俺の進む先に道はできる! 八階層制覇!
数日後、俺たちは八階層まで制覇した。
七階層と八階層の地図も完成。
すべての通路と部屋を確認した!
いやあ、しんどかった!
戦闘はいいとして、罠チェック作業が面倒なのだ。
とにかくコツコツ頑張るしかない作業だ。
罠のない安全な床には青色の蓄光塗料を塗り、罠は赤色にしてある。
チェックしていない床は無色だ。ここは基本的に通る必要のない床。
罠床かもしれないので、踏まないようにする。
これからは青い床を踏めば安全に通行できる。
今度こそばっちりだ!
これで毎回ローラーをコロコロしなくても済むってわけ。
俺の進む先に道はできる!
階段や宝箱などへ向かう通路は念入りにやってある。
だけどさすがに、通らないルートは手を抜いた。
行き止まりとか、周回しない部屋はチェックする意味ないからな。
通行の安全さえ確保できればいいのだ。
地図を全部埋めたい病の俺だが、さすがに全部の床を塗る病は発症しなかった!
そんなことしてたら日が暮れる! いや年が暮れるわ!
宝箱は各階層に二つずつ発見した。
中身は鉄鉱石が三つ。
状態異常回復薬が一つ。
クモは毒をもっているから、ちゃんと毒を消せるアイテムも用意してくれている親切さ!
食らわないから使うこともないけど!
毒だけじゃなくて麻痺やほかの状態異常も治せるとシステムさんは言っていた。
毒消しポーションみたいな限定的なものじゃないのだ。
ちょっと強すぎるんじゃないのコレ!
でも毒も麻痺も食らわないけど!
安全第一で進めているから、今のところ貯まるばかりだ。
うん。いいことだな。
余剰の品は階段の資材置き場と拠点に分けて保管する。
いちおう一本、状態異常回復薬をカバンの中に忍ばせておく。
今カバンにあるポーションは四本。
治癒薬二本。魔力回復薬一本。状態異常回復薬一本。
割れないように布でくるんでしまってある。
【忍具収納】には治癒薬をしみこませたポーション手拭いを入れておく。
これは緊急用だ。体が動かせない負傷でも使える優秀アイテム!
地図を埋める過程で、ゴブリンとクモの生息域がわかった。
ゴブリンエリアとクモエリアに分かれているのだ。
ダンジョンを二分している。
そしてこの生息域は固定されていない。日々、塗り替わっていく。
両者の生息域が交わると、争いが起こる。
基本、クモがゴブリンを食ってしまう。
ただし呪術師ゴブリンがいる場合は違ってくる。
そう……【火魔法】だ!
弱点である火によって巣を焼かれたクモはゴブリンに負けることがあるのだ。
こうして、階層の中で生息域は日々変わっていく。
共食いによるモンスターの成長についてもある程度わかってきた。
たとえば、【捕食】で育ったクモでも、ゴブリンに負けたりする。
呪術師ゴブリンがいてもクモが勝つ場合もある。
だから、どちらかのモンスターが育ち続けることはなさそうだ。
でも、もっとクモが育って【火耐性】を身につけたら話は変わってくる……。
クモは現実世界では益虫だけど、不快害虫である。
ダンジョンのクモはデカい。不快さも増量している。
もう害虫扱いでいいくらいだ!
断然、俺はゴブリンを応援するぜ!
でも、両者が争うおかげで俺のダンジョンは平和が保たれる。
俺がモンスターを狩らなくても、クモとゴブリンが争う。
その実力はおおむね拮抗している。
だからモンスターは増えすぎず、悪性化しにくいのだ!




