新素材と新装備! 潤沢な資金で庶民な散財!
さて、二人が戻るまで時間がある。
この時間に、新素材を使って自分とリンの装備を強化しよう!
装備の更新は大事だぜ!
ワイヤー部分をクモの糸で補強、置き換え。
同じ要領だから、慣れたものだ。
クモの糸のおかげで軽量化したうえ、強度も確保できた。
さらに八階層で手に入れた質のよさそうな鉄鉱石で金属部分を強化。
質は、鑑定やモノリスのアイテム名として明示されてるわけじゃない。
だから、ほんとに質がいいかはわからない。
でも鉄鉱石を毎日見ている俺はこう言うのだ!
この石はいい石だ!
見た目は変わらないが、強度が増したに違いない!
といっても攻撃を受けてもびくともしない、なんてことは期待できない。
ゲームみたいな不思議な防御力があるわけじゃないからな。
紙装甲の俺が厚紙装甲になるくらいの違い。
攻撃を食らわないように回避するという前提は変わらない。
そのうえで少しでも被害を抑えるのが防具だ。
続いて武器だ。
これは重要! 俺の火力源だからな!
まずはクナイを強化。
見た目はとくに変わらない。
変わらないが……強くなったと信じる!
忍者刀も同様に強化!
修理みたいな感覚である。
「さて、投げモノは一新してしまおう!」
これまで俺は棒手裏剣として三寸釘や五寸釘を使ってきた。
安くてお手軽である。
でも最近は威力が心もとなくなってきた。
六階層以降で使うにはもの足りないんだよね。
リンやトウコの火力についていけないのでは困る。
パーティプレイでは役割が重要だけど、華があるのは火力だよね。
俺は陰から支える役割も嫌いじゃない。
実際、最近の俺は斥候職みたいだ。
だけど、もっと戦闘に参加したい気持ちもある。
安全第一をモットーに攻略しているけど、戦闘のスリルも好きなんだよな。
一人で潜らない最近は、ちょっと消化不良気味である。
安全に戦えて、戦闘も楽しめるようなダンジョンはないものか。
冷蔵庫?
うーん。生き返れるとはいえ、スリルがありすぎる!
そういえば、そろそろ冷蔵庫の間引きの時期だ。
コウモリボスの魔石はダメでも、料理人ボスの魔石はトウコのお気に召すかもしれない。
「というわけで、投げクナイを作成!」
これまでもクナイは使ってきた。
でも、あんまり投げていない。
投げるのは棒手裏剣で、クナイは近接武器として使っていた。
もったいないからね。庶民感覚である。
クナイは使い捨てのアイテムではないのだ。
でも、過度のもったいない精神は攻略速度を落とすからな。
バランスとっていこう!
なくなっても惜しくないように、鉄鉱石は使わない。
普通の金属から投擲用のクナイを量産するのだ!
素材にする金属は金で買ってきた市販品である。
ファンタジー鉄鉱石は買えないけど、鉄は買える。
金に糸目はつけないぜ!
潤沢な資金を手にした今、俺は強気である。
蓄光塗料も追加で発注しておく。
結構高いんだよな、これ。数万単位で金が飛ぶ。
いや、大丈夫。金ならある!
でも、なんとなくもったいなく感じなくもない……。
いや! 安全のために払う手間や金は惜しんではいけない!
さあ、作るぞ!
作るのは投げクナイだ。
投げることに特化するために、柄の円形のパーツは小さくする。
なくてもいいんだが、このパーツはクナイの個性だからな。残しておこう。
でっぱりを小さくして、手や指に引っ掛からないようにする。
ここでひと工夫!
クナイの刃部分に溝をつけておくのだ。
ミゾがあるのがミソだ!
この溝に毒液を塗ることで毒クナイや麻痺クナイを作成しようってわけ!
まずはこの溝クナイを十本ほど作っておく。
これでベースはオーケー!
次は新素材『クモの毒腺』を使って毒を作る!




