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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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森のお友達? そんなにかわいいものじゃない!?

 俺たちは森エリアを進んでいく。

 道に迷わないように木にナタであとをつけていく。


 帰り道(退路)の確保は探索の基本だ。


 森は深く、道はない。

 後ろを振り返っても木が生い茂っていて森の外は見えない。

 これは方向感覚を失いやすいな。


 樹上(じゅじょう)のスライムを落として倒すのはトウコの役目だ。

 これはドロップを弾丸に変えるため。


 もし森で迷子になっても、リンの【食材】があれば飢え死にの心配はない。

 安心感があるね。

 まあ、迷うつもりはないけど。



 リンが警告をあげる。


「あれ? なにかいます! 大きいです!」

「分身、前へ!」


 俺は周囲に展開している分身を前進させる。


 リンが示す方向からは、大きな足音が聞こえている。

 地を蹴って走る獣の足音だ。


「来たっス!」


 やぶをかき分けて現れたのは大きな四足獣(しそくじゅう)だ。


「――うらっ!」


 その姿を見るやいなや、トウコが銃撃を放つ。


「キュァッ!」


 甲高い叫び声をあげ、その(けもの)に弾丸が命中する。

 だが、その動きは止まらない。


 前に出していた分身をはね飛ばし、なおも突進してくる。

 獣の頭部には大きな一本の角が生えている。


 そこへ分身がとびかかる。


 獣は大きく首を下げると、勢いよく首をはね上げる。

 とびかかった分身は鋭い角に貫かれ、宙に放りあげられた。


 (けもの)はそのままトウコに向かって突進する。


「かわせっ!」

「りょ!」


 トウコは横っ飛びして、そのまま転がる。

 膝立ちで止まり、すばやく射撃する。


 獣はトウコの弾を胴体にかすめながらも、俺たちのいた場所を突き抜けるように走り抜けていく。



「な、なんだ?」


 獣は俺たちの背後のやぶを突き抜けて走り去った。


「いまのはウマっスか? ユニコーン!?」

「シ……シカさんでしょうか?」


 ウマやシカに似た四足の獣だ。

 角は一本。額に生えている。


 角ウサギよりも立派で、もっと太い。


「……なんにせよ、後だ。戻ってくるぞ!」


 足音は遠ざかっていかない。

 再びやぶを突き抜けて獣が現れる。


 リンが準備していた魔法を発動させる。


「ファイアウォール!」


 目の前に炎の壁が現れ、獣との間をさえぎる。

 獣は火を怖がるはずだ。


 だが――


「キョアァ!」

「えーっ!?」


 獣はひるまずに、そのまま火の壁を突き抜けるように突っ込んでくる!


 リンは動けない。


 俺は収納から取り出しておいた刀を握って前へ踏み込む。

 踏み込みながら峰に返した刀を一閃(いっせん)する。


「――フルスイングッ!」


 すれ違うように振りぬいた刀の峰が獣の頭部を強打する。

 ノックバック効果が発生して、突進のコースがずれる。


 身をすくめたリンのすぐ横を獣が走り抜ける。

 そして背後の木にぶつかるようにして獣が動きを止める。


 獣はすぐに身をひるがえして、再びこちらへ向き直る。

 その目は血走っている。


「ピアスショット!」


 銃口から派手な発砲炎(マズルフラッシュ)が噴出し、弾丸は曳光弾(えいこうだん)のように光の線を残して飛ぶ。


 獣の首に突き刺さった弾丸が反対側へ突き抜ける。


「キョッ!?」

「ファイアボール! ファイアボールっ!」


 動きを止めたところへ、リンの放った火球が連続で炸裂(さくれつ)する。

 顔面を炎上させた獣が地に倒れる。


 そのまま塵となって消えた。


「ふう。倒したな……」

「なんスかあれ! やたらと頑丈な奴だったっスね!」

「こ、こわかったです!」


 俺は新たな分身を周囲に配置して警戒する。

 この分身は威力を下げてコストを強化したものだ。


 戦うためというよりは、おとり(デコイ)索敵(センサー)である。


 今回も攻撃面では役に立っていないが、おとりとしては役に立っている。


「あれ、シカっスかね?」

「うん。でも普通のシカとは違うよな? 角が一本だし、デカい」


 リンが宝箱を拾い上げる。

 中身は魔石だ。


「では、鑑定してみますね!」


<名称:角鹿(つのしか)の魔石。カテゴリ:魔石>


「やっぱりシカ……なのか」


 普通の鹿にはツノがある。

 枝のような角が特徴だ。

 角は左右に二本はえている。


 今のモンスターは角が一本。

 まっすぐで太い角で、少し反っている。


 一角(いっかく)鹿と言われたらしっくり来るけど……。


 ウサギもツノは一本で、名前は角兎(つのうさぎ)だしな。



「シカってこんな狂暴っスかね?」

「ぜんぜん可愛くなかったですねー」


 戦闘中はじっくり見ていられなかったが、言われてみれば鹿の特徴がある。

 四足で、首が長くて、角が生えている。


「日本のシカとは違うな」

「デカいっスね!」

「角も一本で立派でしたね!」


 体は大きくて、どっしりとしている。

 ウシやウマよりは小さいが、ニホンジカよりは大きい。


 ボス以外ではこれまでで最大サイズの敵だな!

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