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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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料理人のスキル――【食材】とは?

 【食材】について、リンがノートに書き出していく。


 俺より字がうまい。

 丸文字でかわいい感じ。


 --------------------

 【食材】

 食材を扱う。得られる量や質の向上。


 含まれるスキルは以下。

 【食材鑑定】【食材加工】【食材洗浄】【食材無毒化】

 【食材調達】【食材保存】【解体】【採集】【園芸】

 --------------------



「こっちは料理を作るんじゃなくて、素材関連なんだな」


 リンは笑顔で言う。こっちのほうが好印象みたいだな。


「このスキル、食べ物が手に入るみたいですね!」


 トウコが【食材無毒化】の文字を指さす。


「あっ! こっちにも無毒化があるっス!」


 【調理】の【料理無毒化】は、完成済の料理から毒をとりのぞく。

 こちらは素材から毒をとりのぞくんだろうな。


「鑑定もあるじゃないか!」

「私はもう【物品鑑定】を持ってるんですが……似てるけど違うんでしょうか?」


 スキルの説明文は不親切で、詳細はわからないことが多い。


「こっちは食べ物だけ鑑定できるんスかねー?」

「取ってみないとわからないよなあ、こういうの」


 リンが何もない空間に視線を向ける。


「システムさん。どうですか?」


 タコウインナーのようなマスコット――【サポートシステム】が姿をあらわす。


<専門分野において【食材鑑定】は【物品鑑定】より詳細な情報が得られます>


「お、めずらしくシステムさんがまともなことを言った!」

「食べ物にだけ詳しい鑑定なんスね!」

「ありがとう。システムさん!」



「てことは、鑑定はかぶっても損はないってことだな」

「そうみたいですねー」


「全部鑑定できるチート鑑定が欲しいっスね!」

「普通、そうだよな?」


「ケチくさいっス!」


 俺とトウコは異世界スキルあるあるで盛り上がる。

 リンは首をかしげている。


「ふつう? こういうものじゃないんですか?」

「鑑定スキルといえば強スキル! なんでもわかっちゃうんスよ!」


「システムさんも普通ならもっと万能のお助けキャラだよな!」

「そ、そうなんですか」


 リンはタコウィンナーに気遣うような視線を向ける。


「あたし、異世界に転生したら最初に取るって決めるっス!」

「転生しないでもスキルは手に入るけどな!」


 チートな(強すぎる)スキルはぜんぜん手に入らないけど!

 渋いよ! 俺たちのスキル!


「システムさんはちゃんと助けてくれてますよ。ねー?」


 リンがタコウインナーに微笑みかける。

 システムさんはくるくるとリンの周りを回っている。



「他のスキルはどうなんだ?」

「切ったり洗ったり毒を抜いたりは予想できるっスね!」


【食材調達】(しょくざいちょうたつ)は、敵を倒したときに食材が手に入る……らしいですよ!」

「あたしの【弾薬調達】の食べ物版っスね! 仲間ーっ!」


「つまりドロップアイテムが変化する。魔石じゃなくて食材になるわけだ」

「私のタンジョンだとハズレが……じゃなくて! 魔石が出なくなるのかもしれませんね!」


 リンは声を弾ませている。

 俺は魔石や素材も欲しいから、なんとも言えないな。


 ドロップアイテムのルールはダンジョンごとに違う。

 俺のダンジョンだと魔石しか出ない。

 調達系スキルを使えば、これは食材や弾丸に変わる。


 リンのダンジョンだと素材、魔石、食材が宝箱に入っている。

 いずれかが宝箱から確率で出てくる。

 これが食材だけに固定されるのかもしれない。



「【解体】はアレだよな?」

「強スキルっスね!」


 リンが俺たちを交互に見る。


「解体って動物さんを切り分けることじゃないんでしょうか?」

「現実的に考えたら、食肉業者や狩人がやるものだよな」


「二人ともよくわかってるみたいですけど……これもゲームで有名なんですか?」

「ゲームやラノベじゃ有名っス! 敵を十七分割(じゅうななぶんかつ)したり!」


 それ解体スキルだっけ?


「一撃で敵をバラバラに引き裂いたりできるんだよな!」

「腕をもぎ取ったりするっス!」

「バラバラ? う、うでを……?」


 リンは顔を青ざめさせる。


「ああ、生きているモンスターに有効な場合もあるな。それに、素材が多くとれたりする!」

「シッポを切り落としたりとか! はぎとり回数アップっス!」


 リンは引きつった顔で言う。


「な、なんか怖いスキルなのね……?」


 おっと、怖がらせてしまった。

 方向修正しないとな!


「いや、怖くなんかないぞ。手順を省略するタイプかもしれない!」

「皮をはいだり内臓を取り出す作業がパッと終わるやつっスね!」


 トウコがナイフを突き立てるようなジェスチャーをしながら言う。

 ぎこぎこ手を動かすな!


「えっ……そ、そうなんですねー?」


 グロい方向へ持ってくんじゃない!

 変な印象がつくだろ!


「トウコ……ふざけるのはほどほどにしておけ」


 俺はトウコの頭に軽くチョップをくれる。

 トウコは頭を押さえて舌を出す。


「あだっ!? あたし、なんかやっちゃいましたー?」

「お前はいつもやらかしてるよ!」


「な、なんとなくわかりました。その、【解体】は強いんですね!」

「ああ、まちがいない!」


 俺は自信満々に――無責任に頷いた。



 いろいろと並べ立ててみたが、それほど都合のいいものではないだろう。


 【解体】もどうせ地味な効果だ。

 だが、あえて大げさに言っている。


 ……トウコはわざとじゃなくて天然というか、思慮(しりょ)不足だろうけど。


 思い込みはスキルを強める。

 リンは特にその傾向が強い。


 スキルが簡易モードだからそうなのか、本人の資質なのか。


 俺は天賦(てんぷ)(さい) だと思っている。

 天才。スキルを使いこなす才能。思い込む力。


 だが、残念なことに闘志(とうし)や負けん気、戦う心構えが(ともな)わない。

 リンは優しすぎる。

 戦いに身を置くべき人ではない。


 おいしい食事を作って笑って食べる……そんな生活が似合っている。



「【採集】【園芸】は平和そうだな?」

「そうですねー! これは家庭菜園がはかどりそうです!」


「【園芸】って、農業とか、農民みたいな職業のじゃないんスか?」

「シェフ自ら畑仕事をすることもあるってことじゃないか?」


 同じスキルでも、いろんな職業で選べてもいいだろう。

 【忍術】みたいな専門的なものと違って【投擲】とかはいろんな職業で選べるはずだ。



「【採集】って、植物を集めたりするんスよね?」

「植物限定じゃないだろう?」


 昆虫採集なんてのもあるけどな。

 食材スキルだし、虫を集めても……。


 いや、昆虫食もあるか。あんまり考えたくはない。

 言わないでおこう。


「ハチミツとか……素材っスかね?」

「定番だよな! 【採集】はおいしいものを集めるスキルってことだ」


 それを聞いて、リンは目を輝かせる。


「そうなんですね! いいですね【食材】! 花蜜(かみつ)スライムさんを狩りに行きましょう!」

「リン姉。急にやる気出たっスね!」


「じゃあ、取っちゃいますねー」


 リンが空中に指を走らせる。

 ウィンドウを操作している!


 おいおい! まだ早いって!


「リン、ちょい待ち! その前に【調理器具】も見ておこうぜ!」


 説明の途中でいきなり決めないで!?

昨日は二話更新しました(手動でやろうと思って自動更新になってしまった……)

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