表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

431/1506

これみよがしのお宝には危険がいっぱい!?

 モンスターも罠にかかる。

 床のスイッチを踏めば作動する。

 罠は人間とモンスターを区別していないのだ。


 モンスター側に都合がいい仕様にはなっていない。

 これは朗報だ。

 俺たちもモンスターも同じ条件の元で戦っていることになる。


 そして、俺たちの攻撃も、味方に当たってしまう。

 ゲームじゃないんだ。当たり前のことだ。

 平等なんだ。



 だから、乱戦時には気を付けないといけない。


 リンのファイアボールはちゃんと火加減して撃っている。

 俺はトウコの射線に入らないように注意して戦うし、トウコも気を付けている。

 誤射で死ぬとかいやすぎる。



 ゴブリンはちゃんと罠を調べながら進んでいるらしい。

 斥候ゴブリン、結構有能である。


 こいつがいなければ隠密無双できるんだけどな。


 斥候ゴブリンは、罠を発見するとルートを変えて進む。

 後続もそれにならう。

 でもたまに後続のゴブリンが罠を踏んでトゲにささることがある。

 アホなやつもいるのだ。


 戦闘中はまるで足元を注意できないので自爆してくれる。

 なんというか、ゴブリンって癒し要素だよな。

 だんだん好きになってきたよ。


 ちなみにクモは巣をはっているから、床の罠にはかからない。

 クモの方がゴブリンより賢いのかもな。



 それでも、今の俺たちならクモとの戦闘も余裕である。

 戦闘というのおこがましい。もはや作業だ。


 部屋の外から一方的にクモを倒すだけ。

 遠距離攻撃で倒すだけなら気持ち悪さも最小限だ。


 クモの魔石もけっこう集まってきたな。


 モノリスで引き換えれば、いい素材が手に入る。

 クラフトが楽しみだ。

 なにを作ろうか……。



「お、なんだか騒がしいな?」


 通路の先、次の部屋でゴブリンのわめき声が聞こえる。


「あれ? なにかと戦ってるんスかね?」

「ク、クモさんでしょうか……?」


 気配を消して部屋の入口からのぞき込む。

 クモの巣にゴブリンが引っかかって暴れている。


 仲間のゴブリンが糸に切り付けているが、武器がからめとられてしまう。


 巣にかかったゴブリンは身をよじる。

 もがくほどに、粘着性の糸はゴブリンの体に絡みついていく。


 もちろん、これで終わりではない。

 揺れを感知したクモがやってきた。


 クモは巣に絡んだゴブリンを無視して、武器を失ったゴブリンに糸を吐きかける。

 ゴブリンは身動きができない。


 ゴブリンはクモに打ちかかるが、自ら巣に踏み込んで絡めとられてしまう。

 やっぱり間抜けだな!



 クモが動けないゴブリンに近寄り、大口を開ける。

 ゴブリンの頭部をその口が――


「ファイアボールっ!」


 グロいことになる前に、リンがまとめて焼き払った。


「もしかして、クモは【捕食】を持ってるかもしれないな」

「たまにちょっと大きいクモがいるっス。あれがそうかも?」


「そ、そうなんですか?」


 リンはほとんどクモを直視してないからな。

 狙う瞬間だけちらっと見て撃つスタイルだ。


「リンのダンジョンのワニみたいにデカいわけじゃない。ちょっとの差だな」

「ゴブリンは栄養がないのかもしれないっス」


「うーん? ゴブリンはまずそうだけど……栄養とか関係あるのか?」

「数とか期間のせいかもしれませんねー」


 リンのダンジョンはできてから――というかリンが初めて入ってから数か月たっている。

 俺のダンジョンはまだひと月程度だ。


 クモが捕食によって成長するとしても、時間が短いのかもしれない。


「こいつらはザコ敵だからじゃないっスか?」

「ああ、ワニはボスっぽいもんな。……というか、あれがザコ敵が成長したやつだったら逆にヤバいぞ」

「そういえば、ワニさんがほかにもいるかもしれないんですね……」


 いやな想像をしてしまった。

 まさか、ね。



 リンの魔法を使わず、銃撃と手裏剣


「この部屋には敵はいないみたいです」

「よし……それでも慎重にいくぞ」


 俺の掲げた松明が室内を照らす。


「あ、宝箱があるっス!」


 部屋の中央には宝箱が鎮座している。

 これみよがしに、どんと置いてある。


 怪しいだろ、これ。


「飛び込むなよ! 開けるなよ!?」

「トウコちゃん、ダメよ?」


 フリじゃないからな!

 トウコは口をとがらす。


「うええ? まだなにもしてないのにー!」

「する前に注意しないとな」


「注意は愛情っスね! 受け入れたっス!」

「トウコちゃん……わざと危ないことしちゃダメだからね?」


 かまってもらえると思って無駄吠えする犬みたいになっちゃ困る。


「心配も愛情っスよね! 大丈夫っスよ!」


 トウコはにやけて頭をかいている。

 本当にわかっているんだろうか……。



「こういうあからさまなのは罠だと思う」

「分身さんで開けますか?」


「ああ、そうする。でもまずは罠を片付けよう。分身でやるからトウコは行くなよ?」

「りょー」



 俺は罠探しローラーを持った分身を宝箱に向かわせる。

 さっそく、罠が見つかった。


「ほら、やっぱりな!」


 トゲが引っ込んだところで、さらに宝箱へ近づく。

 また罠。

 地道に罠を空振りさせて、マークをつけていく。

 宝箱の周囲はトゲ罠だらけだ。取り囲むように罠のスイッチがある。


「これで全部っスか?」

「危なかったね、トウコちゃん」


「じゃ、宝箱を開けるからいったん下がって、耳ふさいでおいてくれ」

「はい」

「りょー」


 俺たちは部屋の外の通路まで下がる。

 耳をふさぐのは騒音の罠への警戒だ。俺はさらに閃光対策に片目を閉じる。



 分身が宝箱のふたに手をかける。

 その途端――


 ――宝箱の周囲()()()()()()()が発動する。


「分身さん!」


 勢いよく飛び出したトゲに貫かれ、分身が塵となって消える。

 リンが悲鳴を上げる。


「あぁっ!」


「おお……! 思ったよりヤバい罠だったな!」

「一回調べた罠がもう一回うごいたっス! 新ギミックっスよ!」


 おいおい……一度作動した罠はしばらく動かないって前提が崩れたぞ。

 これまでの罠は空振りさせておけばしばらく再発動しなかった。


 宝箱を開けるという別のスイッチだと違うのか。

 ……となると、床のスイッチも再発動する可能性は捨てきれない。


「でもま、分身でチェックしてよかった!」

「もう……心臓に悪いです……」


 リンは胸を押さえて息をつく。


 トウコが通路から身を乗り出して部屋の中をのぞく。


「お宝はっ!? 何が入ってるんスか?」

「トウコちゃん。落ち着こうね!」


 飛び出しかけたトウコの手をリンがつかむ。

 止めなかったら飛び出してたかもしれない。


 トウコはわざと心配させようとしてるわけじゃない。


 天然だ!

 でも天然だから許されるわけじゃない!


「ちょっと待て。念のため分身で取ってくるから!」


 俺は判断分身を向かわせる。

 さて、中身はどうだ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