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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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現代ダンジョンは防音工事で!?

本日二話目!

時系列はクリスマス後、年末大掃除前です。

 アパートの部屋で調べものをしているとチャイムが鳴った。


 二人が帰ってくるにはちょっと早い。

 頼んでおいたクラフト用の資材が届いたかな?



 俺はドアを開ける。

 そこに居たのは配送業者の人ではなかった。

 作業着に身を包んだ若い男が立っている。


「はい?」

「お世話になります。本日より一階で工事を担当させていただくものです」


 若い男は作り笑顔を浮かべて名刺を差し出す。

 知らない会社だ。

 といっても、工事業者の名前なんて知らないんだが。


 こんな年末に工事を始めるのか?


「そうですか。それで?」

「年末年始の時期に申し訳ありません。騒音等でご迷惑をおかけするかもしれませんので、こちらお詫びの品です」


 男は紙袋を差し出す。

 中身は見えないが軽そうだ。


「わざわざどうも」


 とりあえず俺は受け取らないで様子を見る。

 近所で工事をするのでご挨拶――というのは詐欺の可能性があるからな。

 挨拶のふりをした営業行為は禁止されている。


 セールスの場合は社名を名乗って、勧誘であることを明示しないといけない。


 男は笑顔を崩さない。

 手にした袋をもう一度掲げる。


「オーナー様から申し付かった品ですので、お受け取りください」


 今回は社名も理由も明らかだから詐欺ではないかな?

 俺は紙袋を受け取る。軽い。手拭いかタオルだろうか。


「はい。それで、工事はいつまで?」

「年内には完了いたします。補修と防音工事を予定しています」


 一階って、シモダさんかな?

 俺たちが(さわ)がしくて耐えられなくなったのかも。

 だとしたら申し訳ないな……。


「防音工事って、この下の部屋ですか?」

「いえ。そのお隣の部屋です。新年より入居が決まったそうで、急ぎ工事する次第でして……恐縮です」


 ずっと空室だった部屋だな。

 シモダさんの部屋じゃないのか。よかった。

 いや、いいのか悪いのかはわからんけど。


「ご興味がおありでしたら……」


 やっぱりセールスか!?


 そもそも俺の部屋には入って欲しくないんだよな。

 なんせ、デカい穴がある。

 俺がバットでぶち抜いた壁の穴だ。


 賃貸だから面倒なんだ。

 修理代を払う金はあるけど、追い出されたりしたら困る。


 いっそ、このアパートを買ってしまおうか?

 まだ買えるだけの金はないけど、この調子で稼げば可能だろう。

 うーん。いま思い付いただけだけど、いい考えかもしれない。


「いや――」


 俺が断ろうとすると、階段を上る足音が聞こえる。

 そしてひょいと、シモダさんが二階に顔を出した。

 シモダさんは俺を見て言う。


「ようクロウ。その話、ちゃんと聞いとけ。貸主が払ってくれるってよ」

「え? そうなんですか?」


 俺はシモダさんへ聞き返す。

 シモダさんは鋭い目つきで言う。


「ああ金はかからない。俺は天井の防音工事を頼んだが、効果は限定的だってよ」

「そうですか」


 シモダさんが工事をすると決めたってことは、信用できる。

 あやしい業者ではないだろう。


 シモダさんは行動力と神経質さを兼ね備えた人だからな。

 神経質なのに気弱じゃないとか、隣人としての攻撃力が高い!


「だから、お前にも()()()しておくわ」


 言葉からにじむ威圧! コワい!


「……検討してみます」

「おう。頼むわ。んじゃ、言いたいことはそれだけだ」


 シモダさんはひらひらと手を振りながら去っていった。


 少し間をおいて、業者の男が言う。

 ……業者の笑顔がちょっとひきつっている。


「あ、説明が前後してしまいましたが費用はアパートのオーナー様ご負担になります。クロウ様のご負担はございません」

「そうですか。資料いただけますか? 即決はできないので考えてみます」


 ボロアパートの補修。しかもタダ!

 めちゃめちゃいい話だ!


 こんな申し出は、ここに住んではじめての出来事だ。


 俺はオーナー(貸主)って奴を見直したね!

 世の中のオーナーって奴はたいてい、ろくでもないからな!


 店のオーナーのせいで、俺のオーナー感は地に落ちている。

 風評被害みたいなもんだ。疑いすぎたぜ!


 ダンジョンがなかったら、迷わず頼んでいいと思う。

 だけど……俺のクローゼットはダンジョンだ。

 一般人が見ても普通のクローゼットにしか見えないとはいえ……不安はある。

 変に刺激を与えないほうがいいんじゃないか?


 たとえばクローゼットの扉や床を工事してもいいのかって話。

 ダンジョンに影響を与えないのかが心配だ。

 入れなくなったら困る。


 でも、影響はないはずだ。

 ダンジョンの入り口を壊したらダンジョンが消えるなら()()()()だ。


 悪性ダンジョンもそうってことだからな。

 もし可能なら、入り口になった場所――衣装ダンスとかを壊せばいい。

 冷蔵庫なんかぶっ壊してしまえばいい。


 御庭は悪性ダンジョンを潰す方法として、これを挙げていなかった。

 だから、簡単な解決方法はないはずだ。



 うーむ。

 だとすれば防音工事はアリだよなあ。


 ダンジョン関連の話題はなるべくダンジョン内でするんだけど、完全じゃない。

 たまには室内で話すこともある。

 そういう声が漏れて、世界の隠蔽に触れては困る。


 もうちょい考えるとするか。

 そろそろ二人も帰ってくるから、相談してみよう!

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― 新着の感想 ―
[一言] ダンジョン化した場所を破壊したらどうなるんだろう 机の引き出しとかにしれっと移動するんでしょうか そもそも引越しできなくなっちゃうよなぁ、とか
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