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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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森と狩猟! もみじ肉パーティ!

「しかし、炎を怖がらないのは驚いたな」

「はい。ビックリしました! まさか突き抜けてくるとは思いませんでしたー!」


 これまでのコウモリやクモは炎を怖がる。

 よけきれない場合を除いては突っ込んでこない。


「やっぱシカだからバカなんスよ! 猪突猛進(ちょとつもうしん)っス!」

「それってイノシシじゃないか?」


「シカさんはもっと臆病(おくびょう)だと思ってましたー」

「どうだろうな。あんまりシカに詳しくないけど……」


 すぐ逃げるようなイメージはある。

 このモンスターはむしろ好戦的だった。


「まあモンスターっスからね! 同じとは限らないっス!」

「でも、シカさんは食べられますよね? もみじ肉って言いますもんね!」


 リンは早くも食べることを考えているようだ。


「ああ、食えるはずだよな。俺は食ったことないけど」

「ジビエ料理っスね! ウサギよりおいしいかもしれないっス!」


 トウコが口元をぬぐう。


「ちょっと狩ってみるか。戦いやすい場所を探してみよう」

「はい!」

「りょー!」


 さっきは急な遭遇戦になったから有利に戦えなかった。

 俺たちの長所が活きる地形を探そう!



 俺たちは少し開けた場所に陣取(じんど)った。


 やぶを焼き払って視界を確保する。

 樹上のスライムも倒しておく。


 スライムは木の上だけでなく、足元に潜んでいることもある。


 だが気をつけてさえいれば倒すのはたやすい。



 分身をおとりにしてモンスターをおびきよせる。

 まもなく森の奥からべきべきと枝をへし折る音がした。


 つり出し成功だ!


「来たぞ! 迎撃準備!」

「オーケーですっ!」

「チャージ開始っス!」


 トウコは銃に魔力を込め、リンは魔法に集中する。


 森の奥から分身が走ってくる。

 その後を追いかけて獣――ツノシカが現れる。


 そこへトウコはじっくり力をためた銃を向ける。


「チャージショットっ!」


 ずどん。

 大きな銃声と共に放たれた弾丸が、シカの胸元に命中する。


 べこりと大きな傷ができて、シカが倒れる。


「一発っス!」

「もう一匹きます! ファイアボール!」


 リンの放った火球も、じっくりと魔力を練り上げた大玉だ。

 向かってくるシカに着弾し、燃え上がらせる。


「キョアァァ!」


 だが、燃え上がりながらもシカは足を止めない。

 タフだな!


 俺は前へと走り、刀を振るう。

 狙いは前足。


 シカはろくに前も見ずに走ってくる。

 その足を切り飛ばす。

 シカはたまらずに転倒する。


 倒れたシカは立ち上がれずにもがく。

 そのまま炎に焼かれて燃え尽きた。


 あとには宝箱が残される。


「よし! 勝ったな!」

「周囲に反応ありません! 安全です!」

「ふー。楽勝っスね!」


 分身に宝箱を回収させる。


「さて、中身は――魔石と、肉か!」


 ドロップした肉は小さい。

 ウサギの肉と変わりないサイズ。

 スーパーで売っている切り身の肉くらいだ。


 大きなモンスターを倒しても、大きな肉が手に入るわけじゃないようだ。



 トウコは両手を上げて喜ぶ。


「やたーっ! ごはんっス!」


 リンは肉に手をかざす。


「さっそく鑑定しますね! ――食べられます! 毒もありません!」


 さらにタコウィンナーが現れて【物品鑑定】の結果を言う。


<名称:角鹿(つのしか)の肉。カテゴリ:食材>


「おお、カテゴリが食材か!」

「いつもは素材っスよね? なにが違うんスか?」


 スライムゼリーは素材扱いである。

 こっちは食材。

 なにか違いがあるのかな?


「システムさん、どう違うんですか?」


<食材は食用に適します。素材はクラフトスキルの対象となります>


「つまり、食材はクラフトに使えないのか?」

「どうですか?」


<食材カテゴリの場合でもクラフトスキルの対象となりえます>


「ふーむ。厳密な分け方じゃないのか」

「どうなんスかね? 肉を使ってクラフトしないんじゃないっスか?」


「主な用途が食べることだと食材になりますか?」


<はい>


「素材でも食べられますか?」


<はい。素材カテゴリの場合でも食用に適する場合もありえます>


「スライムゼリーは食べれるけど、クラフトの材料になるってことだな」

「地味な違いっスね!」


「ま、ちょっとすっきりしたよ」

「そうですねー」



 話しながら、リンは荷物から料理道具を取り出している。


「では、さっそく料理してみましょう!」

「おう。トウコは周囲を警戒してくれ」

「りょー」


 この場所は視界も取れて、比較的安全だ。

 追加の敵が現れたら倒せばいい。


 むしろ肉が増えたらうれしいくらいだ。



 リンはフライパンに薄く油を引いて肉を焼いていく。

 塩コショウで焼いただけのシンプルな料理だ。


「できましたー。焼き具合はこれくらいでいいですか?」


 脂が少ない赤身の肉だ。

 ミディアムレアくらいの焼き加減である。


「いいんじゃないかな?」

「一個食べてから考えるっス!」


 肉によってベストな焼き加減は違う。

 食べてみないとわからないしね。


「では、どうぞー」

「おお、いい匂いだ! いただきます!」

「いただきまーっす!」


 一口大にカットされたサイコロステーキ。

 ほかほかと湯気が上がっていて美味そうだ。


 口の中に入れた肉をかみしめる。

 うすい味付けで、素材の味が活きている。


「ちょっと臭みがあるっスね! でもおいしいっス!」

「思ったよりやらかいな」

「さっぱりしてますねー。もうちょっと味をつけたほうがいいかもしれません」


 少し臭みがあるけど、いやな感じはしない。

 赤みが多くて脂身がほとんどないのに、かめば肉汁が出てくる。


「うまいな!」

「おかわり欲しいっス!」

「ゼンジさん、おねがいしま……あ、来ましたよ!」


 俺がつり出すまでもなく、お肉は向こうからやってきた。

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