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社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
四章 副業は公儀隠密で!

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七階層攻略! 転がす! 光る! 踊る……!? 

没タイトルシリーズ

■七階層攻略! 準備があれば恐れるに足らず!?

「これを分身に持たせて罠を調べれば安全に進める」

「安心ですね、先生!」


 おっ? リンが助手モードに入ったな!


「店長これ、名前はなんて言うんスか?」

「名前なんてつけてないが……罠探し棒、かな?」

「うーん。わかりやすいけど、なんだかしっくりきませんねー」


 柄は棒だけど、本体はローラーだもんな。


「コロコロローラーでどうっスか?」

「それ、呼びにくくねーか? 早口言葉みたいで舌を噛みそうだ。」

「かわいいけど、知らない人には伝わらないかも?」


 知らない人とダンジョンに潜るかはさておき、伝わりにくいかもな。

 世の中に存在しない道具を作ると呼び名に困る。


「罠ローラー? ローラー棒? ……難しいな」

「じゃあ、先っぽくるくる棒!」

「間をとって、罠探しローラーがいいかなー?」


「お、それいいんじゃね? さすが助手だ!」

「ふふ、ありがとうございます先生!」


 トウコは少し不満げな顔で言う。


「間をとるなら、先っぽ探しローラーっス!」


 先っぽって言いたいだけだろ! 話進まないわ!


「探すのは罠だ! 先っぽじゃねえ! ……とりあえず罠探しローラーと呼ぼう!」


 二人は頷いた。


「はーい」

「りょー」


 これで罠対策はバッチリだ!

 休憩は充分! 先へ進むぞ!



 というわけで、俺たちは七階層の攻略を開始した。


 階段周辺はもう俺が罠を調べてあるので、先へ進む。


 判断分身に罠探しローラーを持たせて先頭を歩かせる。

 罠の作動を感知したら、素早く後ろへ下がるように条件をつけておく。

 これで罠探しローラーは壊れないし、分身もやられない。


 その後ろにもう一体の分身がついていく。

 こちらは大きな木製のかごを背負わせている。


 俺たちはその後ろを進む。



「お、反応したぞ!」


 ローラーが石畳をガコっと押し下げる。

 罠のスイッチだ!


