議じゃない!


 そこで俺は、はっと我にかえる。

 (ほう)けている場合じゃない!


 反省はあと!

 今は目の前の敵に対処するんだ!



 もう大鹿は俺たちに飛びかからんと、走り出している!


「散れっ! 動けっ!」

「は、はいっ!」

「ちょっ!? これ、ボスっスか?」


 リンは素直に、トウコは疑問を口にしながら距離を取る。


 俺は背後へ飛びのいて距離を取りながら、術を放つ。


「――分身の術!」


 生み出した分身を、すぐ前に出す。

 これはおとりだ。


 大鹿の目の前に突っ込むように走らせる。


 目の前に現れた分身に驚いたように、大鹿は向きを変えた。


 狙い通り、大鹿は分身へと突撃する。

 分身はひとたまりもなくはね飛ばされ、すぐに塵となってしまった。


 でも、これで時は稼げた!



「立て直せ! たぶん、こいつはボスだ! ……まずは落ち着け!」

「は、はい……どうすれば?」


 リンは不安げに俺を見ている。

 俺は方針を伝える!


「逃げるのは難しい! ここで倒すぞ!」


 トウコはにやりと笑ってショットガンを獣に向ける。


「なら、とりあえず撃ちまくるっス!」


 トウコが勢いよくショットガンの引き金を引く。

 残しておいた二発目――最後の弾丸が発射される。


 【ラストショット】が発動して、派手な発砲炎があがる。


 はじける様に飛んだ散弾が大鹿に命中する。

 だが、獣はうるさげに身震いをしただけで、ダメージは小さい。


「硬いぞ! リン、全力で行け!」

「はいっ! ファイアボォール!」


 リンは両手を突き出すようにして大きな火球を放つ。

 着弾した火球が大鹿を燃え上がらせる。


 しかし、その炎はすぐに鎮火(ちんか)してしまった。


「ヒットポイントだ! 魔法の効果が弱められている!」

「は、はい!」


「リロッ!」


 トウコはショットガンに弾を込めている。



 俺は大声を上げながら、前へと踏み出す。


「おいっ! こっちだバケモノめ!」


 それと同時に二体の分身を生み出して先行させる。


 リンとトウコを狙わせないように気を引く。

 それが俺の役割だ。


 大鹿の左右に分身が走りこむ。

 俺はその後ろを駆けていく。


「ギュアァ!」


 大鹿は吠え声をあげると、左の分身に狙いを定める。

 俺は突進に巻き込まれないようにかわしながら、刀を振りかぶる。


 狙いは足だ。

 太くたくましい足が地を蹴って土煙を上げる。


 奴の動きも速い!

 だが、届く!


「ファストスラッシュ!」


 すれ違いざまに斬り付けた刃が大鹿の足をとらえる。


 重い手ごたえ。

 くっ! 刀が手から吹き飛びそうだ!


「うおおっ!」


 俺は痺れる腕になんとか力を込める。

 なんとか、刀を取り落とさずにすんだ。


 くそ!

 なんて硬さだ!


 正面からぶつからないように斬りつけたってのに!



 俺は(なか)ばはね飛ばされながらも、手をついてなんとか着地する。

 かなり無茶な姿勢になったが、【受け身】スキルのおかげだな!


「店長っ! あぶない!」

「なにっ!?」


 はっと顔をあげると、すぐそばに大鹿が迫っている。

 巨体に似合わぬ俊敏さで、身をひるがえして突進してきたのだ!


 体勢を崩している俺は回避できない!


「ッッ――!」


 大鹿が高々と振り上げた前足が、俺の頭蓋をかち割らんと迫る!

 その直前、俺は準備しておいた術を発動する。


「――入れ替えの術ッ!」


 対象は残っている分身。

 分身を二体出しておいたのは、このためだ。


 俺と分身との位置が入れ替わる。

 それと同時に、分身が踏みつぶされる。


 あぶねえ!


 再び俺は二体の分身を左右に放ち、背後へと飛ぶ。


 【入れ替えの術】は連続して使えない。

 次に使えるのは数秒後だ。



 大鹿がいまいましげに、俺に向き直る。


「くらえっス!」

「ゼンジさん!」


 その背中に、銃弾と火球が命中する。

 だが大鹿は意に介さず、ぶるる、と大きく息を吐く。


 生臭い息が、俺の顔にかかるほどの距離だ。


 分身の手ごたえのなさにイラついているのかもしれない。

 それとも、何度倒しても立っている俺が不思議に思えるのか?


 そんなことを考える知能があるのかはわからないが……。


 大鹿はぐっと姿勢を低くして、飛びかかろうと力を蓄えている。

 毛皮の上からも見て取れるたくましい筋肉がふくれ上がる。


 速さ比べか? 望むところだ!


 なんにせよ、俺を狙ってくれるなら好都合だ!


「よし、来い!」


 強敵との戦いに気分が高揚する。

 俺は口の端をにやりとゆがめると、大鹿をしっかりと見据(みす)えた。

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― 新着の感想 ―
[一言] でかくて重装甲とくれば有効なのはピアシングショットですね 後は装甲の薄い腹と目玉に眉間を含む正中線 ちょっと汚いけど尻穴への刺突も…
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