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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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料理人に必要なのはスキルよりも愛情です!?

 草原ダンジョンの拠点にて、俺たちはリンの料理に舌鼓(したつづみ)を打っている。


 リンが選んだスキルは【食材】。

 そのスキルを使ってサラダを作ったのだ。


「うまっ! 野菜なのにうまいっス!」

「うん。味はいつも通りだな!」


 手作りの料理と変わりない、すばらしい味だ!


 リンはほっと胸をなでおろす。


「よかったー。なんだか手を抜いたみたいで心配だったんです!」


 このサラダの下ごしらえには【食材】スキルが使われている。


 まずリンは家庭菜園から採れたての野菜を持ってきた。

 そして泥のついた野菜に手をかざすと、汚れが消え去ってしまった。


 【食材洗浄】の効果だろう。

 ダンジョンで血や汚れが塵に変わるのに似ている。


 そして【食材加工】あるいは【解体】。

 包丁を軽く当てると、野菜は瞬時に切り刻まれたのだ。


 ニンジンなら皮が剥かれて千切りに。

 レタスなら食べやすいサイズに手でちぎったかのように。


 あとは盛り付ければ完成。あっという間だ。


「まるでリンが手作業で作ったみたいに見えるな」

「そうですね。私がこうしたい、と思った通りにできるみたいです」


「じゃあ、あたしが作ったらどうなるんスかね?」


 トウコが【食材】スキルを持っていた場合ってことだろう。


「トウコの()()()()()()()ができあがるんじゃないか? だけど、作り方知ってるか?」

「そりゃ、野菜を切ればいいっス!」


 やっぱ雑なイメージしかないな。


「野菜を切ればサラダってわけじゃないが……」


 切ったり洗ったり、食べられない部分を取り除いたり……。

 下ごしらえにもいろいろある。


 こういう手順をイメージできなければ、あやしいサラダができるかもしれない。

 複雑な料理なら、もっと違いが出るだろう。


 【食材】と【調理】の違いはこのあたりかな?

 【調理】はたぶん技術や知識が手に入るのだろう。


 もともと知らないことを、さも知っていたかのように理解できる。

 技術のインストールのようなもの。

 俺の【体術】もこのタイプのスキルだ。


 リンは、もともと料理の知識も技術も持っている。

 ある意味【調理】いらずだ。


 それに料理に大切なのは技術や手順じゃない。

 食べてもらう人への気持ちだ。

 愛情だとか手間が味を変えるわけじゃないけど、伝わるなにかはある。


 食べやすいサイズにカットされているとか。

 熱すぎたり冷めていたりしないとか。


 小さな積み重ねが、おいしい料理を生み出す。

 幸せな食卓を生み出すんだ!



 【食材洗浄】【食材加工】は結果だけを得る効果だ。


 切ったり、洗ったりする工程を省略できる。

 魔法のように全自動で料理が完成するわけじゃないようだ。


 今作ったのはサラダだけど、もっと複雑な料理でも試してもらいたいね。



「うえぇー? 切るだけじゃダメなんスか?」


 リンはトウコに微笑みかける。


「トウコちゃん。今度一緒に作りましょうねー」

「二人の共同作業っスね!」


 ケーキ入刀みたいに言いよる!


「家事は日常の作業だろ!」

「店長が仲間になりたそうに見ている……仲間にしてあげるっス!」


「そんな目で見てないわ!」

「やらしい目で見ているんスね!」

「ちがうわ!」


 リンが言う。


「じゃあ、三人でやりましょうねー」

「ん……? ああ――」


 俺は一瞬、判断に迷う。

 リンはワンテンポ遅れた返事をしただけだ。

 料理の話。……そうだよな?


「つまり、三人でのやらしい共同作業っスね!」

「やめい! 健全な家事の話だよ!」


 品位(ひんい)が問われる!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] もっと複雑な料理でも試していたいね。
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