「トゲっス!」


 分身は罠探しローラーを引き寄せながら、素早く後退する。

 わずかに遅れて、スイッチの石畳の周囲に鋭いトゲが飛び出す。


「分身さん、あぶないっ!」


 リンは毎回、分身を心配してくれる。

 判断分身に痛覚や自我はないけど……俺の心配みたいなものだから、ちょっとうれしい。


「――ふう。ちゃんとよけれましたね!」

「先っぽローラーも壊れなかったっスね!」


「うまくいったな。――で、見つけた罠にはマークを付けるぞ!」


 罠のスイッチを発見したら、今度はマーキングだ。


 トゲはもう引っ込んでいる。

 罠は作動させるとしばらく動かなくなるが、一定時間で復活する。


 俺のダンジョンは配置が固定なので、罠の位置も固定。


 罠のスイッチになっている石畳にハケで塗料を塗る。

 地道な作業だが、判断分身にやらせているから作業はサクサクだ。


 マーキングしておけば、次回以降が楽になるというわけだ。



 二体目の分身がかがみこんで、罠のスイッチに印をつける。


「ちょっと光ってますね。夜光(やこう)塗料ですか?」

「うん。蓄光(ちっこう)塗料とも呼ぶ、光るやつだ。暗くても見える」


 厳密には夜光塗料と蓄光塗料は違う。


 夜光塗料は自発光する放射性物質が微量に含まれている。

 健康被害があるため、一般には使用されない。


 これは市販の蓄光塗料だ。

 ざっくり言えば、光を蓄えてゆっくり放出するような仕組みだ。


 赤色で、ぼんやりと光る。

 それほど強い光じゃないけど、見えないほどじゃない。


「ブラックライトで光るやつっスか?」

「それは蛍光(けいこう)塗料だな。あれはブラックライト(紫外線照射装置)がないと光らないからダメだ」


 機械はダンジョン内では使えない。

 紫外線がないと光らないのだ。


「へー。そうなんスねー」


 これを入れた投げモノ――蓄光(ちっこう)塗料玉も用意してある。

 コンビニとかで強盗や万引き犯に投げつけるやつだな。


 今のところ作ってみただけだが、使い道はあると思う。

 隠密や透明化する敵がいるかもしれない。

 ストーカーと戦ったときは苦労したからな。



 分身が地道に通路の安全を確保していく。

 通路の幅全体をやってはきりがないので、中央を念入りにやる。


 端っこなどの未確認の床は、帰りや次回に確認していく予定だ。


 トウコがじれったそうに言う。


「通らない部分はいいんじゃないっスか? 早く進みたいっス!」

「戦闘になったらどうするんだ? 前みたいになるぞ」

「安全第一よ、トウコちゃん!」


 戦闘中は罠に注意を払えない。

 安全を確保した足場から出られないのでは回避に支障が出るし。


 トウコはうっと息を詰まらせる。

 前回罠に引っ掛かりかけたからな。


「……じゃああたしも手伝って早く終わらせるっス!」


 そういうとトウコは前に飛び出す。

 その直前に俺は襟首をつかんで止める。


「うえっ!? なんスか店長!?」

「ちょい待てって! どうやるつもりだよ!」


 トウコはむせながら言う。


「そりゃ、素早く踏んでそのまま走り抜けるっス!」

「トウコはトゲをよけれるだろうけど、判断分身が誤動作するからちょっと待て」


「どうなっちゃうんですか?」

「たぶん、最後に発見した罠だけ印をつけるんじゃないかな」

「あー、それはまずいっスね!」


 今の条件は、罠の作動を見たらスイッチに塗料を塗る。というものだ。

 トウコが次々に罠を作動させると、条件が次々に満たされる。


 判断分身は機械的に判断するから、最後の罠しか印をつけられない。

 罠の位置を全部覚えておいて、順番に処理するようなことはできない。

 ちょっと不便。


「条件を変えて、一体目の判断分身が作動させた罠に塗料を塗る、にしとく」

「あれ? それだとあたしの分は無視っスか?」


 少し寂しそうな顔でトウコが言う。

 いや、無視とかじゃないから。


「トウコの分は俺が塗るんだよ」

「へへ、そうっスか! ――じゃ、いくっス!」


「その間、リンは索敵警戒たのむぞ」

「はーい!」



 トウコはケンケンパのように、目の前の石畳を踏みながら進む。

 敏捷のステータスのおかげもあって、素早い。


「おっと、罠っス!」


 トウコが踏んだ石畳が沈み込む。

 罠が作動するよりも早く、トウコが飛びのく。

 余裕の回避だな!


 トゲが飛び出し、再び戻る。

 そこへ俺がハケで塗料を塗っていく。

 ハケは忍具作成で作成したものだ。コストも安い。


「なんかトウコちゃん、踊ってるみたい!」

「高難易度ダンスゲームっス! どうスか?」


 たしかに、ゲームセンターにある足元のパネルを踏むゲームみたいだ。


 トウコは調子に乗って上半身に無意味な振りつけを加える。

 踊りながらもペースは落とさずに進んでいく。


「器用だなあ……俺は地味な作業だ」


 素早く踊るトウコの後ろを中腰でついていく変な絵面。

 ちゃっちゃと床に印をつけていく簡単なお仕事。


「でもこれで、私も安心してすすめます!」

「帰りも通るし、この後も何度も通ることになるからな。ま、焦らずいこうぜ!」


 こういう積み重ねでダンジョンを攻略していくのだ。

 俺だけなら壁走りするか、駆け抜ければいいんだけどね。


「なんか楽しくなってきたっス! あたしのステップは革命だっ!」


 これはこれで楽しいし、ヨシ!

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― 新着の感想 ―
発光する放射性物質の入った塗料が夜光塗料だよねぇ。 一般には使用禁止だけど、軍事施設などでは今でも使われているのだし。
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