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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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料理人のスキル――【調理器具】とは?

 スキルを取得しようとするリンを止める。

 いちおう最後の候補も見ておこう!


「――【調理器具】も見ておこうぜ!」

「えっ? あ、そうでしたね!」


 リンは指を止める。

 間に合ったらしい。


「……ふう。今のところ【食材】が有力だけど、残りも見ておこう」

「もう【食材】でよくないっスか?」


「よくねえよ! 飽きてんじゃない!」

「ちぇー。じゃ、早く続きをお願いするっス!」


 トウコは口をとがらせて、リンをせかす。


「はーい。残りは【調理器具】ですねー」



 リンが書き出した内容を読む。


 --------------------

 【調理器具】

 調理器具を扱うためのスキル。武器としても使用できる。


 含まれるスキルは以下。

 【調理器具・威力強化】【調理器具・精度強化】【調理器具・速度強化】

 【調理器具・切断力強化】【調理器具・打撃力強化】【調理器具・刺突力強化】

 --------------------



「強化系のスキルが多いようだな」

「調理器具の威力って……なんでしょうか?」


「武器として使うスキルなんじゃないっスか?」

「武器、ですか」


 トウコが手に武器でも持っているように、ぶんぶんと振るう。


「ほら、あたしのダンジョンの料理人ゾンビみたいに!」

「うーん……? 料理人……?」


 リンは首をかしげている。

 あまりの恐怖に()()()のことは忘れているんだった。


 リンはゾンビを()()()()()()()に置き換えて認識している。

 変に刺激してまた戦えなくなったら困るぞ!


 俺はあわてて取り(つくろ)う。


「料理人()()()()のことな。ほら、肉切り包丁の……」

「あー、あの大きな包丁! でも、私には持てそうもありません」


 巨大な肉切り包丁を振り回すリンを想像してみる……。

 ないな。そういう方向性じゃないだろう。


「小さい包丁でぶすりと行けばいいんスよ!」

「それもなんか怖いな……いや、頼もしいな!?」


 俺の脳内に壊れた笑みを浮かべて包丁を突き出すリンの姿が浮かぶ。

 ……背筋が(こお)る。

 そういう方向性はやめてほしい!


 リンはちょっと……少し病んでる気はあるけど、嫉妬(しっと)深くはない。

 いわゆるヤンデレではないのだ。


 攻撃的じゃないからな。刺されたりしない。

 うん。大丈夫。


 不思議とリアルな映像が頭に浮かんであせっただけだ。


「ゼンジさん、どうしたんですか?」


 リンは不思議そうに俺の顔をのぞきこむ。

 おっと、表情に出ていたかな?


「いや、なんでもないよ」

「そうですか。頼もしいって言ってくれましたけど、自信ないですねー」


「たしかにリン姉が前衛やるのは違う気がしてきたっス!」

「そうかなあ? 私は【モデル】の【美肌】でトウコちゃんより丈夫(じょうぶ)なんですよ!」


 リンは力こぶを作るポーズをする。

 強そうには見えないけど……。


「頑丈でも性格的な向き不向きってのがあるからな」

「前で戦うのはあたしと店長に任しといてほしいっス!」


 性格的にトウコは戦いに向いている。

 好戦的で刹那(せつな)的。


 戦うセンス。思いきりの良さ。物怖じしない精神力。

 死に慣れたゆえの壊れた死生観(しせいかん)が、それを生み出している。


「ああ。なにも武器をふるって戦わなくたっていい。前に出るのは俺の仕事だ!」

「はい! 頼りにしていますゼンジさん! トウコちゃんもね!」



「このスキルは調理器具を武器として使うスキルのセットなんスよね?」


「ああ、俺の【打撃武器・威力強化】みたいなものだと思うぞ」

「かたいカボチャを切ったりするのにも使えるんでしょうか?」


「ああ、そういう使い方もできるのか。武器として使うことに限定されてないよな?」

「じゃ、高速みじんぎりとかできるっスね!」


「お料理がはかどりそうですね!」


 なんかもったいない使い方だけどね。



「あたしの【銃創造】みたいなのはないんスか?」

「スキルで道具を生み出すってことだな」

「調理器具を作れたら便利ですよねー。うらやましいなー!」


「俺の【忍具作成】みたいな作成するスキルもないな。調理器具でも食材でも、完成した料理でもいいんだけど……」


 漫画や小説だとポンと料理ができたりするよな?

 うーん。レベルが足りないのか?


「ゼンジさんはスイーツ作れますよね!」

「はちみつ兵糧丸とか花蜜(かみつ)のど(あめ)か。あれは【薬術】だ。スイーツ術じゃないぞ」


 作る工程を(はぶ)いてしまうスキル。

 足りない材料すら補って、すぐに完成品が手に入る。

 便利である。


「でも、リン姉はスキル使わなくても料理がおいしいっス! これこそチートっス!」

「ふふっ。そう言ってくれると嬉しいな!」


 リンははにかむように笑う。

 後半はスルーしたな。


「どうやったらあんなにおいしくなるスか? かくし味とか?」

「二人が喜んでくれるかなーと思って作るんですよ。料理はその、愛情ですから」


 リンは頬を赤く染めて言う。


「リン姉さすがっス! 隠さないかくし味っス!」

「なんか、腹減ってきたな!」


 かくし味を味わいたいね!


「じゃあ、なにか簡単なものでも作りましょうか!」

「そうしようぜ!」

「やたーっ! ごっはんごはんっ!」


 さっそく新スキルも使えるだろうしね!

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